☆第10話『凶弾!涙の逃亡者』
(1996.12.18.OA/脚本=今井詔二/監督=村川 透)
吉松(梶原 善)という現職の制服警官が、街中でいきなり市民を拳銃で撃って逃走するという、前代未聞の事件が発生。
撃たれた穂積という男は幸い軽傷で済み、モデルプロダクションのマネージャーである彼は、吉松巡査がマキコ(久野真紀子)という所属モデルにぞっこんで、彼女が芸能界で売れなかったことを恨んで襲撃して来たんだと証言します。
警察組織の面汚しとして全国の警察官を敵に回した吉松だけど、広域捜査隊が調べを進めるにつれ、どうやら彼の犯行は単なる逆恨みじゃないことが分かって来ます。
吉松がぞっこんだったというマキコは今、麻薬中毒の治療で入院しており、どうやら彼女を麻薬浸けにしたのは暴力団と繋がる穂積らしい。
マキコとは同郷で、彼女を追って上京し、彼女を守るために警察官になった吉村は、その使命を果たすべく犯行に及び、今また再び穂積を狙おうとしてる。
そのやり方は間違ってるにせよ、兵吾(柴田恭兵)はじめ広域捜査隊メンバーたちは、ピュアすぎる吉松にいつしかシンパシーを抱くようになり、だからこそこれ以上の罪を犯させんと奔走します。
兵吾は、吉松からモデルプロダクションの捜査を依頼されながら無視した麻薬課の刑事を暴力で説得しw、情報を聞き出します。
一方、兵吾の元妻で課長の玲子(風吹ジュン)は、吉松の復讐を阻止できるのはマキコしかいないと考え、麻薬に溺れた自分にそんな資格は無いと固辞する彼女を懸命に説得します。
「資格じゃないわ、責任よ! 愛されてたことが分かったなら、愛しててくれた人にあなたは責任を取るべきなのよ! きちんと」
「責任……」
「そう」
しかし、間に合わなかった。撮影スタジオに現れてしまった吉松は、穂積をガードする兵吾たちに銃口を向けます。が、兵吾はこの時の為に携帯してた筈の拳銃を抜こうとしません。
「悲しいじゃねえか。いくら彼女の為とは言っても、おまえ警察官だろうが! 拳銃の訓練は人を殺す為にやってたのか?」
「お前らに何が分かる? マキコは子供の頃から俺に夢をくれたんだ。体の弱かった俺をずっと守ってくれた。今度は俺が守る番なんだよ!」
「吉松、守るって意味を教えてやるよ。守るってのはな、命を懸けるって事なんだ! 相手の命を奪う事じゃない、命を懸けて相手を守るって事なんだ!」
西崎(風間トオル)、杉浦(平泉 成)、たまき(黒谷友香)、秋本(梅垣義明)、工藤(志村東吾)も、誰ひとり拳銃を抜かずに吉松と向き合います。
「お前、まだ分かんないのか? 高見さんが守ろうとしてるのは穂積じゃないぞ、お前だ! お前を殺人犯にしたくないから守ろうとしてるんだ!」
「高見さん、自分も付き合いますよ。俺もこいつを犯罪者にしたくない」
「俺もっス!」
「私も!」
こういう刑事どうしの熱い絆やぶつかり合いの描き方がやっぱり『太陽にほえろ!』なんですよね。同じチームワークでも団長に絶対服従の『西部警察』とは質が違うワケです。
「撃てよ、吉松。お前を守りたいって言うこれだけの仲間を、撃って気が済むんだったら撃て! 吉松、仲間じゃねえか俺たち。そうだろ?」
上から目線じゃなく、同じ組織で働く仲間として接する兵吾たちを、吉松は撃つことが出来ないのでした。
捜査本部に連行される吉松を待っていたのは、虚ろだった表情に輝きを取り戻したように見えるマキコでした。
「あんたバカよ、私なんかの為に……でも、ありがとう。今度は、私があんたを守る。……ううん、違う。お互い、守り合って、支え合って、生きていこ。ね?」
『はみだし刑事情熱系』って、娘=みゆき(前田 愛)を想う兵吾の気持ちが事件とシンクロするかしないかで、感動の度合いが違って来るような気がします。今回は男女の純愛がテーマなもんで(少なくとも私は)いまいちハートに響いて来ないんだけど、そのぶん兵吾以外の刑事たちの熱い心意気が描かれたのは救いでした。
私自身がまだ若かった当時は、そういうのがこっ恥ずかしかったりしたんだけど、今は素直に「いいなあ」「やっぱコレだよなあ」って思います。それは自分が歳を食ったせいなのか、こういう熱いドラマが無くなったせいなのか……まあ両方なんでしょう。
セクシー画像はマキコ役の久野真紀子さん、出演当時29歳。モデル出身の女優さんで、Vシネマ『XX美しき狩人』等における大胆なヌード&艶技で注目を集めた方です。
刑事ドラマは他に『風の刑事・東京発!』『はぐれ刑事純情派』『相棒』『その男、副署長』『最強のふたり』等、テレ朝作品へのゲスト出演が多いようで、2005年以降は「クノ真季子」の芸名で活動されてます。