第4話のゲストは田中 実さん。『太陽にほえろ!PART2』の後番組としてスタートした大型刑事ドラマ『ジャングル』の新米刑事=中森真司役でデビューされた俳優さんで、その後のご活躍にも私は注目してました。
同じ日テレの『刑事貴族』シリーズやNHKの朝ドラ『凛凛と』、土曜ドラマ『チャレンジド』等、着実にキャリアを積んでおられたのに、この『デカワンコ』第4話オンエアから僅か3ヵ月後に自殺という形で他界されました。
とても真面目な性格であるのが画面から伝わって来ますから、我々シロウトには察しようもない悩み、苦しみが色々とあったんでしょう。だけど、それにしたって残念です。良い俳優さんでした。合掌。
☆FILE.4『嘘ってどんな匂い』
(2011.2.5.OA/脚本=伴 一彦/演出=国本雅広)
今回、ワンコ(多部未華子)は松葉杖を抱えて登場します。第3話で捻挫した足がまだ治ってないワケですが、普通の刑事ドラマなら撃たれて重傷を負っても翌週にはケロッと元気になってるもんですが……
「だって、普通の刑事ドラマじゃないんですから」
……と、恒例の自虐ネタw そもそも主人公が現実離れした設定なのに、警察組織や捜査の描写はやけにリアルなのが『デカワンコ』の特徴で、今回も刑事部屋でワンコが湯呑みを割っても「ホシが割れる」前兆として歓迎されたり、呑み会の締めに麺類は「捜査が長引く」からタブーだったり等の実在するゲン担ぎが紹介されます。
で、それがドラマ内の捜査状況と絶妙にリンクして、単なるトリビアで終わらないんですよね。
事件そのものは平凡な(?)密室殺人で、現場に残された遺留品から容疑者(田中実)が逮捕されるも、どうやら彼は誰かを庇ってるらしく、取調べの名手=シゲさん(沢村一樹)と組んだワンコが真実を究明して行くという、過去の刑事ドラマやサスペンス劇場でそれこそ何千回、下手すりゃ何万回と描かれて来たパターンのお話。
にも関わらず、やっぱり『デカワンコ』は『デカワンコ』ならではの見せ方をしてくれるから、本当に面白い!
今回は遺留品の匂いのみならず、容疑者がついた「嘘の匂い」まで嗅ぎ分けちゃうワンコの鼻が事件を解決に導き、コマさん(吹越 満)、キリ(手越祐也)に続いて主任のシゲさんも、彼女の存在価値を認めざるを得なくなっちゃう。
それが何とも痛快だし、感動的でもあるんですね。劣等生だけど人一倍の正義感を持つ、新米刑事の一途な情熱が、その奇跡的な嗅覚によって報われて行く。
つまり、天才的な頭脳だの特殊な能力だのを、単に謎解きの道具として使ってるだけの「捜査ドラマ」とは違うワケです。若者の成長ドラマこそが柱になってる『デカワンコ』は、やっぱり『太陽にほえろ!』の伝統を受け継いだ、真の意味での「刑事ドラマ」。
もちろん、コメディーセンスに長けた俳優さんばかり揃えた奇跡のキャスティングや、何より多部ちゃんのキュートさが最大限に活かされてるのも大きいんだけど、同じ枠で放映された『ドS刑事』が『デカワンコ』の面白さに遠く及ばなかった事実を踏まえても、やっぱ大事なのは脚本なんだってことをあらためて思い知らされます。
今回、人が嘘をつくと微妙に匂いが変わることに気づいたワンコは、第1話で殺人を自白した時のガラさん(佐野史郎)に、違和感を覚えたことを思い出します。
これがまた今後の展開に繋がって行くワケで、やっばり上手い脚本ですよね。『ドS刑事』も伴一彦さんに書いて頂くべきでしたw いやホントに。
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