2020年12月5日と6日にテレビ朝日開局60周年記念作品として2夜連続で放映された、テレ朝とワーナーブラザース・インターナショナルテレビプロダクションの共同制作によるスペシャルドラマ。
言わずと知れた'60年代のアメリカ産大ヒットドラマのリメイクですが、これはハリソン・フォード主演による映画版『逃亡者』('93) の日本製リメイクと言った方がしっくり来ます。そのまんまのシーンがいっぱいありました。となると比較しないワケにはいきません。
映画版でハリソンが演じた主人公に渡辺謙が、トミー・リー・ジョーンズが演じた捜査官に豊川悦司が扮するほか、夏川結衣、余貴美子、稲森いずみ、原沙知絵、前田亜季、杉本哲太、宇梶剛士、火野正平、三浦翔平、藤本隆宏etc…といった豪華キャスト陣が脇を固めてます。
結論から先に書けば、映画版の面白さには遠く及ばない凡庸な出来、と言わざるを得ません。もちろん私がハリソン・フォード信者であることは関係なく。いや、多少は関係あるかも知れないけどw、渡辺謙さんの演技は素晴らしかったと思います。
これはもう、創り手側が『逃亡者』という作品をどう捉えてるかっていう、根本的な問題じゃないでしょうか?
アメリカ映画版はスティーヴン・セガール主演のドンパチアクション『沈黙の戦艦』を大ヒットさせたばかりだったアンドリュー・デイヴィス監督が、そして日本のスペシャルドラマ版は水谷豊さんがただ突っ立ってひたすら謎解きをする刑事ドラマ『相棒』のメイン・ディレクターである和泉聖治監督が、それぞれメガホンを執られてる。そこの違いですよ!
つまり『逃亡者』をアメリカ映画版はアクション映画として、日本版はミステリードラマとして捉えてる。同じストーリーをベースにしながら、そしてそっくりなシーンがいっぱいありながら、創り手のアプローチが全く違ってるワケです。
日本版のスタッフは、なぜ映画版『逃亡者』があれほどの大ヒットを飛ばしたのか、まるで理解してないとしか思えません。
そりゃあ当時のハリソンは無敵の人気を誇ってたけど、スターのネームバリューだけで映画がヒットする時代は既に終わってました。しかも『逃亡者』なんて古典中の古典ですから新鮮味も無かった。
なのにあれほど大成功したのは、元はサスペンスと人情のドラマだった『逃亡者』を思いきってアクション物にアレンジし、そういうのを一番得意とする監督に撮らせたからに他ありません。
それを日本版はよりによって、あの『相棒』のメイン監督に撮らせちゃった。同じストーリーでも、そっくりなシーンがいっぱいあっても、アプローチが違えば仕上がりも全然違っちゃうワケです。(アクションの激しさやスケールの大きさじゃなくて、見せ方の問題。リズム的なもの)
日本版『逃亡者』は完全にミステリードラマでした。血沸き肉踊るような演出が皆無だし、BGMも辛気臭くて単調でまったく盛り上らない。まさに『相棒』そのまんまの雰囲気です。
そもそも大長編ドラマを2時間に凝縮させたアメリカ映画版に対して、日本版ドラマはその映画をベースにしながら倍の4時間に引き伸ばしてるワケだから、甚だしくテンポが悪い。普通は長くなった分だけ深くもなるんだけど、これは引き伸ばしただけだから逆に薄くなったように感じちゃう。
まぁ確かに、アメリカ映画版は細部をハショリ過ぎて話が解りにくい部分がありました。日本版はそこをじっくり描いてるから実に解りやすい。クライマックスには『相棒』よろしく事件のからくりを回想交えて細かに説明してくれます。
でもねぇ、アメリカ映画版がそういうのをバッサリ省いたのは、必要が無いからですよ。事件のからくりを説明することよりも、ドラマの流れを停滞させないこと、観客に爽快感を与えることを優先したからです。だから面白いんですよ! だから大ヒットしたんです!
分からない方が面白い場合だって多々あるんです。例えば日本版のトヨエツ捜査官は、クライマックスに入る前に「これこれこういう理由で渡辺謙は犯人じゃない!」って宣言しちゃうんだけど、アメリカ映画版のジョーンズ捜査官はそこを曖昧にしたままクライマックスに入っちゃう。もしかしたらハリソンを射殺しちゃうかも知れない不安をあえて残してる。その方がハラハラして面白いに決まってるし、最後に味方してくれた時の安堵感や爽快感も増すワケです。
なんでもかんでも解りやすく説明してやらなきゃ、日本のテレビ視聴者はついて来れないんだって、創り手が思い込んでるとしか思えません。バカにしとんかいっ?!
ドラマの面白さって、そういう事じゃないでしょう? 刑事ドラマのレビューでも再三書いて来たことです。だから今の日本のメジャー映画やドラマは観る気になれないんですよ!
今リメイクするなら今なりの、新しい何かを見せてくれるのかと思いきや、まさかの「30年近く前の映画を『相棒』風に味付けして4時間に引き伸ばしただけ」という……
そりゃあ、さすがに渡辺謙さんが主役ですから、その体当たりの熱演だけでも見応えはあるんだけど、だからこそもっとやりようがあったんじゃないの?って、私は思っちゃう。ほんと残念です。
私の中のハリソンフォード様の主演の最高傑作です
何が最高傑作かというと、ほんとにもう、
好きすぎて何回見たか覚えていないくらい
見ました。それほどハリソン様でハマったのは
ぶっちぎりだからです笑
サントラは多分、私の中の
ハリウッド映画の好きなサントラ
トップ5の中に常に君臨し続けます!
日本版にあの軽快なテンポがないならとても残念です
当然、軽快なサントラも重要な要素で、今回のドラマのサントラをキアヌさんがお聴きになったらハイパー激怒まちがいなし。配信動画でさわりだけでも確かめて頂ければ、怒りでパソコンを壊しちゃうかも知れませんw
テレビを見たことが刺激になって、犯人・片腕の男と逃亡者が一つ画面にあらわれる珍しい一作をブログにしました。