ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『私は負けない』『日本型組織の病を考える』

2019-10-15 20:33:46 | 
 以前、「サワコの朝」で村木厚子さんのインタビューを見て気になったので、村木厚子さんの本を読んでみた。

『私は負けない 「郵便不正事件はこうして作られた」』 村木厚子 中央公論新社
 まったく身に覚えのない「郵便不正事件」で逮捕された著者が、不当・巧妙な検察の取り調べを乗り越えて「無罪」を獲得。164日の勾留にも屈しなかったのはなぜか?“信じられる司法制度”に必要な、3つの課題を訴える。事件の発端となった上村勉・元係長との特別対談、周防正行監督のインタビューを収録。
「サワコの朝」を見た時に、疑問だったのは村木さんを罪に陥れようとした上村勉元係長に対し村木さんがわだかまりを持っていないこと。無実の自分に有罪となる自白をした人に どうして恨みを持たずにいられるのか。本を読んで疑問が氷解した。上村さんは、きちんと話をしていたのに、検察は自らのストーリーに都合のいい部分を調書として採用し、都合の悪い部分はいくら言っても聞き入れなかったのだ。上村さんは、ウソをついていない。検察が勝手に作文していたのだ。やがて、終わりが見えないことで絶望感にかられた上村さんは、検察のウソの調書にサインをしてしまうのだ。
 警察や検察の取り調べに半分の人は虚偽の自白証言をするという。それは、本人が弱いからではなく、弱い所をつかれて嘘の自白するのだ。本に載っている上村さんの証言、ノートはその過程がわかり、生々しい。
 そして、村木さんが主張する冤罪を減らすための提言はもっともであり、ぜひその提言が実行されることを願う。
 
『日本型組織の病を考える』 村木厚子 角川新書
 財務省の公文書改竄から日大アメフト事件まで、なぜ同じような不祥事が繰り返されるのか?かつて検察による冤罪に巻き込まれ、その後、厚生労働事務次官まで務めたからこそわかった日本型組織の病の本質、そして変わらないこの国を変える「静かな改革」とは。
 まず、村木さんは賢いと思った。広い視野をもって、わかりやすく本が書かれている。そして、ユーモアがあり、クスリと笑わされてしまうところも。何よりも、気付きの人だと思った。
 例えば、花が咲いた時、上のお子さんはお母さんは花の色を報告し、下のお子さんは咲いた花の数を知らせた。そこから、同じように育てても感じ方が違うことに気付き、人によって感じ方や行動が違うのは当たり前、人が思い通りに動いてくれないのではなく個性を受け入れ生かすことに思い至るのだ。村木さんは、スルーしてしまいそうなことも、きちんと気づいて、次に生かすことができる人なのだと思う。
 また、私はステレオタイプに「公務員ってええ給料もうて、楽なんちゃうん」と思っていたが、この本で公務員の見方が変わった。真摯に公平に仕事をしているのがわかった。
 そして、不祥事が起きた時の過度な糾弾は、有能な人材の流出や再発防止の遅れをまねくという指摘には、ハッとさせられた。
 村木さんのように、相手に打ち勝つのではなく、相手に負けないで時節をうかがう闘い方もあるのだと感心した。

 しかし、両方の本にある、娘たちが思わぬ困難に見舞われた時、「あの時、お母さんはがんばったから、私もがんばれる」と思えるようにがんばった姿を見せようとする場面は、何回読んでも涙が出る。

 関係ないことだが、「ダイバーシティ」という単語を私は「東京お台場にあるショッピングモール」と思っていたので意味がしっくりこないと思っていた。この場合の「ダイバーシティ」は「多様性」だった。勉強になったわ~。
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「テオ・ヤンセン展」

2019-10-13 19:46:28 | 美術鑑賞
 テオ・ヤンセン展を見に行ってきました。サンドーム福井のカフェで早めのお昼。テオ・ヤンセンのコラボのサンドイッチは午後1時からということで、残念です。パンをチョイス。


紅茶のクリームパンは柑橘類のピールが入っていて美味しかったです。ティーポットやカップが素敵。

「テオ・ヤンセン展」 2019.9.21-10.27 サンドーム福井


屋外広場で風を受け動くストランドビースト

風が強いので帆はたたんでいますが、本体が風をうけて進みます。

ストランドビーストたち







私の一番のお気に入り。動きが美しいのです。

 手でストランドビーストを動かすこともできました。ギシギシと動きます。思ったより軽めでした。

 どうして、こんなものを考えだすことができるのか不思議です。特に足に注目。何度見ても不思議です。

 記念にプラモデルを購入しました。がんばって作るぞ。




 サンドームから越前塗の土直漆器に行って、以前から気になっていたタンブラーを買いました。

欲深な私は、宝尽くしの模様を選びました。左は以前から愛用している水筒、下は使いやすくてお気に入りの一文字箸です。





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『むらさきのスカートの女』『女流放談』『THE LAST GIRL』

2019-10-12 15:42:11 | 
『むらさきのスカートの女』 今村夏子 (文藝春秋2019年9月号より)
 近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが、気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で働きだすように誘導し……。
 芥川賞受賞作。読みやすかった。しかし、変だと思っていたむらさきのスカートの女がおかしいのではなく、黄色いカーディガンの女がぶっ壊れているのではと思いだし。また、むらさきのスカートの女と黄色いカーディガンの女が混じりだして。煙にまかれたような読後感だった。

『女流放談 -昭和を生きた女性作家たち』 イメルラ・日地谷=キルシュネライト 岩波書店
 三十余年の永い眠りの時を超えて奇跡的に日の目を見た貴重な生の声。1982年春、編者は、数か月の日本滞在中に、当時活躍中の女性作家たちに公衆電話からアポイントを入れ、突撃インタビューを敢行した。まだ駆け出しのドイツ人日本文学研究者であった聞き手に対し、驚くほど率直に、またくつろいで親密に語る各年代の作家たちの本音とは?当時は実現しなかった瀬戸内寂聴氏への特別インタビューも収録。
 イメルラさんは、すごく本を読んでおり、日本文学の造詣の深さに驚いた。それに、「〇〇さん(実名)はこう言っているが、どう思いますか?」という直球のインタビューの内容にも。
 また、インタビューには、印象的なさまざまな女性作家たちの言葉がいっぱいある。
佐多稲子さん「『女は怖いよ』というのは、男性たちの逃げ口上なんですよ。自分たちがいつも悪いから」
戸川昌子さん「男性は奉仕されることに慣れてしまっている」
中山千夏さん「一番大切なことは馬鹿にされるのを恐れないこと。男の人は自分の価値基準を信じているから、それから外れた者を馬鹿にするんです。」
 30数年前の言葉を読みながら、現在はどれほど変わっただろうかと思ってしまう。職場で同僚の女性のフォローを当たり前のように受けている男性を見たりするとね。

『THE LAST GIRL イスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語』 ナディア・ムラド 吉井智津訳 東洋館出版社 
 「この世界でこのような体験をする女性は、私を最後(ラスト・ガール)にするために―」貧しくも平和な村で、愛する家族と暮らしていたナディア・ムラド。しかし、イスラム国の脅威は次第に強まり、ついに虐殺と収奪の日が訪れた― イスラム国による虐殺や性暴力・暴力がはびこる地域から決死の覚悟で脱出し、支配地域の現状を世界に発信するまでに彼女はなる。
 ナディア・ムラドは、2018年ノーベル平和賞受賞者。穏やかな生活を送っていたナディアを襲ったイスラム国。ナディアは、人を人と思わず、傷つけても構わない存在として扱われる。以前が愛に満ちていた暮らしだっただけに、その落差は大きく、愕然とする。魂が破壊されたといってもいいだろう。
 宗教指導者が、無理矢理信じる宗教をイスラム教に替えられたし、無理矢理性奴隷にされたので、彼女たちは被害者であり、批判されることはないと言ったことは、よかったと思う。彼女たちが元のコミュニティに温かく迎えられるべきだと。しかし、完全に普通に戻ったのではないという彼女の言葉は重い。
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福岡伸一さんのコラムと解説が秀逸

2019-10-11 14:56:39 | 日記
『あたまにつまった石ころが』(キャロル・オーティス・ハースト文 ジェイムズ・スティーブンソン絵 千葉茂樹訳 光村教育図書)という本がある。
 本の題名を読むと、必ず子どもたちが「えぇっ、どういうこと!?」という表情をする。この本の主人公は、石が大好きでポケットの中には、石がいっぱい、頭の中でも常に石のことばかり考えている男の子。彼が、周りに何と言われようとも、純粋に好きを極めて、博物館の鉱物学部長になったという話。

 この話を思い出したのは、10月10日の朝日新聞の朝刊で福岡伸一さんのコラム「福岡伸一の動的平衡」を読んだから。新聞や本で興味をもったことや気づいたことをスラップしたり、絵付きで書き留めたりする「自学ノート」を書いてある少年を追った番組で福岡さんの文が引用されているとか。
 「大切なのは、何かひとつ好きなことがあること、そしてその好きなことがずっと好きであり続けられることの旅程が、驚くほど豊かで、君を一瞬たりともあきさせることがないということ。そして、それは静かに君を励ましつづける。最後の最後まで励ましつづける」<『ルリボシカミキリの青』(福岡伸一 文春文庫)より>
 
 いいのは、このコラムだけではない。紙面の反対側には、ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さん(ノーベル化学賞受賞おめでとうございます)との電話対談がある。すばらしいのは、福岡さんの解説。ノーベル賞を山に例えて話し、わかりやすい。そして、受賞者3人の影に隠れた、グッドイナフさんとの共同研究者の水島公一さんにも光をあてる。
「ノーベル賞受賞者は「先着3位」までですが、100位や1千位に入る大きな山麓があるから高いピークができるのです。科学史の中に様々な人の尽力や貢献が必ずあり、縁の下の力持ちや並走した人たちがいることを忘れないでほしいと思います。」

 福岡伸一さんの本を読みたくなった。
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よしあきくん 一期一会の一句で4位

2019-10-10 16:57:51 | 日記
 関ジャニ∞の47都道府県ツアーは、落選。子どもも落選。そりゃ、そうだ。競争率が高すぎだもん。当選する方は、すごくラッキーな方。当選された方、おめでとうございます。5人の関ジャニ∞をしっかりと心に刻んでくださいね。私は、映像化を心待ちにします。

 俳句ポスト365。投句しだしてから、初めて、人にも並にも選ばれませんでした。(投句し忘れた兼題「罌粟坊主」を除く)
 しかし、月曜日発表の「よしあきくん 一期一会の一句」で4位に選ばれました。

欲深な重陽の御朱印の列 丸山隆子

 陰陽思想では、奇数は陽の数。その中で9は一桁の数の中で一番大きい数。その9が二つ重なる9月9日は、おめでたい日です。そこそこ幸せな私が、おめでたい重陽のご朱印をもらうために列に並ぶのです。寺社とのさらなるご縁、幸せを願って御朱印をもらうのです。欲深では、ありませんか?


神泉苑でいただいた重陽の特別御朱印
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