ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『スケバン刑事/コードネーム=麻宮サキ』

2023-06-18 16:35:07 | 日本映画

2006年に公開された、深作健太監督による東映配給の日本映画。言わずと知れた和田慎二原作の人気コミックを実写化したシリーズの、今のところ最終作。

1980年代に斉藤由貴、南野陽子、浅香唯らが扮したスケバン刑事=麻宮サキを、グループではなく単独で爆発的に売れたアイドルとしては史上最後の人であろう「あやや」こと松浦亜弥が演じてます。



そして超合金ヨーヨーでサキと渡り合うライバルで、実は同じ「マッポの手先」だった裏切者=秋山レイカ役に「モーニング娘。」の元メンバーにして当時「美勇伝」のリーダーだった、石川梨華。



「美勇伝」は「モー娘。」や「あやや」らの所属する「アップフロントプロモーション」が当時売出し中だった3人組ユニットで、あとの2人=三好絵梨香と岡田唯も主要キャストとして出演してます。



そして初代「麻宮サキ」と思われるサキの母親として斉藤由貴が特別出演するほか、刑事崩れにして暗闇機関のエージェント=騎村に竹内力、桑田佳祐そっくりな指令役=暗闇警視に長門裕之、敵のラスボスに窪塚俊介、といったキャスト陣が脇を固めてます。



この作品は10年以上前にレンタルDVDで初鑑賞、そしてこないだ東映チャンネルで二度目の鑑賞となりました。

初鑑賞時は「あややが歴代スケバン刑事の中で一番サマになってる」のは良いけど肝心のストーリーが「気絶するほどつまんない」っていう感想でした。

久々に観れば印象が違うこともよくありますから、それを期待しながら今回観直したワケだけど、感想はやはり寸分違わず同じでしたw



歴代に比して「あやや」のスケバン役はサマになってて、演技も上手いもんだから「ギャップ」の面白味が無くなったことも大きいけど、それより何より「深作健太監督のセンスと演出力の無さ」が致命傷レベルだと言わざるを得ません。

皆さんご存知でしょうが、深作健太は親の七光りでいきなりメジャー大作(お父上が大ヒットさせた『バトル・ロワイアル』の続編)を任された二世監督で、確かそのときも演出力の無さを叩かれた筈だけど、コネが何より物を言う芸能界ですから、こうしてセカンドチャンスが貰えるワケです。

初鑑賞時の私は、その世界からドロップアウトして間もない頃でしたから、ひがみの感情も多分にあったと思います。だからこそ、あの世界に対して何の感情も抱かなくなった今なら、もしかすると楽しめるかも?って。

けど、そんな感情はいっさい関係なかった。つまんないものはつまんない。ただそれだけ。

我ら昭和世代とは感覚が違うゲーム世代の監督が、それより若い観客に向けて創った作品だから、オッサンには理解できないんだろ?って、健太は言うかも知れない。けど、キミより若い監督が創った作品でも面白いもんは面白いって、ちゃんと理解も評価も出来ますから!

そもそも、この作品が大コケし、アップフロントプロモーションの時代は終わったような印象を世間に与えてしまった(と私は思う)結果が、何より全てを物語ってます。



クライマックスのアクションシーンで、麻宮サキをセーラー服じゃなくバトルスーツで闘わせたこともバッシングされてたけど、そんなのはごく些末なこと。ストーリーさえ面白けりゃ観客は真逆の反応をした筈です。

東映さんが監督のチョイスをもっと真剣に検討していれば、結果は大きく変わってたかも知れません。そう思わせるだけの力を、松浦亜弥さんや石川梨華さんはちゃんと持ってました。

特に松浦亜弥さんに関しては、今や懐かしグッズになっちゃったムック「刑事マガジン」の2006年号で、お世辞や忖度にはいっさい縁が無さそうな竹内力さんと長門裕之さんが「芝居勘が抜群にいい」「ある意味バケモノ」「俺なんかどうでもいいから、とにかくあややを観てくれ」って絶賛されてますから!



そんな彼女の魅力どころか『スケバン刑事』というBIGネームバリューさえ活かせず、どんな作品でも常に褒めどころを見つけてきた私にさえ「気絶するほどつまんない」と言わしめた深作健太の罪は計り知れないって、久びさ登場の宮藤官九郎さんが言ったとか言わないとか。

自慢したいだけで書きますけど、私はかつて人気絶頂期の松浦亜弥さんと一緒にお仕事させて頂いたメモリーがあるもんで、正直やっぱり、恨みの感情が入ってます。

あややは本当に凄かった! そんな逸材の勝負作を、親の七光りだけの凡才に任せてしまった日本映画界にこそ、深い深い恨みがあるワケです。


 

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『スキマスキ』

2023-05-18 16:22:03 | 日本映画

『女の穴』『ちょっとかわいいアイアンメイデン』の吉田浩太 監督&脚本による、2015年公開の日本映画。『うさぎドロップ』等で知られる宇仁田ゆみさんの人気コミックを実写化した作品です。

なぜか「スキマの先にある何か」に強く惹かれ、いつでもどこでもスキマがあれば覗かずにいられない、アホすぎるチェリーボーイの建築科大学生=ヘイサク(町田啓太)が、向かいのアパートに住む「スキだらけ」な女の子の私生活を、ついつい覗き見しちゃう背徳な日々を送ってる。



そんなヘイサクに、同じ大学に通う心理学科の女学生=文緒(佐々木心音)が声を掛けて来て、親しくなる。向かいのアパートの子と何だか似てるんだけど、まさか?と思いながら飲み会終わりに送って行ったら、やっぱり向かいのアパートに住んでいた!



そう、ヘイサクはアホすぎて今まで気づかなかったけど、自分の部屋から文緒の部屋が見えるということは、文緒の部屋からもヘイサクの部屋が丸見えで、とっくに彼女は覗かれてることに気づいてた!

しかも、文緒は心理学科の研究レポートとして、夜な夜なヘイサクの私生活をカメラで盗撮してたのに、彼はアホすぎて全然気づいてない!



お互い、相手の部屋を覗いてることを隠しつつ惹かれ合うんだけど、バイセクシャルである文緒の元カノ(中村映里子)の介入によって全部バラされちゃう。



それでも「スキ」が止まらない2人は、いよいよチョメチョメに至るのでした。



「あ……なんか、ちょっと入った」

「どこに?」

「……壮大なスキマに」

「ふふふ……さすがスキマフェチ」

「あ、いや……」



「……ヘイサクくんは、このスキマから生まれてきたんだよ。このスキマをこじ開けて、その先に何があるんだろうって……そう思いながら這い出てきたんだよ」



つまり、記憶に残るはずがないその時の光景が、彼をスキマフェチにしちゃったのかも?って話だけど、だからってどうという事はありませんw

出逢いのシチュエーションこそ変わってるけど、『女の穴』『ちょっとかわいいアイアンメイデン』で描かれた倒錯の世界&屈折しまくった恋愛に比べれば、遥かに口あたりのよい青春ラブストーリー。

劇団EXILEの町田啓太くんが主役だし、これは女子向けの映画というかメジャー志向な作品で、吉田浩太監督の広いキャパシティを感じます。



私は屈折してないラブストーリーには興味が無いんだけど、ヒロインの佐々木心音さんがとても魅力的に描かれてるし、もちろん脱いでくれてるし、町田啓太くんもEXILEにしちゃ凄く演技が達者だしで、まったく退屈せずに観られました。

吉田浩太監督は、あの城定秀夫監督にも引けをとらない、ピンク系映画の名手と見て間違いなさそうです。

セクシーショットはもちろん佐々木心音さん。豊満なおっぱいが注目されがちだけど、おしりも抜群に素晴らしいです!


 

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『女の穴』

2023-05-17 19:19:06 | 日本映画

日本におけるレズビアン映画の金字塔だと私は思ってる『ちょっとかわいいアイアンメイデン』と同じ2014年に公開された、同じ吉田浩太さんの監督&脚本によるR-15指定作品。女性漫画家「ふみふみこ」さんの短編コミック『女の穴』『女の豚』『女の鬼』が原作になってます。

つまり3つの短編を組み合わせたワケだけど、『ちょっとかわいい〜』も4コマ漫画が原作だったし、吉田監督はそういう構成力に長けた人なんだろうと思います。

この映画は2幕構成になってて、それぞれ独立したストーリーが、実は同じ高校で同時に起きた出来事であることがラストで判る仕掛けになってます。



1幕目は、なんだかブラックホールみたいに吸い込まれそうな眼をした女生徒=幸子(市橋直歩)に、若いボンクラ教師の福田(小林ユウキチ)が「私と一緒に子供をつくって下さい」と迫られる話。

それだけ聞けば少年漫画にありがちなハーレム物かと思うけど、これはなにせ女性作家さんが描かれたストーリーです。そんな都合のいい話じゃありません。

どう見ても、幸子は福田に対して異性の魅力を感じてない。ボンクラ教師でもそこんとこを見抜く眼は持ってる。

「私、17になっても処女というのがイヤで、そろそろ……」

「いやお前、それ嘘じゃん」

「……私、先生がたまらなく好きで」

「いや、それも嘘じゃん。あのさ、いい加減にしないと……」

「私、異星人なんですよ」

「…………」

「今は地球人の体を借りていて、地球人との子供をつくって来るように命令されてるんです」

「……そう来たか」

「合点がいって良かったです」

文字だけじゃ伝わらないかもだけど、この会話に私は凄くセンスを感じました。非凡だし、ぶっ飛んでるようでいて独特なリアリティーがある。

果たして、幸子はただの不思議ちゃんなのか、それとも本当に宇宙人なのか?

とりあえず福田は、幸子のブラックホールみたいな眼に吸い寄せられ、穴に挿れちゃうワケです。



「そんなにいいものでもないですね」

「…………」

「すみません、これって禁句ですか?」

「いや、別に」

ことを終えた直後の会話もリアルというか、生々しいですよね。しかも、こいつ本当に宇宙人かも?って思わせる含蓄もある。

で、もし妊娠しなかった場合は「またお願いします」と来たもんだ。

「いいもんじゃないんじゃなかった?」

「悪くもなかったです」

「…………」

宇宙人かどうかはともかく、幸子はどうやら本当に妊娠だけが目的らしく、キスだとか前戯だとか雰囲気だとかに全く興味を示さない。というか、そういうのが本当に解らないらしい。



で、幸子の穴はメチャクチャ気持ちいいのに……いや、だからこそ、セックスに感情が伴ってないことに福田はストレスを溜めていく。

一般的な男女とは立場が逆なワケだけど、もしかすると女性にもセックスに感情を求めない人がいるかも知れない。ふみふみこさん(原作者)が実はそうで、宇宙人っていうのは自虐の意味を込めたメタファーなのかも?

そんな幸子に、なぜか福田は惹かれていく。いつでもチョメチョメさせてくれる元カノ(青木佳音)にはちっとも欲情しないのに!



それは幸子の方が可愛いからなのか、若いからなのか、穴が気持ちいいからなのか? それとも、得られないからこそ求めてしまうのか?

そこんとこは謎のまま、めでたく子供を宿した幸子は、宇宙へと旅立つのでしたw



2幕目は、チビでハゲでおまけに真正のゲイという、三重苦を背負った中年教師(酒井敏也)に恋してしまった女生徒=小鳩(石川優実)の苦悩が描かれます。

振り向いてくれる筈のない相手を無理やり振り向かせるため、その弱みを握ってブタ扱いしちゃうサドとマゾのお話だけど、LGBTが理解されるようになってきた今となっては、むしろ小鳩の方がよっぽどマイノリティーで息苦しかったりする。

実際、先生がヤケになってゲイであることを授業でカミングアウトしたら、生徒たちが「そんなのとっくにバレてるよw」って、逆に場が和んで先生が救われ、小鳩がますます孤立しちゃう皮肉なシーンもありました。



クラスで孤立したような経験が無い人や、多数派に属することがステイタスだと思ってる人には、まったく響かない作品かも知れません。実際、アマ○ンのレビュアーたちはこの映画をどう楽しめばいいのか全然分からないみたいです。

だけど私は共感しまくりました。幸か不幸かw

いや、意外と、この映画の幸子や小鳩みたいな人は、決して少数派じゃないのかも知れません。みんな必死に隠してるか、自分はそうじゃないと無理して思い込んでるだけで。その方がよっぽど息苦しいのでは?

鑑賞後になぜか爽やかな後味が残るのは、幸子や小鳩こそがよっぽど自分らしく生きてるからかも知れません。

セクシーショットはこの映画のヒロインたち。市橋直歩さん、青木佳音さん、小林優実さんです。本物の女子高生と違うから、消すなや事務局はん。


 

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「尾道、さびしんぼうの旅」後篇

2023-04-01 13:05:03 | 日本映画

まぁホントはポータブルのDVDデッキかノートパソコンで映像と照らし合わせながら探索すべきなんだろうけど、持ってないから仕方ありません。ガイドブックと記憶だけが頼りです。

フェリー乗り場と商店街は誰でも簡単に行けるけど、ここは徒歩だと難しい。『さびしんぼう』の主人公=ヒロキ(尾美としのり)が住んでる設定だったお寺、西願寺です。



山門前の石段は幾度となく登場したけど、特にヒロキとさびしんぼう=タツコ(富田靖子)の別離シーンは思い出すたび胸がキュンとなります。


釣鐘も印象的に使われてました。


浦辺粂子さん扮するお祖母ちゃんとヒロキのとぼけた会話で、お墓のシーンもほんわかした印象。お祖母ちゃんだけが唯一、さびしんぼうの正体に最初から気づいてたんですよね。(と言うより見分けがついてなかったw)





とっても高い場所にあるお寺なので、尾道の町と海が一望できます。道は細いし、もしジムニーでなければスンナリとは辿り着けなかったはず。親友Hに感謝!

そして石段を降りてすぐの坂道。百合子(富田靖子、2役)が自転車でたまたま通りかかる場面も屈指の胸キュン・シチュエーションでした。


その後日、自転車のチェーンが外れて、百合子が「ここで」途方に暮れてたのは偶然じゃないのかも知れません。

尾道ならではの急傾斜。だから徒歩だと難しい!

そして最後に訪れたのは、百合子が通い、ヒロキが望遠レンズで覗き見する女子高の撮影で使われた中学校。実際は共学みたいです。


部活動で生徒さんが沢山いて、不審者と思われたくなかったもんで写メは1枚だけ。

西願寺とはけっこう離れてるから、Hがジムニーで来てくれてホント助かりました。もっと細かく、じっくり探索するにはレンタル自転車を利用するのがベストかも。

だけど私はそこまでこだわる気が無く、ロケ地の空気感を味わいたかっただけなので、これくらいの加減でちょうどいい。

岡山・倉敷も含めて3日間、ずっと快晴で寒くも暑くもなく、ベスト・コンディションで旅が出来ました。そもそも昨年亡くなった父の法事で来ましたから、父が護ってくれたのかも知れません。

帰りの途中、Hと私の共通の友人であるN君とお茶することになり、彼が住む尼崎に向かって出発。

するとモノノフ(ももクロ狂い)のHがなぜか廻り道して福山市民球場へ。



今月、ももクロのコンサートがここで開催されるんだそうです。行く予定してるワケでもないのに、なぜ下見する必要がある?w

こんな風に、いつも我道をいくHには昔から振り回されっ放し。だから遅刻魔なんですよね。予定より到着時間が遅れたのはこれが原因です、N君。全部ヤツのせいなんです!w



予定より1時間近く遅れたけど、N君とも無事に再会できました。3人が揃うのは15年ぶり位だけど、久し振りって感じが全然しない。別に照れることもなく、一瞬で昔の感覚に戻れちゃう。そんな友達がいてくれるのは本当に有難いことです。

そんなワケで3日間、ホントに楽しい旅が出来ました。生き返ったような気がします。もうしばらく、頑張って生きて行けそうです。


 

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「尾道、さびしんぼうの旅」前篇

2023-04-01 00:40:25 | 日本映画

私が広島県 尾道市を訪れた目的はただ1つ。敬愛する大林宣彦監督の代表作である尾道三部作(『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』)のロケ地に自分の足で立ってみたかったから。

とはいえ、聖地巡りに使える時間はせいぜい半日。つまり多くは廻れないので、マイ・フェイバリット日本映画である『さびしんぼう』のロケ地、その中でも特に印象的だった4箇所に絞ることにしました。



その1つ目が、ヒロイン=橘百合子(富田靖子)が通学に使ってたフェリーの発着所です。

残念ながら春休みなので自転車通学の女子高生は乗ってないけど、まさに『さびしんぼう』の撮影に使われた「福本渡船」のフェリー乗り場。泊まった尾道ロイヤルホテルから近いし、JR尾道駅からでも歩いて行けます。



すぐ前に見える向島との間を頻繁に往復してますから、シャッターチャンスはいくらでもあります。



あの島に百合子さんが暮らしてるんですよねえ……



2つ目は、やはり尾道駅から歩いてすぐの、本通り商店街。自転車で走る百合子を追って、主人公のヒロキ(尾美としのり)が小坊主姿で駆け抜けました。



かつて銭湯だった建物がそのまま飲食店になってたり、ユニークなお店が多いです。



入口には林芙美子さんの銅像が。



すぐ近くに名画座「シネマ尾道」も。その隣の尾道ラーメン店で昼食を頂きました。



周辺も個性的な風景ばかり。いちいち写メしてたらキリがありません。

残りの2箇所は後篇にて。


 

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