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今の時代にこそ、あらためて見直すべき番組かも知れません。
1976年からスタートした石原プロモーション初のTV作品『大都会』シリーズが、’79年に大人の事情(詳しくは知りません)で放映局を日本テレビ系列からテレビ朝日系列に変更、と同時に設定やタイトルも一新し、究極の娯楽アクション刑事ドラマ『西部警察』が誕生。パート1は'79年10月から'82年4月まで全126話が放映されました。
放映枠は日曜日の夜8時。NHK大河ドラマに真っ向勝負を挑んだワケですが、当時は日テレも『俺たちは天使だ!』というヒット番組を放映中で、私はそっちにハマってました。だから私が『西部警察』を観始めるのは翌年からでしたが、すぐ好きになりましたね。好きになったんだけど、その反面あまりにB級な内容を、当時はちょっとバカにもしてました。
好きになった最大の要因は、兄弟番組とも言うべき『太陽にほえろ!』では有り得なかった「掟破り」の痛快さです。
『太陽』はとにかく生真面目な作品でしたから、七曲署捜査一係の刑事達は公序良俗に反する事や法律の枠からはみ出るような事は、まずしない。悪く言えばイイ子ちゃんの集まりなんです。
ところが西部署捜査課・大門軍団のデカさん達と来たら、犯罪者相手は勿論のこと、聞き込み相手とかでもちょっと態度が悪けりゃ、即座に殴る蹴るの体罰を与えまくるワケですw
取り調べで容疑者を落とす時に使うのは、緻密な心理作戦でもなければ泣き落としのカツ丼でもない。ただひたすら殴る蹴るの暴力あるのみw それでも落ちなければ拳銃の銃口を向けて「早く撃たせろ」と言わんばかりの脅迫三昧。それで得た自白証言が裁判で通用するんでしょうか?w
さらに、正攻法の捜査じゃ犯人逮捕は不可能と見るや、刑事達が一致団結して犯罪行為に手を染め、強盗や誘拐、監禁に拷問とやりたい放題。その際に駆使するのは緻密な頭脳プレーではなく、とりあえず殴る蹴るの暴力と銃による恐喝あるのみw
もちろん日本警察がそんな捜査(?)方法を許すワケが無いんだけど、なぜか木暮課長(石原裕次郎)が電話1本で全て丸く収めてくれるもんだから、皆さんやりたい放題。
そして彼らが、どんな場所でどんな絶体絶命の危機に陥ろうとも、大門圭介巡査部長こと団長(渡 哲也)が必ず間一髪のタイミングで現れ、ショットガンを百発百中の腕前でぶっ放し、敵を1人残らず皆殺しにしてくれるワケです。
そんなヤクザやテロリストよりタチの悪い大門軍団の在り方が、私は本気で羨ましかったんですよね。たまには七曲署もそんなムチャをやってくれないかなぁって思いながら『西部』を観てました。
ただしカーチェイスで横転炎上しまくるパトカー軍団や、無限大に撃ちまくる銃撃戦、やたら意味なく爆破される建造物etc……といった『西部』ならではのド派手な見せ場に関しては、当時の私は「あ、そう」ってな感じの冷めた反応でした。
まして「マシンX」なんていう秘密兵器搭載のスーパーカーが登場したり、殉職した筈の舘ひろし氏がシレッと別キャラで再登場するに至っては、いくら何でも子供騙し過ぎるやろ!って、すっかり観る気が失せたもんでした。当時の私は高校生で、ガキっぽいものに拒否反応が出ちゃう年頃でしたから。
だけど、中年になった今あらためて観ると、いい大人のスター俳優たちが真剣に身体を張って演じてる、その子供騙しこそが楽しくて懐かしくて、何だか癒やされるんですよね。
近頃、例えばアメリカ映画『パシフィック・リム』が怪獣映画である事や『ワールド・ウォーZ』がゾンビ映画である事を、日本の配給会社は宣伝で隠してたりします。それはサプライズの仕掛けとかじゃなくて、怪獣やゾンビはB級で子供騙しなイメージがあるから、集客にはマイナスの要素と見なされてるワケです。
刑事ドラマにおける派手なドンパチやカーチェイスも、いつの間にやら世間から「ダサい」と思われるようになって、より地味で現実的な描き方が「カッコいい」と見なされるようになっちゃった。
それと国内じゃアクションのロケ撮影が困難になる一方な上、深刻な不景気でテレビ番組の製作費も急降下。もはや『西部警察』みたく、やたら派手でムダに贅沢な番組を創る事は、物理的に不可能な世の中になっちゃった。
だから、今観るとかえって新鮮に感じるし、現在のテレビ番組では決して味わえない、創り手たちの熱気がビンビン伝わって来ます。それはやっぱり心地良いもんです。
番組スタート時の大門軍団メンバーは、前述の木暮課長と大門団長を筆頭に、タツ(舘ひろし)、リキ(寺尾 聰)、ゲン(苅谷俊介)、ジン(五代高之)、おやっさん(藤岡重慶)、そして「大門くぅ~ん」でお馴染み二宮係長(庄司永建)という布陣。
後にタツ、ジン、リキが殉職、替わってリュウ(加納 竜)、ジョー(御木 裕)、イッペイ(峰 竜太)、ハト(舘ひろし)、パート2でオキ(三浦友和)、パート3で大将(柴俊夫)、ジュン(石原良純)といった人達が参入します。
私は特に、セクシーで44マグナムがよく似合う寺尾さんと、初めてワイルドな魅力を披露した三浦さんに注目してました。武骨なのになぜか癒やされる苅谷さんの存在も貴重でしたね。
’84年の秋に放映された最終回スペシャル(団長、死す!)は、本放映の時は半ば笑いながら観てたのに、CATVで30年ぶりに観直したら、なぜだか涙が止まらなくなっちゃいました。
裕次郎さんがもうこの世にいないって事もあるけど、やっぱり「こんなムダに熱いドラマはもう、二度と観られないだろうなぁ……」っていう切なさ、郷愁みたいな感情が去来したんだと思います。
こういう表現を嫌う方も多いでしょうが、やっぱり「良い時代だったよなぁ」って、しみじみ思わずにはいられません。
個人的には団長・谷さん・リキ・ゲン・リュウ・ジンの布陣が一番好きです。
あ、これまた個人的な話で恐縮ですが西部警察署として使われていた建物の近くで昔、偶然働いてましたf(^_^;
喜び勇んで西部署を見に行ったのですが・・・既に新しいビルに建て替え後でした(T_T)
だんだんヒーロー番組まだみてるの?
みたいな小馬鹿にした扱いも受けるようになりますます孤立(笑)
そんなときに始まったこの番組に男子熱狂!
私からしたら変身しないだけでやってること一緒やん!と私以外のクラスの男子の脳内構造にすごく興味を持った作品です!
思春期の男子は子供扱いされるのが特にイヤで、ヒーロー物を卒業した気分になってるだけで、実はちっとも卒業できてない。そこを絶妙に突いたのが『西部警察』なんでしょうね。
最初スタッフは意識してなかったかも知れないけど、小~中学生層にウケてると知って途中からスーパーマシン等を登場させたんだろうと思います。
キアヌさんほど自分自身に正直になれる男子が、特に当時は少なかったんですよね。
中学の頃までハマってましたが、その後香港映画の特殊部隊系ポリスアクションに興味が移ってしまい、しばらく疎遠になってましたが、いろいろあって最近またDVDで見るようになりました。
ところで最近、二次創作で「西部署物語」なんてのを構想しています。
主役は大門軍団ではなく西部署交通課の婦警とその同僚の交通課・警ら課の制服警官たち。
「大門軍団なるヒーローの基地」ではなく「警察署」としての西部署はどんなのだろうか、というのが気になりましてね。
大門軍団との絡みとしては「煽り運転のハーレーによって事故が引き起こされ、その容疑者としてタツを取り調べ」とか「ハトのバイク(スズキ・カタナ)は(82年時点では)国内の法律に違反する仕様なので没収し強制的にパーツ交換してしまう」とか「大門軍団のマシンに嫉妬して自分等で白パトや白バイのエンジンに手を加えてしまう」とか…って何かドロドロしすぎですかね?
ファンによる二次創作なんて大抵独りよがりのつまんないものと相場は決まってますが、西部署物語にはぜひ映像で観てみたい魅力を感じます。タツがあおり運転の容疑者とかサイコーですw
大門軍団がやってることはほとんど全て犯罪ですからw、ネタは尽きないと思います。ジュンも是非いじってやって下さいw