ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『太陽にほえろ!』#302

2018-10-25 17:17:14 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第302話『殺意の証明』

(1978.5.12.OA/脚本=小川 英&四十物光男/監督=木下 亮)

放送300回記念イベントシリーズのトリを飾るのは名古屋ロケ編。ボン(宮内 淳)&ロッキー(木之元 亮)が我らが中京テレビ社屋を訪れます。(私の地元は中京テレビで『太陽にほえろ!』を観てました)

観光会社の社長=入江が殺され、現場に急行したボンが挙動不審な男=寺山(三浦浩一)に職務質問したら逃走。そして追い詰められた寺山が、その眼に一瞬だけ宿した強烈な殺意に、ボンは戦慄します。

それでボンは寺山が犯人だと確信するんだけど、証拠は無く、入江社長との接点すら無い彼には犯行動機が見当たらない。

それでも自分のカンを信じて寺山の身辺を洗ったボンは、かつて名古屋で彼と同棲していた女性=信子(新海百合子)が行方不明になってることを突き止め、殺されてる可能性もあると見てロッキーと二人で名古屋へと向かいます。

一方、藤堂チームの捜査により、殺された入江社長は養子の長男=収(内藤栄造)と折り合いが悪く、近々養子縁組を解消するつもりだったことが判明します。が、彼には確実なアリバイがある。

動機がある者にはアリバイがあり、アリバイが無い者には動機が無い。藤堂チームはこれが「交換殺人」ではないかと推理します。

つまり、収が殺したかった入江社長を寺山が殺し、換わりに寺山が殺したい誰かを収が殺そうとしてる。その収が名古屋へ向かったことが判り、ターゲットが信子であると確信したボン&ロッキーは、彼女の行方を必死に探すのでした。

交換殺人は今やミステリードラマ定番のネタですが、当時はまだ珍しかったと思います。でもそんな謎解きゲームは前半でサッサと片付け、後半は信子を守るために走り回るボン&ロッキーのアクティブな活躍をたっぷりと描く。これが『太陽にほえろ!』の醍醐味なんですよね。

白眉は、まだ開通前だった名鉄瀬戸線の地下トンネルを逃げる収と、追うボン&ロッキーの超長回しによる疾走シーン。

いつもの勇壮なテーマ曲は流さず、ただひたすらトンネル内を真っ直ぐ走る三人を、移動カメラで撮り続けるシンプルな演出。

ビデオデッキも無かった当時、私は毎週『太陽~』を録音して何度も聴いてたワケだけど、5分近くボン&ロッキーの足音と荒い吐息だけが延々と流れるテープを聴いて、何とも言えない気分になったもんですw

それが動画で見ると素晴らしい迫力で、映像の力と、人間が必死に走る姿の美しさ、そこに宿る活力をあらためて実感させられます。

『太陽にほえろ!』はやっぱり、走るからこそ良いんですよね。正味45分の「映画」なんです。ただ突っ立って謎解きするだけなら録音テープで充分です。

ほか、東山動物園やフェリー乗り場などが舞台になりますが、どれもストーリーにうまく沿った設定で、不自然な「観光地巡り」感はありません。(画像の名古屋城は予告編用の特写カットです)

ちなみに動物園ではゴリラがボン&ロッキーにウンチを投げつけるというハプニングがあったそうですw(自分を見に来た筈のお客たちが、二人にばかり注目するので嫉妬したんだとかw)

また、今回は柴田恭兵さん、坪田直子さんに続く東京キッドブラザースの若手スター・三浦浩一さんが初登場。同年秋の北海道ロケ編では純アリスさんも登場し、当時の東京キッド~の勢いには眼を見張るものがあります。(三浦さんは純さんと結婚され、後に舞台で多部未華子さんと共演する三浦涼介くんを生むことになります)

そして本作は、刑事としてのカンを信じて行動し、見事に事件を解決させるボンの頼もしさにも注目したいところ。恐らくこの時点では、秋の目玉としてボンの殉職が予定されており、その著しい成長ぶりはいわゆる「死亡フラグ」の一環と捉えることも出来ます。

ラスト、まさか交換殺人を見破られるとは思ってなかった寺山に、ボンは言います。

「ワケは簡単だ、寺山。お前の殺意だ。ほんの一瞬、俺を殺したいと思ったあの時のお前の気持ちが、俺をここまで引っ張って来たんだ」

テキサスやスコッチの後輩だった頃のボンには到底似合わない台詞で、ファンとしては感慨深いものがあります。
 

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