ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『君の瞳をタイホする!』1988

2019-02-15 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY








 
1988年の冬シーズン(1月から3月)、フジテレビ系列の月曜夜9時、いわゆる「月9」枠で全12話が放映された「トレンディードラマ」の元祖と云われてる作品。連ドラの1クール(3ヶ月)括りが通常化したのもこの辺りからみたいです。

しかし本作を「刑事ドラマ」の歴史に加えて良いのかどうか、迷うところではあります。何しろビデオ撮影でアクションシーンはおろか謎解きすら無い、そもそも捜査するシーンがほとんど無い、これは「警察署を舞台にしたラブコメディ」なんですね。

東京・渋谷の道玄坂警察署に勤務する刑事たちは皆、ファッションモデルみたいに着飾った美男美女ばかりで、交わされる会話は「どの異性と付き合うか」「どこでデートするか」「どうやって口説くか」など、恋愛にも満たない遊びの話ばかり。

仕事でやる気を出すのは異性に良いところを見せたいか恋のライバルに差をつけたい時だけで、正義だの犯罪への怒りだのといった暑苦しい感情はいっさい無し。

『あぶない刑事』の主人公たちは遊んでるように見えても根っこに熱い刑事魂をちゃんと持ってたけど、いよいよそれさえも「古い」「ダサい」と言われる時代になって来たワケです。

たぶん、創り手たちは前述の通り「警察署を舞台にした(徹底してオシャレな)ラブコメディ」をやりたかった=女性視聴者を取り込みたかっただけで、従来の刑事ドラマを否定したり皮肉ったりするつもりは無かったんだろうと思います。だけどこれが予想以上にヒットしたもんで、ほかのドラマも「熱さ」を徹底的に排除するようになっちゃった。

この時期からしばらく、私はTVドラマをほとんど観なくなります。あまりに空疎すぎて観るのが苦痛だったんですね。今あらためて観てもやっぱキツイです。

道玄坂署・刑事課のチャラチャラした刑事たちに扮するのは、陣内孝則、柳葉敏郎、三上博史、浅野ゆう子、三田寛子、石橋 保、原田大二郎、交通課のチャラチャラした婦警に森尾由美、蓮舫(!)といったメンツ。そして恋のお相手として石野真子、工藤静香といった人たちが絡んで来ます。このキャスティングでちゃんとした(熱い)刑事ドラマが見たかった!

だから刑事ドラマとしては評価しようがないんだけど、TVドラマの流れを(私にとっては悪い意味で)変えた作品として、歴史にはやはり刻まれるべきかと思います。

主要キャストたちが本作で一気にブレイクされたのはめでたい事で、特にそれまで何かとバッシングの的にされて来た浅野ゆう子さんが、不器用なシングルマザー刑事を演じて女性たちの共感を得、やがて浅野温子さんと共にトレンディードラマの顔になられる事実は感慨深いです。

という事はつまり、『太陽にほえろ!』のマスコットガールに抜擢されながら女性視聴者たちの集中砲火を浴びて降板の憂き目に遭った、あの悲劇から10数年に渡ってゆう子さんはイビりに耐え続けて来たワケで、そんな世間の理不尽さと変わり身の早さにこそ驚きます。

ついでに言えば主題歌を唄った久保田利伸さんも本作で一気にブレイク。玉の輿に乗られた三田寛子さんや工藤静香さん、今や良くも悪くも国会の顔と言える蓮舫さん等、関係者みんなが大活躍されてることを思えば、好き嫌いは置いといて素晴らしい作品と言わざるを得ません。
 

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2 コメント

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Unknown (キアヌ)
2019-02-15 23:28:41
色気づいていた高校時代に見て見事にハマりました~
私はダサダサ君でしたがものすごく憧れました!!!

それまでのドラマの男性の衣装のイメージはなんかダサい、あまりこだわられていないのがおおかったですが、
(※探偵物語やアクションものの革ジャンは除くww)
これは毎回メチャメチャおしゃれな服装でビビったのをいまだに覚えています!!!



ドラマ終了後のエンディングも東京のおしゃれなお店で出演者のミニトークショーもあり、ドラマというよりは情報発信の面も強く意識されて作られていた感じが強かった気がします。

トレンディードラマのはじまり!!
バブリー、いい時代でしたね!!!
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Unknown (harrison2018)
2019-02-16 00:28:24
なるほど、トレンディードラマにハマるか否かは、ファッションに興味があるか無いかが大きな岐れ道みたいですね。私は全く無頓着ですからねw

ファッションに興味があればもう少し楽しい人生になったかも知れないと思うんだけど、こればっかりは性格ですから仕方ありません。

とにかく、一種独特な空気感がありますね。トレンディードラマはまさにバブルの象徴。ドラマは時代を写す鏡です。
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