ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#102―1

2019-04-13 00:00:20 | 刑事ドラマ'70年代









 
鎌田敏夫脚本作(第101話)の翌週が市川森一脚本作という贅沢さ! しかもシンコ(関根恵子=高橋惠子)主演エピソードの代表作であり、ジーパン(松田優作)とのロマンスがいよいよ本格始動する重要作でもあります。


☆第102話『愛が終わった朝』

(1974.6.28.OA/脚本=市川森一/監督=木下 亮)

いや、それだけじゃありません。このエピソードの冒頭、シンコは深夜に1人でボス(石原裕次郎)のマンションを訪れ、ボスに命じられるままブラウスを脱ぎ捨て、清楚なブラジャー姿を披露するという、『太陽にほえろ!』史上で最もセクシャルな描写がある!

まぁ、当然ながらボスに下心は無く、シンコに極秘捜査を依頼する為に呼び出したら、たまたま急に雨が降って彼女がびしょ濡れになり、風邪を引かないようバスルームを提供し、バスローブに着替えさせたという流れがあるワケですが……

裸にバスローブ1枚という際どい姿で入って来たシンコに、寝間着姿のボスがこう言うんですよね。

「さぁ、灯りを消して」

(笑)

これもまぁ、捜査に使うスライド写真を映写する為なんだけど、市川さん、明らかに遊んでますよねw セックス描写は仄めかす事すら許されないという『太陽にほえろ!』で、一体どうすれば色っぽいシーンを創れるか、それだけを考えて書かれたに違いありませんw

だって、大映の「レモンセックス路線」でスターになった関根恵子さんをキャスティングしながらノンセックスだなんて、勿体無いじゃん!って、そりゃあ男性作家なら思うに決まってます。ガッチガチの健全路線に対する反骨心もあった事でしょう。

そんなワケで、ベッドにおける捜査会議を終えたばかりの不倫カップルにしか見えないシチュエーションで、ボスがシンコに下した極秘指令は、七曲署の少年係婦警=三好秋子(江夏夕子)に近づき、さりげなくガードすること。

秋子は、七曲署がマークしてる麻薬組織の下っ端、吉行 昭(内田喜郎)と恋愛関係にあり、どうやら捜査情報を彼に漏らしているらしい。こちらの捜査が進めば、彼女は組織に消されてしまう可能性が高いってワケです。

その任務をシンコは忠実に遂行し、秋子と親しくなるんだけど、警察の人間でありながら禁断の恋に溺れてる秋子を見て、同僚のジーパンに対する恋心を自覚し、彼女に共感していく事になります。

一方、捜査に行き詰まった藤堂チームは、警察の裏切り者=秋子を逆に利用するという苦肉の策に出ます。つまり、彼女に嘘の捜査情報を伝え、麻薬組織にトラップを仕掛ける。

刑事としては、私情を捨てて秋子を騙さないといけない。けれど女としては、彼女を恋人と一緒に逃がしてやりたい。そんな相反する気持ちに胸を引き裂かれそうになるシンコ。

そんなシンコの葛藤を悟ったのか、秋子は彼女の監視から逃れ、ジーパンに電話で「シンコさんを幸せにしてあげて」と告げると、茅ヶ崎まで昭に会いに行く。遅れて駆けつけたシンコが目にしたのは、無残な他殺死体となった秋子の姿。

やがて藤堂チームによって麻薬組織は制圧され、砂浜に逃げ延びた昭は、拳銃を片手にゆらゆらと、裸足で歩いて来るシンコと対峙する羽目になります。

市川さんの脚本では、ここで半狂乱となったシンコが、昭をはじめ麻薬組織の男たち全員の、太腿に片っ端から銃弾をぶち込んで行くという、実に正しくて爽快な描写があるんだけど、完成作品では地面に1発だけ威嚇射撃した後、ジーパンの胸で泣きじゃくるという、何ともインポテンツな描写に変更されてました。

その辺は恐らく岡田チーフプロデューサー、あるいはメインライター小川 英さんの意向でしょう。秋子がジーパンに電話を入れるセンチメンタルな描写も、市川さんのオリジナル脚本には無かった模様です。

個人的には、市川さんが書かれたハードな展開の方がずっと好みなんだけど、『太陽』の世界観やシンコのキャラクターを考慮すれば明らかに「やり過ぎ」で、変更やむを得ずだったのは納得出来ます。

そんなワケで、私自身は(センチメンタル過ぎて)あまり好きなエピソードじゃないんだけど、後に『NEWジャングル』でリメイクされるほど(第7話『婦警の恋』)、一般的には名作として知られた回です。

私にはストーリーよりも、シンコの下着姿がとにかく印象深い、いや、それしか記憶に残らない回でしたねw

秋子婦警を演じた江夏夕子さんは’70年代に活躍された女優さんで、’81年に俳優・目黒祐樹さんと結婚されて以降、女優としての活動はされてない模様です。
 
コメント
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