恩師のご著書「講演集」より
講演集、 三
はじめに
この講演集は縁あるお方のご好意とご尽力により、
お話会のテープを文字に起こしていただきましたものを、
何回分かまとめて一冊の書として世に著わしたものです。
幼い頃より「神様とは一体どのようなお方だろうか、人間とは何者だろうか、
心とはどういうものだろうか」常にこのような思いから離れることはできませんでした。
昭和四十九年十一月、私は故高橋信次先生のご講演に縁をいただき、
反省することによって己の心を知るこを学びました。
そして人間を幸せにするもの、或いは不幸にするものは、
すべて自分の心の作用によって現れていることが理解できました。
その結果、今の私はこの世の中の誰よりも幸せ者であると自認しております。
人さまは、私の毎日の生活が、一年中ただ一日の休みもなく、
自分自身の時間が皆無に等しいのをご覧になると、可哀そうな奴だ、
自分のことは何もできないで馬鹿な奴だ、と思われるかもしれません。
しかし、そう思うのは思う方の心であって、私の心ではありません。
自分に与えられた環境の中で足ることを知り、
常に感謝に心を切り替える練習を積み重ねた時、
たとえどのような環境の中にあっても私の心の中は幸せいっぱいになります。
この幸せを一人でも多くの方々にお伝えしたい、喜びに満たされてほしい、
苦しみから救われていただきたい、
ただこの一念で私の命の尽きるまで人さまにお伝えさせていただきたいと思っております。
浅学非才無学文盲の愚か者ですが、日々の生活実践と自分の体験談を通して
喜びに至る道をお話をさせていただいております。
『愚か者の独り言』第一集、第二集はお陰様で大変好評を頂き、
身に余る幸せと心から感謝申し上げます。
不思議なお手紙やお電話を無数に頂きました。
この講演集を読んで医師から不治と言われた病気が治ってしまった、家庭内が
調和された、離婚寸前のご夫婦が離婚を取り止め仲むつまじく暮らせるように
なった、商売がうまくいくようになった、本が現実に光り輝いているのを見た、
嫁姑の間が良くなった、子供が良い子になってくれたなどと、うれしいことで
ございます。
幸甚と、申す以外に言葉もありません。
この不思議な出来事の数々は、全く無償でご奉仕して下さいました皆様の愛が、
神の愛として現象化して現れたものと確信致しました。
ただ感謝あるのみです。
この書の編集にご尽力いただいている方々に、
刊行が大変遅くなりご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。
原稿に目を通す時間がなく、地方講演の道中、新幹線の中や船の中で、
少しずつ手を入れさせていただきました。
本書を通しまして、一人でも多くの方々の幸福を祈念してやみません。
合掌
平成二年九月
長尾 弘
~ 感謝・合掌 ~