『デカワンコ』と同じ年に放映された刑事ドラマで、多部未華子さんがワンコ刑事とは対照的にシリアスな演技と、ささやかなお色気にも挑戦された『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』は、タベリストとして数年先に「あの時(少女からオンナへの過渡期)の多部ちゃんは、どんなだったっけ?」って、振り返りたくなる作品のような気がするんですよね。
黒木メイサさんの本気アクションと、金髪坊やL君のへなちょこアクションも(ネタとして)大いに楽しませてもらえたし、美咲(多部ちゃん)から東主任(北村有起哉)すなわち中年男への恋心なんて要素にも、タベリストはもっと萌えても良かったんじゃないでしょうか?w
そういうワケで、私は『ジウ』のDVD-BOXを買いました。まずは、コンパクトで高級感のあるデジパック仕様が良いですね。1枚1枚をページみたいにめくって行く構造で、それぞれ裏面にストーリー解説が印刷されてる分、ブックレットはありません。
最大の興味はやっぱり映像特典で、不要なL君の密着取材映像がくっついて来るのは仕方がないとして、メインとなるメイキングはTV放映もされなかった貴重な映像資料ですから、その出来如何で価値が決まると言っても過言じゃありません。
結果は、充分に満足させてもらえる内容でした。60分という尺もさる事ながら、こちらが観たいと思うツボを外さない誠実な作りで、女優さん達のインタビューもふんだんに入ってます。北村さんと城田優くんの素顔がまた、二人とも実に楽しいキャラで楽しませてくれます。
特に、けっこうタップリと見られる多部ちゃん×北村さんの掛け合いは、中年タベリスト必見かと思いますw 多部ちゃんが中年男とどんな風に会話するのかが、つぶさに、かつ臨場感をもって撮られてますから、とても勉強になりますw
他の特典で密着取材されてるからだけど、L君がほとんど登場しないのもポイント高いですね。ただし、多部・黒木・北村・城田の4名以外のキャストがほぼ無視されてるのは残念でした。伊武さんや岸本さん、石坂さんあたりのコメントも聞きたかったです。
ひと通り観た感想としては、とにかく主演女優2人の関係性と、仕事に取り組む姿勢が本当にカッコイイなぁと。シビレますね。
お互い、必要以上に人とベタベタしない性格という共通点を最初に感じ合い、解り合ったからこそ、適度な距離感を保ったまま、それぞれの役割を淡々と、的確にこなしてる。まさにプロフェッショナル!
クール過ぎずホット過ぎず。そんな両者の姿勢が現場全体にも浸透してる感じで、『デカワンコ』組のアットホームさとはまた違った形の、チームワークの良さを感じました。
クランク・アップの瞬間を見ても、多部ちゃんが泣いてないんですよね、珍しくw ダブル主演の相方と二人同時のALLアップ(最終回ラストシーン)とあって、ここは泣く場面じゃないっていう判断を、両者とも暗黙にしてたように感じました。
そこで二人が泣きながら抱き合うなり、握手するなりのパフォーマンスも有り得る場面だと思うのですが、二人揃ってそういうキャラじゃない。本人達が認めてる通り、内面が似てるんでしょうね、このお二人は。
それぞれの相手役である北村さんと城田くんが、揃って穏やか&お喋りな人であるのも、偶然にせよ良く出来たキャスティングだなぁと思いました。……L君以外はw いや、L君も素直でいい子みたいなんだけど、性格が良けりゃいいってもんじゃないですからねw
そんなこんなで、このメイキングは良かったです。レンタル版では観られないと思われますので、ここでファンの皆さんにお裾分けします。
☆門倉美咲を演じて
多部ちゃん「楽しかったですよ。一番、登場人物の中で、精神的にも体力的にも、強い女… 鉄のようなw そういう女性だから」
「すごく大変な事件を背負ってるにも関わらず、伊崎さん(メイサ)に対する愛だったりとか、東主任(北村さん)に対する恋愛感情だったりとか、そういう所にも重きを置いている美咲ちゃんというのがですねー、非常に……難解だったなぁって感じですね」
※トリビアその1
多部ちゃんの撮影初日は、両親との食事シーン。メイサは、美咲を脱がせた立てこもり犯との格闘シーンからイン。
☆伊崎基子を演じて
メイサ「撮影に入る前から原作を読ませて頂いて、すごい楽しみにしていたので、かなり気合い入れてやって来たつもりでいるんですけど(中略)精神的にも強くいなきゃいけないんだけど、私はどこかで基子って、弱さを抱えてる人なのかなと思ってたので… 人に付け入れられたくない所があるから周りを全部敵にして、自分が裏切られるのが嫌だから信頼する人も作らなくて、結局は自分を守ってる人なんだと思うんですよね」
「だから美咲のことも、嫌いとかじゃなくて、どっかでこう… 誰にでも素直に、真っすぐ生きられる、ああいう女性を、羨ましいというか、素敵なんだと思ってる部分があって、それを認められないだけ、なのかなと思いました」
メイサは、そんな基子は自分に似てる、とも語ってます。
☆多部ちゃんから見た、基子と美咲
多部ちゃん「すごい極端だなと思いますねホントに。基子のキャラクターも、美咲ちゃんのキャラクターも。どっちも無いかも。どっちも有る? どっちも無いかな。どっちも無いですね」
「でも、基子が美咲に対して、けっこうキツイこと言うじゃないですか。そういうのは解る。すごい解る(笑)」
☆メイサと多部ちゃんの距離感
メイサ「最初にお会いした時から、何となくどこかしら基子と美咲っていう感覚でお会いしてるんで、多部さんに。なんかこう、別に私も多部さんのプライベートとか、空き時間に何やってるかとか知りたいとは思わないし、多部さんもそれを知ろうとは思わないみたいな話を、撮影に入る前に何となく話せたので、もうそっから気楽に、別に現場で二人っきりで隣どうしで座りました、ちょっと待ち時間ですってなっても、普段だったらたぶん気を使って、何か話してみなきゃとか思うところを、それすら思う必要が無かったと言うか、だから私はすごく、多部さんにそういう空気を作ってもらえたのは、有難かったですね」
多部ちゃん「黒木さんは、現場で会うことは少なかったし、プライベートな話をワーワーしたワケじゃないんですけど、初めからすごく… きっと似てるんだろなと言うか、同じ匂いを感じるなっていうのは、ずっと思ってたんですけど、そこに入り込もうともしないし、私もマイペースだから(中略)お互い何かを主張し合わなくても、何とかなる人……って感じかな」
※トリビアその2
メイサのアクションは、思った以上にご本人が自分でこなしておられます。おそらく90%以上、吹替え無し。ロープ1本で廃ビルを登る場面もご自分でやられてます。ブラボー!
☆城田優くんのメイサ評
「(前略)僕は人間観察が趣味だったりするんですけど、本当にいつ見てても、スキが無いw 基子に似てる感じが… そういう人だからこそ、たまに笑顔を見せたりすると、ちょっとホッとするというか… すごい可愛く見えますね。あっ、黒木メイサが笑った!みたいなw感じでしたね」
※トリビアその3
旧知の仲である多部ちゃんと城田くん(無名時代に舞台で共演)の会話も見たかったですが、残念ながら収録されてませんでした。
ただし、城田くん殉職=出番アップの現場に多部ちゃんもいて、共演者みんなが城田くんと握手する中、多部ちゃんだけは(城田くんの手が血糊で汚れてるから)人差し指だけで握手するというw、仲良しでなければ出来ない冗談をかましてました。贈る言葉も「お疲れぇー」でしたからw、ほんとに友達感覚なんですね。羨ましいにも程があるw
☆美咲という女性
多部ちゃん「撮影が始まる前の方が、女性らしい女性らしいって思ってたけど、最後の方になって来ると、あんまり意識しなかったですかね… やっぱり刑事だし(中略)慣れて来てっていうか、役を3ヶ月やって来て、溶け込んで来たのかも分からないですけど、最初は色々考えてたのが無くなって、美咲ちゃんをやってたっていう変化はありましたね」
※トリビアその4
「なぜか多部さんには優しい、アクションコーディネーターの田渕さん」……さもありなんw
PS. ちなみに2枚目の画像は、美咲が犯人に殴られ、切りつけられる場面のメイクアップ風景です。
「本当かわいそう」とは多部ちゃんの弁で、自分で演じてる美咲に対して「ちゃん」付けで呼んでたり、すごく客観視してるのが面白いですね。普通の役者さんは、もっと自分自身と混同しがちだと思うのですが。
この後、メイクさんが「台詞は『……伊崎さん』だけだしね」って言ったら多部ちゃん大笑いして、「今日なに言うんだろって台本見たら、『……伊崎さん』しか言わないの」だって。萌えーw いやホント、めちゃくちゃ可愛いですから、タベリストはこれ買うべきですよ、やっぱりw
(つづく)
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