第1シリーズ全8話は2013年、第2シリーズ全6話は翌'14年、それぞれ春シーズンにテレビ朝日系列の木曜夜8時枠で放映されました。制作はテレビ朝日&東映。
交番巡査を長年勤めてた体重110キロの巨漢・花沢太郎(石塚英彦)が、京都府警本部の捜査一課長=錦織警視(高畑淳子)にその才能を見込まれ「課長付き特別班」の刑事に抜擢され、培って来た洞察力と持ち前の人懐っこさ(相手を油断させる笑顔)を武器に難事件を解決していく、石塚さんのキャラありきの刑事ドラマ。
楽しそうだけど「お涙頂戴」の匂いがしたもんで私は敬遠してたんだけど、最終回を観てみるとウェルメイドかつ真摯な作品で面白かったです。
レギュラー登場人物の1人である小鍋屋の女将・あかね(竹下景子)は、かつて芸妓だった時に殺人罪で逮捕され、服役後に社会復帰した人なんだけど、ひょんな事からそれが冤罪である可能性が出て来ちゃう。
本人は「間違いなく自分が殺した」「もう罪は償ったんだから蒸し返さないで欲しい」って言うんだけど、どうやら芸妓時代に妹分だった女性(中原果南)が真犯人で、彼女が当時お腹に宿してた子供の将来を守るために、独り身だったあかねが罪を被ったらしい。
課長は「真実を追及することが刑事の使命」と言い、両者に自白を促すんだけど、あかねに惚れてる太郎は「誰も幸せにしない真実」を暴くことに意味があるのか?と葛藤し、苦しみます。
通常の刑事ドラマなら、最終的には「真実の追及」を選択するしか無いワケだけど、本作は物的証拠が無いことを理由に「本人たちの意思に任せる」っていう結論を出すんですよね。あえて真犯人を見逃すワケです。
これはなかなか画期的で、最終回だから出来たことかも知れないけど、見応えがありました。
モラル的に正しい結末なのか否かは置いといて、惚れた相手の犯罪に悩み苦しむ主人公の姿には『太陽にほえろ!』のDNAを感じました。その相手役がまた、昭和の清純派女優を代表する竹下景子さんですからね。
レギュラーキャストは他に、課長付き特別班の同僚刑事に中村俊介、星野真里、捜査一課一係の係長に石丸謙二郎、刑事に陣内 将、刑事部長に嶋田久作といった面々。
好評につき続編も創られたワケですが、第1シリーズでは平均12.1%あった視聴率が、なぜか第2シリーズでは7.7%に落ち込んでます。私は未見なのですが、第2シリーズは作劇が倒叙法(冒頭で真犯人を明かす)に変更されたそうで、その影響もあったかも知れません。
そのシーズンはテレビ朝日の番組全体の数字が奮わず、テレ朝の社長が「(同時期放映の『BORDER』『TEAM/警視庁特別犯罪捜査本部』等も含めて)原因は刑事ドラマの不調にある」とし、具体的には「内容が女性視聴者に訴求できてないから」そして「謎解き要素が足りていないから」と発言されたそうです。
つまり、かねてから私が辟易してる「女性視聴者に媚びた番組創り」と「ひたすら謎解きに終始する作劇」が、視聴率を稼ぐための2大必須項目になっちゃってる。そこにいくら文句をつけたって、そりゃ変わるワケがない。
もしかすると、ドラマ制作の現場で働いてる人たちの方が、私なんかよりよっぽど辟易されてるかも知れません。刑事ドラマが「女性向けの謎解き物」ばかりになってから、もう10年以上は経ちますからね。(そのマンネリ感こそが低視聴率の原因かも?っていう発想は無いのか社長には?)
で、倒叙法にチャレンジした『刑事110キロ2』や『BORDER』みたいな意欲作、『TEAM』みたいな異色作は会議室の連中にことごとく駆逐されちゃう。(『BORDER』が単発にせよ続編制作が叶ったのは、視聴率が右肩上がりに上昇したのと、ギャラクシー賞など複数の賞を獲ったからでしょう。それでも単発ですからね)
肥大化した多くの組織と同じで、いっぺん全滅でもしない限り体質が変わることは無いんでしょう、永遠に。クオリティーが落ちようがマンネリと言われようが、視聴率さえ良ければ『相棒』も『ドクターX』も延々と続いていくワケです。破滅です。
セクシーショットはレギュラーキャストのお一人、星野真里さん。刑事ドラマのゲスト出演は多いけど、刑事役レギュラーは本作が唯一かと思われます。萌えますw
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