2006年に公開された、深作健太監督による東映配給の日本映画。言わずと知れた和田慎二原作の人気コミックを実写化したシリーズの、今のところ最終作。
1980年代に斉藤由貴、南野陽子、浅香唯らが扮したスケバン刑事=麻宮サキを、グループではなく単独で爆発的に売れたアイドルとしては史上最後の人であろう「あやや」こと松浦亜弥が演じてます。
そして超合金ヨーヨーでサキと渡り合うライバルで、実は同じ「マッポの手先」だった裏切者=秋山レイカ役に「モーニング娘。」の元メンバーにして当時「美勇伝」のリーダーだった、石川梨華。
「美勇伝」は「モー娘。」や「あやや」らの所属する「アップフロントプロモーション」が当時売出し中だった3人組ユニットで、あとの2人=三好絵梨香と岡田唯も主要キャストとして出演してます。
そして初代「麻宮サキ」と思われるサキの母親として斉藤由貴が特別出演するほか、刑事崩れにして暗闇機関のエージェント=騎村に竹内力、桑田佳祐そっくりな指令役=暗闇警視に長門裕之、敵のラスボスに窪塚俊介、といったキャスト陣が脇を固めてます。
この作品は10年以上前にレンタルDVDで初鑑賞、そしてこないだ東映チャンネルで二度目の鑑賞となりました。
初鑑賞時は「あややが歴代スケバン刑事の中で一番サマになってる」のは良いけど肝心のストーリーが「気絶するほどつまんない」っていう感想でした。
久々に観れば印象が違うこともよくありますから、それを期待しながら今回観直したワケだけど、感想はやはり寸分違わず同じでしたw
歴代に比して「あやや」のスケバン役はサマになってて、演技も上手いもんだから「ギャップ」の面白味が無くなったことも大きいけど、それより何より「深作健太監督のセンスと演出力の無さ」が致命傷レベルだと言わざるを得ません。
皆さんご存知でしょうが、深作健太は親の七光りでいきなりメジャー大作(お父上が大ヒットさせた『バトル・ロワイアル』の続編)を任された二世監督で、確かそのときも演出力の無さを叩かれた筈だけど、コネが何より物を言う芸能界ですから、こうしてセカンドチャンスが貰えるワケです。
初鑑賞時の私は、その世界からドロップアウトして間もない頃でしたから、ひがみの感情も多分にあったと思います。だからこそ、あの世界に対して何の感情も抱かなくなった今なら、もしかすると楽しめるかも?って。
けど、そんな感情はいっさい関係なかった。つまんないものはつまんない。ただそれだけ。
我ら昭和世代とは感覚が違うゲーム世代の監督が、それより若い観客に向けて創った作品だから、オッサンには理解できないんだろ?って、健太は言うかも知れない。けど、キミより若い監督が創った作品でも面白いもんは面白いって、ちゃんと理解も評価も出来ますから!
そもそも、この作品が大コケし、アップフロントプロモーションの時代は終わったような印象を世間に与えてしまった(と私は思う)結果が、何より全てを物語ってます。
クライマックスのアクションシーンで、麻宮サキをセーラー服じゃなくバトルスーツで闘わせたこともバッシングされてたけど、そんなのはごく些末なこと。ストーリーさえ面白けりゃ観客は真逆の反応をした筈です。
東映さんが監督のチョイスをもっと真剣に検討していれば、結果は大きく変わってたかも知れません。そう思わせるだけの力を、松浦亜弥さんや石川梨華さんはちゃんと持ってました。
特に松浦亜弥さんに関しては、今や懐かしグッズになっちゃったムック「刑事マガジン」の2006年号で、お世辞や忖度にはいっさい縁が無さそうな竹内力さんと長門裕之さんが「芝居勘が抜群にいい」「ある意味バケモノ」「俺なんかどうでもいいから、とにかくあややを観てくれ」って絶賛されてますから!
そんな彼女の魅力どころか『スケバン刑事』というBIGネームバリューさえ活かせず、どんな作品でも常に褒めどころを見つけてきた私にさえ「気絶するほどつまんない」と言わしめた深作健太の罪は計り知れないって、久びさ登場の宮藤官九郎さんが言ったとか言わないとか。
自慢したいだけで書きますけど、私はかつて人気絶頂期の松浦亜弥さんと一緒にお仕事させて頂いたメモリーがあるもんで、正直やっぱり、恨みの感情が入ってます。
あややは本当に凄かった! そんな逸材の勝負作を、親の七光りだけの凡才に任せてしまった日本映画界にこそ、深い深い恨みがあるワケです。
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