以前、「サワコの朝」で村木厚子さんのインタビューを見て気になったので、村木厚子さんの本を読んでみた。
『私は負けない 「郵便不正事件はこうして作られた」』 村木厚子 中央公論新社
まったく身に覚えのない「郵便不正事件」で逮捕された著者が、不当・巧妙な検察の取り調べを乗り越えて「無罪」を獲得。164日の勾留にも屈しなかったのはなぜか?“信じられる司法制度”に必要な、3つの課題を訴える。事件の発端となった上村勉・元係長との特別対談、周防正行監督のインタビューを収録。
「サワコの朝」を見た時に、疑問だったのは村木さんを罪に陥れようとした上村勉元係長に対し村木さんがわだかまりを持っていないこと。無実の自分に有罪となる自白をした人に どうして恨みを持たずにいられるのか。本を読んで疑問が氷解した。上村さんは、きちんと話をしていたのに、検察は自らのストーリーに都合のいい部分を調書として採用し、都合の悪い部分はいくら言っても聞き入れなかったのだ。上村さんは、ウソをついていない。検察が勝手に作文していたのだ。やがて、終わりが見えないことで絶望感にかられた上村さんは、検察のウソの調書にサインをしてしまうのだ。
警察や検察の取り調べに半分の人は虚偽の自白証言をするという。それは、本人が弱いからではなく、弱い所をつかれて嘘の自白するのだ。本に載っている上村さんの証言、ノートはその過程がわかり、生々しい。
そして、村木さんが主張する冤罪を減らすための提言はもっともであり、ぜひその提言が実行されることを願う。
『日本型組織の病を考える』 村木厚子 角川新書
財務省の公文書改竄から日大アメフト事件まで、なぜ同じような不祥事が繰り返されるのか?かつて検察による冤罪に巻き込まれ、その後、厚生労働事務次官まで務めたからこそわかった日本型組織の病の本質、そして変わらないこの国を変える「静かな改革」とは。
まず、村木さんは賢いと思った。広い視野をもって、わかりやすく本が書かれている。そして、ユーモアがあり、クスリと笑わされてしまうところも。何よりも、気付きの人だと思った。
例えば、花が咲いた時、上のお子さんはお母さんは花の色を報告し、下のお子さんは咲いた花の数を知らせた。そこから、同じように育てても感じ方が違うことに気付き、人によって感じ方や行動が違うのは当たり前、人が思い通りに動いてくれないのではなく個性を受け入れ生かすことに思い至るのだ。村木さんは、スルーしてしまいそうなことも、きちんと気づいて、次に生かすことができる人なのだと思う。
また、私はステレオタイプに「公務員ってええ給料もうて、楽なんちゃうん」と思っていたが、この本で公務員の見方が変わった。真摯に公平に仕事をしているのがわかった。
そして、不祥事が起きた時の過度な糾弾は、有能な人材の流出や再発防止の遅れをまねくという指摘には、ハッとさせられた。
村木さんのように、相手に打ち勝つのではなく、相手に負けないで時節をうかがう闘い方もあるのだと感心した。
しかし、両方の本にある、娘たちが思わぬ困難に見舞われた時、「あの時、お母さんはがんばったから、私もがんばれる」と思えるようにがんばった姿を見せようとする場面は、何回読んでも涙が出る。
関係ないことだが、「ダイバーシティ」という単語を私は「東京お台場にあるショッピングモール」と思っていたので意味がしっくりこないと思っていた。この場合の「ダイバーシティ」は「多様性」だった。勉強になったわ~。
『私は負けない 「郵便不正事件はこうして作られた」』 村木厚子 中央公論新社
まったく身に覚えのない「郵便不正事件」で逮捕された著者が、不当・巧妙な検察の取り調べを乗り越えて「無罪」を獲得。164日の勾留にも屈しなかったのはなぜか?“信じられる司法制度”に必要な、3つの課題を訴える。事件の発端となった上村勉・元係長との特別対談、周防正行監督のインタビューを収録。
「サワコの朝」を見た時に、疑問だったのは村木さんを罪に陥れようとした上村勉元係長に対し村木さんがわだかまりを持っていないこと。無実の自分に有罪となる自白をした人に どうして恨みを持たずにいられるのか。本を読んで疑問が氷解した。上村さんは、きちんと話をしていたのに、検察は自らのストーリーに都合のいい部分を調書として採用し、都合の悪い部分はいくら言っても聞き入れなかったのだ。上村さんは、ウソをついていない。検察が勝手に作文していたのだ。やがて、終わりが見えないことで絶望感にかられた上村さんは、検察のウソの調書にサインをしてしまうのだ。
警察や検察の取り調べに半分の人は虚偽の自白証言をするという。それは、本人が弱いからではなく、弱い所をつかれて嘘の自白するのだ。本に載っている上村さんの証言、ノートはその過程がわかり、生々しい。
そして、村木さんが主張する冤罪を減らすための提言はもっともであり、ぜひその提言が実行されることを願う。
『日本型組織の病を考える』 村木厚子 角川新書
財務省の公文書改竄から日大アメフト事件まで、なぜ同じような不祥事が繰り返されるのか?かつて検察による冤罪に巻き込まれ、その後、厚生労働事務次官まで務めたからこそわかった日本型組織の病の本質、そして変わらないこの国を変える「静かな改革」とは。
まず、村木さんは賢いと思った。広い視野をもって、わかりやすく本が書かれている。そして、ユーモアがあり、クスリと笑わされてしまうところも。何よりも、気付きの人だと思った。
例えば、花が咲いた時、上のお子さんはお母さんは花の色を報告し、下のお子さんは咲いた花の数を知らせた。そこから、同じように育てても感じ方が違うことに気付き、人によって感じ方や行動が違うのは当たり前、人が思い通りに動いてくれないのではなく個性を受け入れ生かすことに思い至るのだ。村木さんは、スルーしてしまいそうなことも、きちんと気づいて、次に生かすことができる人なのだと思う。
また、私はステレオタイプに「公務員ってええ給料もうて、楽なんちゃうん」と思っていたが、この本で公務員の見方が変わった。真摯に公平に仕事をしているのがわかった。
そして、不祥事が起きた時の過度な糾弾は、有能な人材の流出や再発防止の遅れをまねくという指摘には、ハッとさせられた。
村木さんのように、相手に打ち勝つのではなく、相手に負けないで時節をうかがう闘い方もあるのだと感心した。
しかし、両方の本にある、娘たちが思わぬ困難に見舞われた時、「あの時、お母さんはがんばったから、私もがんばれる」と思えるようにがんばった姿を見せようとする場面は、何回読んでも涙が出る。
関係ないことだが、「ダイバーシティ」という単語を私は「東京お台場にあるショッピングモール」と思っていたので意味がしっくりこないと思っていた。この場合の「ダイバーシティ」は「多様性」だった。勉強になったわ~。