あれよあれよと言う間に2018年が暮れようとしてます。今年、多くのニッポン国民が選んだ漢字は「災」。天災・人災を問わず災害ばかりが印象に残る年で、まさに「破滅です」を皆が実感した1年だったんじゃないでしょうか?
どう見たって世界は戦争に向かってるし、明らかに地球そのものがおかしいし、もっとミクロなところで言えばハロウィーンで馬鹿騒ぎしてる連中を見ただけで「もう終わってるな」って思わざるを得ません。
もはや日本どころか世界沈没、ニンゲン御破産です。(多部未華子さんご出演の舞台『ニンゲン御破産』録画中継は2018.12.29の14:30からWOWOWにて放映予定)
そんな絶望から逃げるんじゃなくて、だからこそ残された時間を目一杯楽しむべきなんだろうし、最も平穏な時代を生きて来られた幸運に感謝すべきでしょう。これからを生きていく世代にはホント申し訳ないけれども。
きたる東京オリンピックも大阪万博も、せめてものお慰みと言うか、現実逃避。それはそれで良いんじゃないでしょうか。どうせ破滅なんだから楽しめばいいんです。
映画『日本沈没』は1973年公開の東宝特撮映画。小松左京さんの大ベストセラー小説を、当時史上最高となる5億円の製作費で森谷司郎監督が映画化。TVシリーズ化もされ、2006年にリメイクもされた話題作です。内容は今さら語るまでもないでしょう。
45年前にこんな作品が生まれ、大ヒットしたって事は、とうの昔から漠然とした危機感を皆が抱いてたワケですね。『ノストラダムスの大予言』なんかも社会現象化してましたもんね。
映画としてはツッコミどころ満載かも知れないけど、昨今のCGじゃ到底味わえない手作り特撮の温かみを存分に味わえる作品として、理屈を超えた存在価値があると私は思います。
で、あらためて観ると、これは災害の恐ろしさよりも「故郷を失う」ことの切なさを描いた作品なんですよね。
未曾有の天変地異で日本列島が沈没し、生き残った人々が難民として世界各国へと散っていく。帰る場所を失っても、それでも生きていこうとする人間たちの逞しさ。主人公(藤岡 弘)は消息不明の恋人(いしだあゆみ)との再会だけを生き甲斐に頑張ってる。そういう相手がいる人は確かに強い。
つまり、どんな災難に遭おうと、どんなに環境が変わろうとも、人は順応してやって行ける、とても強い生きものなんだから諦めるなよっていう、創り手のメッセージなのかも? 多部未華子さんの『ルート225』にも通じるテーマです。
草なぎ剛くんが主演したリメイク版はアメリカ映画『アルマゲドン』みたいな自己犠牲のヒーロー談(つまりはお涙頂戴)になっちゃって、別に悪くはないけどテーマが矮小化しちゃってますよね。それは違うやろって私は思いました。草なぎ君が可哀想とかカッコいいとか、そんなスケールの話じゃないんだから。
そんなヒーロー談に酔って逃避するよりも、ちゃんと現実を受け入れた上で乗り越えていく逞しさを持とう。『日本沈没』とは本来、そういう作品なんだと思います。
日本人が祝う……というより騒ぐクリスマスやハロウィーンなんか現実逃避の極致で、ほんと格好悪くてお恥ずかしいったらありゃしない。受け入れなはれ。そして覚悟を決めよ。世の中は、そして人類は、もう終わりなんです。