ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『前田建設ファンタジー営業部』

2023-03-03 17:25:15 | 日本映画

日本映画のレビューですが、これは「春のマジンガー祭り番外編」とも言えるかも?

ダム、トンネルなど数々の大プロジェクトに携わってきた前田建設工業株式会社が「アニメやゲームに登場する建造物を実際に作ったらどうなるか?」を本格的に検証するWEBコンテンツ「前田建設ファンタジー営業部」を立ち上げ、それが「バズって」話題を呼んだ「実話」を映画化した、上田誠 脚本&英勉 監督による2020年公開作品。もちろん現実の前田建設さんが全面協力されてます。



2003年、前田建設の広報グループ長(小木博明)が突然「アニメ『マジンガーZ』の出撃シーンに登場する地下格納庫を、現状の技術と材料で建設したらどうなるのか?」を検証するWEB連載を提案。

マジンガー世代じゃない若手社員たちは嫌々ながらも、仕事だから仕方なくプロジェクトに携わるんだけど、架空のものに対して真剣に向き合う社内外の技術者たち(もちろんマジンガー世代)の姿を目の当たりにし、無意味と思ってた業務に本気で取り組むようになっていく。

やがて「ファンタジー営業部」と呼称される広報部のメンバーに、高杉真宙、上地雄輔、本多力、そして岸井ゆきのが扮してます。



まず、この世知辛い時代に、よくこんな話を映画化する企画が通ったなあって驚くし、キャストがまた豪華。まだ現在ほど売れっ子じゃなかったにせよ、ヒロインが岸井ゆきのさんですよ!



さらに町田啓太、六角精児、山田純大、鶴見辰吾、濱田マリ、そしてご本人役で永井豪御大まで登場されますから! 全然、そんな大層な話じゃないのに!w

だって、マジンガーZの格納庫(汚水処理プールの地下にあるやつ)を実際に造っちゃう話ならともかく、仮に造るとすれば何が必要になるか、費用と日数は一体どれくらいかかるか等を、ただ検証して見積もりを出すだけのストーリーなんです。



いや、だからこそなんでしょう。こんな地味な話を商業映画として成立させるには、実力があって客も呼べるキャストが必須条件だった。

映画が好きな人であればあるほど、舞台演劇的なオーバーアクションにはアレルギーがあるでしょうけど、本作に限っては受け入れなきゃしょうがない。ことさら賑やかに、面白おかしくやってくれないと寝ちゃいますからw

それを踏まえてのリーダー役=おぎやはぎの小木博明さん、ベリーナイス・キャスティングでした。他の俳優さんたちも皆、いつになく弾けまくっておられます。それを素直に受け入れさえすれば、いっさい退屈せずに楽しめます。

とは言え、やっぱり映画ですから、クライマックスにはこんなシーンも用意されてます。



全ての見積もりを終えた上での、あくまでシュミレーション(妄想)を映像化してるワケだけど、妙に感動させられます。マジンガー世代限定かも知れないけど。



しかし顔の造形がカッコ良くないのが残念! 野中博士さんか越智一裕さんに監修して頂きたかった!

そこはまあ、あくまで格納庫が主役だから仕方ありません。現実には不可能だろうと思われて来た、プールの下から巨大ロボットをせり上げるシステムが、知恵と工夫と大金と、途方もない時間と労力さえ費やせば可能なんだ!っていう事実を、理論と数字で証明しちゃうところにロマンがあるワケです。

そりゃあ、わざわざ映画館で観るべき内容とは言えないけどw、テレビでやるにはターゲットが限定され過ぎちゃう、むしろ映画でしか出来ない企画だったのかも知れません。

あまりに保守的な日本映画界には文句ばっか書いて来たけど、今回だけは「よくぞ(こんな超くだらないことをw)やってくれました!」って、拍手を贈らせて頂きます。マジンゴーッ!!


 

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『レンタル女子大生/私、貸します。』

2022-07-05 23:53:34 | 日本映画

2017年の劇場公開時は『レンタル女子大生/肉欲延滞中』、フェス出品時は『サイコウノバカヤロウ』というタイトルだった、当方ボーカル脚本、竹洞哲也監督によるピンク映画。

レンタル女子大生って聞くとド変態な皆さんはデリバリーヘルス的なもの、つまり風俗嬢の話を想像されるかと思います。ほんとド変態ですね! ああ汚らわしい!

しかし実はそんな話じゃなくて、間違いなく「レンタルなんもしない人」からインスパイアされたであろう、ただ依頼人の話し相手になったり付き添ったりするだけの「自分レンタル」をバイトにしてる若者たちのストーリー。

しかも主人公は女子大生じゃなく、その友達のニート青年だったりする! だから『肉欲延滞中』ってなサブタイトルも完全なる嘘っぱち。そこがまたピンク映画やアダルトビデオの面白さですw

それはともかく、女子大生=有希を演じておられるセクシー女優の、彩城ゆりなさん。しょっちゅう見てる誰か(AVとは違うジャンルの有名人)とソックリなんだけど、その人の名前がどうしても思い出せない。

この表情が一番よく似てると思うんだけど、誰でしたっけ?↓



で、ゆりなさん演じる有希に勧められて自分レンタルのバイトを始めた主人公=輝雄役が、櫻井拓也っていう役者さん。こんな顔の人です。↓ 



言っちゃ悪いけど、絶対にメジャー作品の主役には選ばれないであろうルックスで、ピンク映画でしか有り得ないキャスティング。それはご本人も自覚されてる事でしょう。

けど、この作品は、こういう人が主役だからこそ良いんですよね!

誰から見ても冴えないルックスで、ニートが本当に似合っちゃう彼が、自分レンタルの仕事で根っこにあるピュアな優しさを発揮し、悩める人たちを癒やしていく。

で、有希とはずっと「恋人未満」な関係なんだけど、彼女は輝雄のそのピュアな優しさに惹かれてて、だからこそ自分レンタルの仕事に向いてると直感した。



そんな2人の関係が微笑ましく、観てて心地好いワケだけど、もし仮に、同じストーリーをメジャー作品として創るとなれば、主役は菅田将暉くんとかになっちゃうワケです。それはもう絶対に避けられない。

菅田将暉くんは確かに素晴らしい俳優だけど、もし彼が輝雄役だったら、この作品の良さは伝わらないと私は思います。もちろん彼ならニート役でも完璧に演じるだろうけど、観客は「こんなイケてない役すら上手に演じちゃう菅田くんって、やっぱりステキ!」って思うだけで、そこにリアリティーは存在しません。

となると、輝雄の心根に惚れてる有希の方まで嘘っぽく見えて来ちゃう。菅田将暉のルックスあればこそじゃないの?って思っちゃうワケです。

だから、このストーリーはピンク映画でないと成立しない。マイナー作品にはマイナーでしか表現できない良さがある。たまに観ると新鮮に感じる所以です。



まあ、今回はそういうストーリーなもんで、濡れ場も有希の妄想として描かれるだけ。女子大生が考えることだから大したことはありませんw

ゆえにオカズとしての実用度は低いけど、そこがピンク映画とAVとの決定的な違い。やっぱり、映画は映画。そうであるべきなんです。


 

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『処女と初恋の森』

2022-07-04 16:16:13 | 日本映画

久々にCATVでピンク映画を観ました。なにしろピンクなもんで、このレビュー記事が生き残る可能性は極めて低いです。

それでも、骨折り損を承知の上でチャレンジする私こそ、エロの神に選ばれし生けるレジェンド。真の勇者でありハリソン・フォードなのです。

2020年の劇場公開時は『よがりの森/火照った女たち』、フェス出品時は『眠れる森のミチコ』、DVDリリース時は『林業の嫁/肉体の火照り』といった具合に、タイトルと編集内容が変遷していくのはピンク映画「あるある」。

恐らくDVD版が最も過激で、テレビ放映版のこれ『処女と初恋の森』は最もソフトなバージョンなんでしょう。

脚本は深澤浩子さん、監督は小関裕次郎さん、そして主演は、その芸名から多部未華子さんを意識されてるであろうセクシー女優、あべみかこさん。似てるとは言い難いけど、タベリストはせっかくだから多部ちゃんと置き換えて観るのも一興かと思います。



就活に失敗し、山奥で首吊り自殺しようとした青年=智樹(可児正光)が、そこで若い女の野ション現場に出くわしちゃう。

だけどその女=道子(あべみかこ)はまったく動じないどころか、もっと頑丈な(つまり首吊り向きの)木がある場所を親切に教えてくれるのでしたw



どうやら森林伐採の新米作業員らしい道子に、なんとなくついて行った智樹は、そこの親方(森羅万象)にスカウトされ、なし崩し的に作業員の仲間入りを果たし、欲求不満を溜めこんだ道子にレイプされw、なんとなく生きる気力を取り戻していくのでした。



さらに、杏奈(谷花紗耶)というオタク少女も登場! 彼女は親方がSNSで発信した林業のPR動画に、たまたま道子が写ってるのを見て訪ねて来た。

杏奈は地下アイドルグループ「ももいろぴゅあハート」の熱狂的ファンで、中でも「藍野みく」というメンバーの推し活をずっと生き甲斐にしてきた。そう、道子は、突然引退して行方をくらませた藍野みくなのでした。

智樹だけでなく、アイドルとして生きることに疲れ果てた道子と、にわかに生き甲斐を見失った杏奈という2人の若い女も、森林に癒やされ、エネルギッシュな男たちから活力を得て、なんとなく希望の光を見出していきます。



もちろんピンク映画ですから、杏奈にもちゃんと濡れ場が用意されてます。演じる谷花紗耶さんは子役出身らしく、主役のあべみかこさんより確かな演技力で作品を支えてくれてます。

クライマックスはもちろん、ちょっとだけ逞しくなった智樹と、潤いを取り戻した道子との対等なセックス。そうでなきゃピンク映画とは言えません。



やっぱり、たまに観ると新鮮なんですよね! ピンク映画には、メジャー映画やテレビ作品がどこかに置き忘れて来た……というより捨て去ってしまった「魂」がしっかり残ってる。

たった3日間で撮り上げたという映像にゴージャス感は無いし、有名スターも出て来ないけど、だからこそ出来ることがピンク映画には確かにある。

つまり、スポンサーとかタレント事務所とか女性観客とかに対する「忖度」がほとんど要らない。ムリしてジャニーズ系のイケメンだの謎解き要素だのを入れなくていい、まったくピュアな作品創り。必須条件は女子のヌードとセックスだけという、これぞ究極のロマン!

だからと言ってストーリーがスカスカじゃ駄目だけど、この作品はイケてます。登場人物がみんな活き活きしてる。

優れたピンク映画って、とにかく女の子が魅力的。あまり芝居が上手でないセクシー女優さんも、ピンク映画の中だと上手く見えちゃう。そうでなきゃ濡れ場が盛り上がらないから、創り手もそこに力を入れてるんでしょう。

この作品は2021年に発表された「ピンク映画ベストテン2020」で第1位を獲得し、あべみかこさんは主演女優賞に輝いたそうです。さもありなん。

だから勿論、すべてのピンク映画が優れてるワケじゃない。なんじゃこりゃ、っていう作品の方がたぶん圧倒的に多いけど、それはメジャー作品とて同じこと。ただ、ピンク映画の方が絶対ピュアだから、たまに観ると新鮮だし癒やされると、そういう話です。


 

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『この子の七つのお祝いに』

2022-03-28 00:00:19 | 日本映画

1982年秋に公開された角川映画をレビューしたいと思います。増村保造監督が手掛けられた最後の作品で、原作は第1回横溝正史ミステリ大賞を受賞した斎藤澪さんの同名小説。

唐突にこの作品を取り上げたのは、いつも愛読させて頂いてる KT Jacksonさんのブログで、最近KTさんが偏愛されてる映画として何度も登場してたから。

そう言えば予告CMは記憶にあるけど本編は観てなかったし、何よりあんなに面白い文章を書かれるKTさんが、夜な夜な繰り返しDVDを観ちゃうほどハマっておられる映画が、一体どんなだったか気になってレンタルせずにいられませんでした。

KTさんはあくまで「昭和」の風景や文化に対する懐かしさと、主役の1人であるナイスミドル俳優「杉浦直樹」さんへの憧れ……というより、やっぱ「偏愛」と言った方がしっくり来るw、かなりオリジナルな「惹かれる理由」を書かれているけど、それだけで夜な夜な観ちゃうほどハマるだろうか? もしかしたらご本人も気づかれてない、潜在意識に訴えるような何かがこの映画にあったりするのかも?って、そんな興味がメラメラと湧いて来た次第です。で、観ました。

結果、これは想像してたより相当深い作品で、しかも2022年3月現在だからこそ強く胸に迫って来るものがある!……のかも?って、私は感じました。KTさん! これ、もしかしたら凄い映画かも知れません!



この映画の本質を語るには、浜村淳さんばりに結末までストーリーをバラさないと語りようがなく、ミステリー作品ではありますが、浜村淳さんよりも簡潔に解説し、バラしますm(_ _)m

前半のストーリーテラーは雑誌記者の杉浦直樹さんだけど、その杉浦さんが中盤で殺され、後輩記者の根津甚八さんが彼の遺志を継ぎ、連続殺人事件の真相に迫って行きます。

これ、みんな角川さんの宣伝戦略に騙されてホラー映画だと思い込んでるけど、実は幽霊も祟りも一切出てこない、あくまでミステリーです。

杉浦直樹さんが何度も謎の激痛に襲われ、のたうち回るもんだから、てっきり岸田今日子さんの呪いだと思っちゃうんだけど、それも実はミスリード。「オレ、たぶん癌なんだ」っていうオチがつきますw(あの痛がり方は腎臓結石だと私は睨んでるけど)



で、連続殺人の真犯人は、岸田今日子さんに夜な夜な「私たちが貧乏なのは全部、よそにオンナを作って逃げたお父さんのせいよ」「だからお父さんを恨むのよ」「私が死んだら代わりに復讐するのよ」って耳元で聞かされ、言わば洗脳されながら育った娘=麻矢。



根津甚八さん憧れの人だけど杉浦直樹さんと愛し合い、チョメチョメしちゃうスナックのママ=岩下志麻さんこそ、ずっと父親を探し続けてる麻矢なのでした。被害者は皆、その秘密を知ってしまったから殺された。麻矢は杉浦さんを愛しながら、父親への復讐を果たす為に殺すしかなかった。



だけど本作の肝は、誰が真犯人かじゃないんですよね。割と早い段階で岩下志麻さんがそうだろうと察しがつくんです。昨今のミステリーは犯人当てゲームに終始してる印象だけど、この作品は全然違う!



じゃあ何が肝なのかと言えば、岸田今日子さんが娘をずっと洗脳し続けた理由です。時は昭和25年頃。

確かに今日子さんの夫=芦田伸介さんは彼女を捨てて逃げたんだけど、それは単なる浮気じゃなくて、背景に「戦争」があるんですよね。

終戦の時、芦田さんはすでに妻帯者だったけど、戦地から日本に帰国する為に他の女性、つまり今日子さんと偽装結婚する必要があった。

で、帰国しても妻の行方が分からず、そのまま今日子さんと暮らして麻矢という娘が出来るんだけど、麻矢はネズミに喉を噛み切られて死んじゃった!(当時はそういう事故も珍しくなかったとか)

そのショックで今日子さんは精神を病んでしまい、そんな時に芦田さんは偶然、本来の奥さんと再会してしまう! つまり、そういう事です。

芦田さんは充分な手切れ金を渡し、今日子さんは潔く身を引いた……と見せかけて、芦田さんと奥さんの赤ちゃんを誘拐し、麻矢として育てたワケです。



つまり岩下志麻さんは、ずっと今日子さんから嘘を吹き込まれ、実は被害者でもある父親を殺す為だけに人生を捧げ、連続殺人を犯してしまった。

芦田さんと甚八さんからその事実を聞かされ、志麻さんが絶望の淵に追いやられたところで、何の救いも無いまま映画は終わっちゃいます。

だけど、不思議とイヤな気分にならないんですよね。志麻さんは父親が憎いからじゃなくて、育ての母である今日子さんを愛してたから、あくまで彼女の為に復讐しようとしてた。恨みや嫉みじゃない、愛のストーリーだから全然イヤな気分にならない。ただ、果てしなく切ない気持ちにはなるけど……



さて、冒頭で「これは想像してたより相当深い作品で、しかも2022年3月現在だからこそ強く胸に迫って来るものがある!」って書いたのは、これは「愛」だけじゃなく、もしかしたら「戦争」の本質を追究したストーリーなのかも?って思ったから。

単に「女の情念」の恐ろしさや哀しさを描くだけなら、わざわざ戦争を背景に持って来る必要は無かったかも知れません。

一番の罪人は(一番の被害者でもある)岸田今日子さんだけど、彼女をプーチン大統領と置き換えて考えると、岩下志麻さんがロシア軍の兵士たちに見えたりしませんか? ロシアから離れる道を選んで侵攻される羽目になったウクライナが、まさに芦田伸介さんで。

ロシア軍の兵士たちで、自分たちがやってる戦争の意味を正確に理解してる人は少ないかも知れません。志麻さんみたいに洗脳されて。

あらゆる戦争がそんな構図で、みんな愛国心で戦ってるつもりだけど、実は狂人に騙されてるだけっていう……



まあ、この映画で描かれたような悲劇が、終戦から間もない日本には実際いくつもあったでしょうから、単にそれをネタに使っただけの話かも知れません。

で、映画が公開された’80年代にはすっかり過去の話で、2000年代に至ってはおとぎ話になりつつあった。けれど今、それほど遠くない場所で同じような悲劇がまた生まれようとしてる。

そんな今だからこそ、この映画が何かを訴えかけて来てるのかも? KTさんのアンテナがそれをキャッチして、さらに私が引き継いで、今この記事を読んでる皆さんにまた……

別にスピリチュアルな話をしたいワケじゃないけど、物事には必ず理由があると思うもんで、この映画や小説が創られた意味や、今になってKTさんがハマり、なぜか私も観てレビューを書きたくなった理由を、こんな風に「謎解き」してみました。



ところで、杉浦直樹さん。確かに魅力的です。セクシーかどうかは男の私には判らないけど、圧倒的に前向きなエネルギーを感じるし、俺ジナル溢れる演技でこの人が出てるシーンは退屈しません。

「可哀想にぃーっ!」って言いながら志麻さんにかぶりつくゲスさに爆笑しましたw



杉浦さんだけじゃなく、芦田伸介さん、村井国夫さん、室田日出男さん、小林稔侍さん、神山繁さん、名古屋章さん、戸浦六宏さん、坂上二郎さん等々、エネルギッシュかつ俺ジナルな芝居をするオジサンが目白押しで、最年少の根津甚八さんすらあの渋さw ジャニーズ風の兄ちゃんが1人も出て来ないキャスティングが素晴らしい!



女優陣は岩下志麻さん&岸田今日子さんを筆頭に、辺見マリさん、中原ひとみさん、そして畑中葉子さんと、これまた艶のある方ばかり。まさにオトナの映画!

そんなワケでセクシーショットは、後ろから前から畑中葉子さんです。


 

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『凶悪の牙』

2022-03-01 00:00:08 | 日本映画

1991年にリリースされた、成田裕介監督による東映Vシネマ。生島治郎 原作&又野誠治 主演による『凶悪』シリーズの第2弾です。

『クライムハンター』シリーズの流れを受けた前作『凶悪の紋章』(’90) はGUNアクションがメインだったけど、今回は殴る蹴るのボディーアクションがメイン。本来、又野誠治さんの武器はこっちですから、本領発揮で見応えも大幅アップしてます。



アクションだけでなく、お色気サービスもぬかりなし! 今回は当時の大人気セクシー女優=美穂由紀さんがブルース……じゃなくて会田刑事のセックスフレンドに扮し、又野さんと激しい濡れ場を演じてくれます。



だけどヒロインは美穂さんじゃなくて、燃えるいい女の小野みゆきさん。殺されたジャーナリストの恋人で会田の捜査に協力するんだけど、実は彼女こそ事件の首謀者だった!という、少ない出番で印象を残すオイシイ役どころでした。



ほか、前作から引き続きご登場のエージェント=矢部警視に、特別出演の原田芳雄さん。



殴り合いでブルースに負けて女を取られちゃうホタテマンに、友情出演の安岡力也さん。



さらにジョニー大倉さん、白竜さん、プロレスラーの橋本真也さん、そして懐かしのルビー・モレノさん等が脇を固めておられます。



又野さんのボディーアクションがたっぷり堪能できて、しかも前作より刑事物テイストが濃くなった分、この第2作目の方が私は楽しめました。けど、3作目が創られなかったところを見ると、売れ行きはイマイチだったのかも知れません。

あの『太陽にほえろ!』の晩期を支えたのは間違いなくブルース刑事ですから、又野誠治さんに魅力が無いなんてことは絶対ない。私自身、ブルースの主役回を一番楽しみにしてましたから。

けど、デビュー作で与えられた役があまりに良すぎると、卒業した後がかえって大変なのかも知れません。私が『太陽〜』で一番好きだったボンボン刑事=宮内淳さんも、ボンより魅力的な役に恵まれず俳優としては短命に終わっちゃいました。

又野さんの場合、いかつい役ばっかり演じて『太陽〜』で見せたコミカルさを封印しちゃったのが、私としてはすこぶる残念でした。今回の『凶悪の牙』では美穂由紀さんとの絡みで軽妙な芝居を一瞬だけ見せてくれたけど、あとのシーンはやっぱりコワモテで通してしまい……

いかつい風貌の人がいかつい芝居をしたところで、そのままなんだから面白くも何ともない。ずっと比較されて来た松田優作さんがコミカル志向だったから、あえて逆を狙ったんでしょうか?



関係ないけど会田刑事の愛銃がマグナムでもショットガンでもなく、スクエアバットのチーフスペシャル(S&W M36)なのが渋い! そこは原作通りなのかも知れません。



実は私、ちょっとだけ映像業界で働いた時期に、又野誠治さんと一緒に仕事したことがあります。『太陽にほえろ!』の刑事さんたちの中で現場をご一緒できた、唯一の俳優さんが又野さんなのです。

ちょっとだけお話する機会もあり、ブルース刑事のファンだったことはお伝えしたけど、過去の栄光に触れられるのはご本人的には愉快じゃなかったかも知れません。

撮影現場でも終始コワモテだったけど、メイキング用のカメラを向けた時だけは『太陽〜』でやってたようなお茶目なアドリブを見せてくれて、めちゃくちゃ嬉しかったしホッとした想い出があります。

亡くなられたのはその翌年で、私は葬儀にも参列しました。どうやら自殺らしいって事で、残念……そして勿体ないとしか言いようありません。

あの個性をもっと活かせる監督なり脚本家なりはいなかったの?って思うけど、ご本人も雑誌のインタビューで、いい人だったりコミカルだったりする役は全部断ったみたいな発言をされてるんですよね。

私は自主制作映画で役者もやってましたから、善人より悪人の方が演じてて楽しい心理も解るんだけど、客観的に見ると又野さんはコミカル路線の方が(例えば阿部寛さんみたいに)魅力を発揮できたような気がして……だから残念だし勿体ない。

なにかの本で、ショーケンさんが主演された深作欣二監督のアクション映画『いつかギラギラする日』の続編に、岩城滉一さんとダブル主演で又野さんの起用が決まってたのに、諸事情で企画が流れちゃったと読んだ記憶があります。

もし実現してたら、どんな役だったんだろう? また悪役だったとしても、深作欣二監督なら面白いキャラに演出してくれたかも知れず、その後の運命が変わってたかも?……なんて、今更そんなこと考えても仕方ないですね。

セクシーショットは小野みゆきさん、ルビー・モレノさん、そして美穂由紀さんです。


 

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