ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『警視庁殺人課』1981

2018-11-23 00:00:09 | 刑事ドラマ HISTORY









 
1981年の4月から10月、テレビ朝日系列の毎週月曜夜9時枠で全26話が放映された、刑事ドラマのこれまた珍品です。制作はテレビ朝日&東映&藤映像コーポレーション。

いや、企画としては王道ド真ん中を行くものだと思うんだけど、視聴率の低迷により路線変更を強いられた挙げ句にヤケを起こし、とんでもない幕の閉じ方をやらかして、ある意味伝説となった作品です。

映画界のBIGスター達が次々とテレビの刑事ドラマでヒットを飛ばす中、満を持して登場したのが最後の大物・菅原文太さんでした。あまりに満を持し過ぎて、波に乗り遅れちゃったのかも知れませんw

(この年に新しくスタートした刑事物はTBS&大映制作・石立鉄男主演『秘密のデカちゃん』と『噂の刑事トミーとマツ』第2シリーズ、フジテレビ&セントラルアーツ制作・加山雄三主演『愛のホットライン』、日本テレビ制作・堺正章主演『キッド』等で、百花繚乱だった前年より本数はぐっと減少。刑事ドラマの一大ブームは去りつつありました)

文太さんが演じるのは、警視庁に新設された「殺人課」のリーダーに任命される、「捜査は戦争!」なんていう実に大雑把な信条を掲げたニューヨーク帰りのスーパーコップ=「ミスター」こと五代 尭 警部。使用拳銃はもちろんマグナム44!

以下、優等生キャラの若手刑事「秀才」に三田村邦彦、紅一点の「エンジェル」に一色彩子、肉体派の「ウルフ」に剛 竜馬、アクション派の「チャンス」に関根大学、デスクワーク担当の「ビショップ」に中谷一郎。

そしてミスターの上司にして良き理解者である田丸刑事部長に鶴田浩二、ミスターのライバル的存在の捜査一課長に梅宮辰夫(初期のみ)という東映任侠スターの仲間達が脇を固め、さらに鶴田さんの愛娘=里見奈保(現・鶴田さやか)も五代警部の妹としてレギュラー出演。

この辺り、当時すでにヒット中だった『西部警察』のキャラクター配置(石原裕次郎、渡哲也、古手川祐子)によく似てます。たぶんパクってますw

そもそも、時は既に’80年代。刑事に横文字のニックネームをつけるのは、もはや時代遅れで恥ずかしいって空気になってた中、照らいもなく「ミスター!」「エンジェル!」「チャンス!」ですからねw 役者さん達も内心「なんか、恥ずかしいなぁ」って思いながら演じておられた筈ですw

任侠映画や『トラック野郎』シリーズで文太さんと組んで来られた東映の本編スタッフさん達による作品なので、テレビ界の流れとか空気が読み切れてなかったのかも知れません。

オープニングのテーマ曲は軽快で格好良いんだけど、タイトルバックの映像がこれまた、微妙にダサいんですよねw ミスターの指揮の下、殺人課のメンバー達が射撃などの訓練を受けてるんだけど、どう見ても実戦で役立ちそうな動きに見えないw

メンバー全員が走行中の車から一斉に飛び降りる訓練とかしてるんだけど、そんなシチュエーションはニューヨークでも一生に一度あるか無いかでしょうw

第1話には千葉真一さんをゲストに迎え、鳴り物入りでスタートしたにも関わらず、前述の通り視聴率は低迷し、アクション路線を途中から人情路線にシフトするも回復ならず、第2話の12%をピークに数字は下降の一途を辿る事になります。

最初の数回は、紅一点の一色彩子さんが意味もなくオッパイを見せるサービスショットがあり、それもまたお茶の間を引かせた要因の1つかも知れません。

例えば捜査会議をしてる時に、一色さんだけ隣のロッカールームで着替えをしながら(もちろんノーブラ)、壁越しで会話してたりする意味の無さw 会議が終わってから着替えなはれw

深夜にこっそり観る番組なら大歓迎だけど、9時台と言えばまだ家族で観る時間帯ですからね。そりゃ気まずいでしょう。裏番組が当時人気絶頂だったバラエティー『欽ドン』なのも痛かった。

また、番組中盤からウルフ刑事が何の説明も無く姿を消して、二度と登場しなくなっちゃうんですよね。演じてた人が何かヤンチャをして本物の警察に行っちゃったそうです。

後に三田村邦彦さんが『太陽にほえろ!』にレギュラー入りされた時「もう刑事ドラマはやらないつもりだった」みたいな事を仰ってたんで、もしかすると『警視庁殺人課』の撮影現場は、空気があまり良くなかったのかも知れません。

で、このドラマが最後にどんな結末を迎えたか? ご存知の方も多いでしょうけど、本当にヤケクソとしか思えない「殺人課、全員殉職!」ですからねw

続編の製作が100%有り得ない、コケた番組にしか出来ない究極の最後っ屁ですよ、これは。素晴らしい!w

通常ならば、車にハネられた位でレギュラーの刑事は死なないし、銃で撃たれてもかすり傷でピンピンしてるもんだけど、この時だけはみんなアッサリ死んじゃうんですよねw

名だたる精鋭チームである警視庁殺人課を全滅させちゃう敵が、スクールバスを乗っ取ったバスジャック犯ってのがまた、微妙にスケールが…w せめて国際的なテロ組織とかにしてあげて欲しかった……いや、素晴らしい!w

負け戦を素直に認め、ならば敗者にしか打てない大花火を最後にぶっ放して伝説となる。やたら刑事を殺しちゃう事の肯否はともかく、実に潔くてカッコいい散り方だったと私は思います。
 

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