恩師のご著書「講演集」より
講演集、 三
法事よりも生きた方の方が大事
私は、普段は乞食のような格好をしております。
今日はちょっといい格好をさせてもらっています。
ちょうど父の法事があって、その服を着たままでおります。
今日は私の亡くなった父の十三回忌でございます。
親戚縁者が集まっておりますが、私だけ朝お参りをして、
失礼させてもらってきました。
まあ、何と親不孝な奴だなあと、お父さんは思っているかもしれません。
しかし、死んだ者が大事か、生きた方のほうが大事か、
たとえ親であっても、
死んだ者の前で分からない経文を唱えるのを一緒に聞いて、
ご馳走を頂いて―――というのは、
亡くなった方でけのものですね。
一方、
これだけ大勢の生きた方々が今日の日を楽しみにして
遠い所から来て下さっており、私はこのほうが大事ですから、
「これで失礼させてもらいます。
あと、よろしくお願いします」と、お断りを言ってきました。
私たちは、生きた人さまの中で生きさせていただくのです。
私の親しくしていただいいた友達が去年亡くなりましたが、
そのお葬式がちょうどよそでのお話会と重なりました。
お通夜は行かせてもらいましたが、
お葬式には行くことができませんでした。
しかし、ほんとうのことを思うのであれば、
一人でも生きた方が救われてくれるほうがありがたいですね。
たとえそちらを犠牲にしても。
だから、その重さを計ってみて、重いほうへ行きます。
~ 感謝・合掌 ~