2007年の秋シーズン、フジテレビ系列の「月9」枠で全10話が放映された、東野圭吾 原作の刑事ドラマ……と言うよりミステリードラマ。
2013年には第2シリーズ全11話が放映された他、スピンオフドラマ2本と劇場版2本も製作された人気シリーズ。
頭脳明晰な物理学者=湯川 学(福山雅治)が、新米刑事=内海 薫(柴咲コウ)の依頼を受け、超常現象が絡む難事件の謎を解き明かすというストーリー。第2シリーズではヒロインがキャリア組の岸谷美砂(吉高由里子)にバトンタッチされてます。
ほか、北村一輝、品川祐、真矢みき、澤部佑、渡辺いっけいetc…といったレギュラーキャスト陣。
たぶん企画の原点は日本版『X-FILES』かと思われますが、この『ガリレオ』の大ヒットが日本のテレビ界を「天才(たいてい変人)が難事件の謎を解くドラマ」だらけにしてしまった、その罪は非常に重いかも知れません。
その切っ掛けを作ったのは『相棒』だけど、刑事が学者(変人)だの大富豪(変人)だのを頼るパターンが急増したのは間違いなく『ガリレオ』のせいで、近作でも『IQ246』『スニッファー』など枚挙に暇ありません。
もちろん中には面白い作品もあるんだけど、謎解きにあまり興味が無い私にとっては迷惑な事です。刑事物からアクティブな要素を奪い、すっかり地味なジャンルにしてしまった罪は本当に重い!
とは言え、最近になって初めて観た『ガリレオ』第1シリーズは、さすがに面白かったです。
同じ謎解きでも超常現象と思われた事件を物理学で解明していくストーリーはユニークだし、唐沢寿明、広末涼子、香取慎吾、堀北真希、深田恭子、久米宏etc…といったゲスト陣の豪華さは、さすが「月9」と言うほかありません。
メイン2人のキャラクターが魅力的だし、謎解きの過程も実に論理的でスリリング。このクオリティーをずっと保って行けたなら、そりゃあ大ヒットにも納得せざるを得ません。
事件の謎が深ければ深いほど喜ぶというキャラ設定は、後に登場する類似番組『MONSTERS』や『IQ246』の主人公たちも同じなんだけど、そんな不謹慎さを『ガリレオ』では「人が1人死んでるのに!」って、ちゃんとヒロインが諌めてるんですよね。それで主人公も素直に反省するという。
そんな当たり前のモラルが『MONSTERS』や『IQ246』では完全スルーされ、ゆえに主人公がただの謎解きマシーンにしか見えず、感情移入できないどころか薄気味悪くさえありました。
上記2番組の人気は『ガリレオ』に遠く及ばず、その原因を主演俳優さんの演技力と見る声も多かったけど、それ以前に当たり前のモラルすら忘れて、ただヒット作の上っ面だけ真似すりゃ当たるだろうっていう、創り手の姿勢にこそ問題があったと私は思います。
『ガリレオ』がなぜ面白くて、なぜ視聴者のハートを掴んだのか? 数ある亜流ドラマ制作者の皆さんには、もう一度この作品を観直して、よ~く考えて頂きたいもんです。
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