ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『前世は兎』

2019-04-01 23:52:13 | 
 川の下流でカルガモ夫婦と出会う。仲がよくて、羨ましい。ここで卵を産んでくれないかねえ。

 今度会ったら、エサをあげるためにお麩をジップロックに入れて持ち歩くことにする。獣医の友達は「バッタ、めっちゃ喜ぶよ」と言う。 う~ん、バッタなあ。今おるか?お麩で我慢してもらおう。お麩もタンパク質だ。

『前世は兎』 吉村萬壱 集英社
 7年余りを雌兎として生きた前世の記憶を持ち、常に交尾を欲し、数々の奇行に走る女。かつてつがいだった男と再会した女が遭遇した、恐ろしい出来事とは―(前世は兎)。36歳、休職中の独身女が日々「ヌッセン総合カタログ」を詳細に書き写す訳は、「スティレス」を解消する為だった。同僚が次々と部屋を訪れ、職場復帰を促すのだが―(宗教)。破滅を迎えた世界で、国が開催するマラソン競技大会の選手に選ばれた姉。労働力として認められない者が手にできる唯一の栄誉だったが、選手村への出発を翌朝に控えた夜、姉がとった行動は…(ランナー)ほか、全7話。
 全編、近未来の閉塞感やら、無力感やら、不安にいろどられた作品。主人公たちの行動は、奇をてらうものだが、ゾッとしたり、呆然としたり、考え込んだりした。
 「前世は兎」の主人公はヤリマンだが、私は嫌な感じがしなかった。なぜかと考えると、彼女は被害者ではないからだ。自ら行動する潔さがあるからだ。それに比べて男たちの浅ましさよ。世の中の普通というあやうさを描き、何が正解なのかを問いかけるような感じがして「前世は兎」が一番よかった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『監禁面接』 | トップ | 祇園の木崎さんの財布から出... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事