ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『警視庁鑑識班2004』2004

2019-05-20 16:20:02 | 刑事ドラマ HISTORY







 
2004年の冬シーズンに日本テレビ系列の水曜夜10時枠で全10話が放映された連続ドラマ。

元々は「火曜サスペンス劇場」枠で1996年から2005年まで全19作が制作された2時間ドラマの人気シリーズで、これは「火サス」から連ドラ化に至った唯一の作品なんだそうです。

主役は警視庁刑事部鑑識課の第一現場鑑識班員=中山淳彦(西村和彦)で、彼を中心に鑑識班の仕事ぶりが詳細に無駄なく描かれ、上層部からの圧力だの他の部署との確執だのといった、余計な対立ドラマは一切ありません。私はそこに好感を抱きました。

優秀な仕事をし、素晴らしい結果を出してるのに「お荷物部署」と言われたり、やれ「所轄が」「ノンキャリアが」「女が」「新米が」「乳首が」「足の裏が」って、いちいち差別されたりバカにされたりする描写って、本当に必要なの?っていつも思いますから。

主人公が見事に事件を解決させ、最後にそいつらの鼻を明かすような描写があるならまだしも、特にそんな場面も無く終わっちゃう番組も結構あったりする。そんなの視聴者を不快にすること以外、何の効果も無いですよね。

ヒットした番組にそういう描写があったからって、ただ真似すりゃいいってもんじゃない。必要なければバッサリ削って、そのぶん美女の着替えや入浴シーンなど真に重要な描写に全力を注ぎなはれ!って話です。

とは言え、ただ捜査&謎解きを描くだけじゃドラマになりませんから、初回は八丈島で起きた殺人事件の捜査がきっかけで、15年前に主人公=中山の父親を射殺した強盗犯=日野(杉本哲太)が島に潜伏してることが判明します。

その事件は時効寸前で、どうやら日野を匿ってるらしい妻(南 果歩)は「15年も静かに過ごして来た夫はもう更正してる」って言うんだけど、中山は夫妻の幼い息子をオトリに使ったり等、手段を選ばず日野の発見に執念を燃やします。

中山は鑑識課員であり、しかも事件被害者の遺族なもんで捜査から外されており、逮捕権もありません。にも関わらず、休暇を取って独りで日野を追ってる。彼の目的は復讐なのか?

執念の捜査が実り、中山が日野を追い詰めた時、彼の本当の目的が明かされます。日野に殺された中山の父親は、捜査課の刑事でした。日野たちが現金輸送車を襲撃する現場に1人で現れ、射殺されたのでした。

警察内部では、中山の父が強盗計画を事前に察知しながら、1人で手柄を立てるために誰にも言わなかったと噂され、その真意を知るのは彼を射殺した日野だけ。

そう、中山はただ、父が1人で強盗現場に現れた本当の理由が知りたかっただけ。日野に復讐するどころか、逮捕する気も無かったのでした。

で、中山の父は以前から日野に眼をかけており、犯行をやめさせたくて1人で現場へ出向いたこと、そして日野は相手が誰だか判らず反射的に撃ってしまい、殺す気など無かったことが判り、物語は幕を下ろします。

その後、日野が逃げたのか自首したのかは判りません。第2話以降でそれが描かれるのかも知れないけど、少なくとも第1話のテーマはそこじゃないワケです。

かように、徹底して無駄がないドラマなんですよね。今回の場合は事件うんぬんよりも、父親への想いを丹念に描くことで、主人公=中山淳彦の人物像を掘り下げることに注力したんだろうと思います。鑑識の仕事とは直接関係ないけど、それは2時間シリーズでさんざん見せて来たからって事でしょう。

それにしても、主人公が幼い子供をオトリに使っちゃう描写は、なかなかリスキーな賭けですよね。視聴者がそこで彼に共感出来なくなり、チャンネルを変えちゃう恐れがある。保守に凝り固まった現在の民放ドラマじゃ出来ない芸当かも知れません。

レギュラーキャストは、鑑識班メンバーに雛形あきこ、千原靖史、小林すすむ、松永久仁彦、主任にベンガル、係長に角野卓造、管理官に清水章吾、捜査一課刑事に森口瑶子、伊東貴明、三浦浩一、科捜研技官に本田博太郎、中山の母に草笛光子、妹に中山エミリが扮するほか、根岸季衣、柴田理恵、増田未亜といった布陣でした。
 

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