2017年に公開された、アンディ・ムスキエティ監督によるアメリカ映画。原作はスティーブン・キングの代表作で、1990年にTVドラマ化もされた作品です。
ホラー映画は滅多に観ないけど、評判良かったみたいだし、映画館で観た予告編が印象的だったんで、WOWOW放映を録画して観ました。
これは要するに、思春期の子供ばかりを狙う殺人モンスターに、スクールカーストの底辺にいる気弱な少年たちが立ち向かう冒険物語なんですね。
冒頭、主人公っぽく見えた少年が無惨に殺されちゃうもんで、この映画はタダモンじゃないぞって身構えるんだけど、それより怖いシーンは以後ありませんw
そうやって最初に観客をビビらせて、実際の主人公たちもいつ死んじゃうか分からないって、言わばミスリードしてスリルを煽る戦略。
でも本筋は彼らが恐怖を克服していく成長ストーリーですから、途中で死んじゃうことは有り得ないんですよね。
イジメっ子たちの標的にされ、いつも殴られたり逃げ回ったりしてる気弱な子供たちが、仲間を救うために勇気を振り絞ってモンスターに立ち向かっていく。
そのモンスターは、子供たちの恐怖心につけこみ、彼らが一番怖がってるものを(幻覚として)見せることで精神的に追い詰めていく。イジメっ子たちも含めて、その恐怖の根元が親の支配だったり暴力だったりする点が興味深いです。
この映画がウケたのは多分、そういった心理学的な側面もあるからで、それを一体どうやって解決していくのか、そのプロセスが気になって最後まで引っ張られました。
だけど結局、目には目をの暴力で解決しちゃうのがアメリカ映画なんですよねw 子が親を殺してハッピーエンドっていうのは、日本じゃちょっと有り得ないでしょう。
そこはモンスターをやっつけた事でコンプレックスを克服し、精神的に自立する形にして欲しかったです。もちろん、その親たちは殺されても仕方がない、根っからのクズとして描かれてはいるんだけど。
モンスターのやっつけ方にしても、子供たちが寄ってたかって殴る蹴るという、ただの集団リンチにしか見えないんですよねw 恐怖心でバラバラになってた気持ちを1つにする、いちばん感動的な場面の筈なのに、表現の仕方があまりにアメリカ的で笑っちゃうw
だから同じスティーブン・キング原作の少年物でも『スタンド・バイ・ミー』とは全然違う作品で、バイオレンスを好まない方にはオススメ出来ません。
ただ、子供たちのキャラがそれぞれ立ってて面白いですから、ホラー仕立ての『グーニーズ』だと思って観れば楽しめます。
特に紅一点=ソフィア・リリス(画像)の存在感が抜群で、彼女の下着姿に少年たちが息を呑むシーンや、淡い初恋描写などが、殺伐とした世界観をうまく和らげてくれます。
単なるお化け屋敷のアトラクションだけで終わらせず、ボンクラ少年たちの成長ストーリーにもしっかり力を注いだことが、大衆に支持された最大の要因だろうと思います。
だから、大人になった彼らが再びモンスターと戦うらしい続編には、私はあまり興味が持てません。この1作で充分ですよね。
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