ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『あきれた刑事』1987~1988

2019-02-09 00:00:08 | 刑事ドラマ HISTORY









 
1987年の10月から翌年3月まで、日本テレビ系列の水曜夜8時枠で全22話が放映されました。大ヒットした『あぶない刑事』と同じくセントラル・アーツ&東映の制作です。

お好きだった方には申し訳ないのですが、私は全く楽しめませんでした。’80年代に数多く生まれた「軽いノリの刑事ドラマ」の中で、最もスベった番組だったように(個人的には)思います。

『あぶない刑事』の長所を継承したとの触れ込みだったけど、私が口を酸っぱくして言ってるように、『あぶデカ』が素晴らしかったのは舘ひろしと柴田恭兵にコンビを組ませた事、その1点のみに尽きるワケです。

遊ぶように捜査をする軽いノリだとか、英語の歌詞によるスタイリッシュな音楽だとか、舞台が横浜だとか、そんな要素が『あぶデカ』をヒットに導いたワケじゃないんです。それらの要素はあくまでスパイスでしかなく、ひろし&恭兵という食材が無ければ何の役にも立ちません。

まぁ、それはこの『あきれた刑事(デカ)』や石原プロの『ゴリラ/警視庁捜査第8班』が同じ手法でスベった結果を見たから言えるんであって、やってみないと分かんない事ですよね。

『あきれた刑事』はサウンドトラックにわざわざ海外の大物アーティストを起用したそうだけど、私には本末転倒に思えてなりません。石原プロが『西部警察』の復活スペシャルで、わざわざ扱いにくい海外のスーパーカーを購入した愚行と似てますよね。前作の何がウケたのか、創ってる張本人たちがよく解ってないという……

『あきれた刑事』は、舘ひろし&柴田恭兵という食材に使ったのと同じスパイスを、より高級にして時任三郎&永島敏行という新たな食材に使って見せた。優劣の問題じゃなくて、どう考えたって合わないでしょ?って話です。イタリア料理のスパイスを日本料理に使ってるようなもんです。

時任三郎さんも永島敏行さんも良い俳優だとは思うけれど、このスパイスを使う食材としては、あまりにトンチンカンな選択だったんじゃないでしょうか?

ひろし&恭兵を組み合わせたスタッフさん達がされた事ですから、あえてミスマッチを狙うみたいな計算が、恐らくあったんだろうと思います。狙い過ぎると失敗しちゃうっていう、これは典型例かも知れません。

ドラマの設定も、変にヒネり過ぎてたように思います。時任さんは警視庁の「特別強行犯捜査課」に籍を置く「潜入刑事」って設定で、普段は身分を隠して「探偵」になりすましてる。つまり、本当の身分が刑事であるってだけで、やってる事はほとんど探偵と同じ。警察組織に縛られない自由な捜査が許されてる。

だったら最初っから探偵のドラマにすりゃええやん!ってw、私は思うワケです。逆に探偵が刑事を装って、バックに国家権力がついてるように見せかけるなら、まだ意味があるような気がするけど、刑事がわざわざ探偵を装うことのメリットが解んないw

そして、相棒の永島さんが裏社会に精通するアウトローな男で、時任さんから毎回ギャラを貰って捜査に協力する、要は情報屋みたいな存在なんだけど、これも何の為にそんな設定にしたのか理解に苦しみます。

警察から金を貰って動いてるアウトローなんか、ちっとも格好良くないですよねw だから「あきれた」って事なのかも知れないけど、何だか2人とも設定だけが一人歩きして、人間性がちっとも伝わって来ない。ゆえに感情移入できない。

感情移入できない連中が演じる「軽いノリ」ほど、笑えなくてムカつくものは他に無いですよw ホントに、彼らが演じるギャグは(私の感覚として)100%スベってました。一瞬たりとも笑えなかったし、ムカつきましたw

それに輪をかけたのが、関根勤さんや「ちびっこギャング」といったお笑いタレントの参入です。彼らが毎回、本筋と関係なくダラダラ演じる「ネタ」に、私はとても耐える事が出来ませんでした。ほとんど拷問に等しかったです。

軽いノリがウケるなら、お笑いのプロを呼べばもっとウケるだろうとでも思ったんでしょうか? お笑い番組でやってるコントと、ドラマや映画で描かれるユーモアとは、質が全く違うんだって事ぐらい、小学生でも分かると私は思うのですが……

河合美智子、網浜直子といったレギュラー女優陣も、いまいち魅力が感じられなかったです。女優さんのせいじゃなくて、描かれてるキャラクターに中身(人間性)が無かったからだと思います。

軽い人間を描けば軽いノリが生まれるってもんじゃない。共感できるキャラクターでなければ笑えないですよ、やっぱり。当時、多くの番組が、そこんとこを取り違えてたような気がします。

あと、時任さんも永島さんも、いまいち拳銃がサマになってなかった。そこが私にとっては致命傷だったかも知れません。

本放映の際は、初回だけ観てリタイアしました。今観たら感じ方が違うかも知れないと思って、近年CATVで放映されたのも観てみたけど、やっぱり笑えなくてムカつきましたw スベってるのが可笑しくて笑える番組(『スーパーポリス』とかw)もあったりするけど、この『あきれた刑事』だけはいつ観てもムカついちゃう。

たぶん、カッコつけてるからでしょうね。舘さんや恭兵さん、松田優作さんや沖 雅也さん、草刈正雄さんみたいに、カッコつけて本当に絵になる人じゃないと、それが笑いに繋がって来ない。

時任さんも永島さんも嫌いじゃないけど、そこんとこは大いに反省して頂ければと思います。
 

コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

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Unknown (ハッチ)
2019-02-09 23:30:21
こんばんは。確か時任さんと永島さんで、派出所ものの企画が決まっていたが、あぶない刑事のヒットで企画変更した、とtv 情報誌で読みました。セントラルアーツ制作ながら遊びに傾倒した感じは否めないですね
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Unknown (harrison2018)
2019-02-10 00:12:21
なるほど! 派出所の警官役なら時任三郎&永島敏行で全く違和感ありません。それを無理やりオシャレ路線に変えちゃったがゆえのチグハグ感だったワケですね。「ちびっこギャング」の二人が演じた制服警官コンビは、多分その名残なんでしょうね。
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Unknown (フルーツブラザース)
2019-02-10 12:36:54
もともとはもっとあぶない刑事ってタイトルで始まる予定でありましたね。もっとあぶない刑事じゃなくて良かったと思います。
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Unknown (harrison2018)
2019-02-10 13:45:35
まったくですね。これが『あぶデカ』の続編みたいに見なされたらたまったもんじゃありません。なんにせよ失敗作です。
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