1979年春から日本テレビ系列の日曜夜8時枠で全20話が放映された東宝製作の探偵アクション。
前回も書きましたが、岡田晋吉プロデューサーはじめ『太陽にほえろ!』のメインスタッフ&キャストが大挙参加されており、ほぼ姉妹番組と言っていい作品ですから私は大ハマリしました。
音楽担当は『探偵物語』と同じ「SHOGUN」さんですが、スタートはこの『俺たちは天使だ!(以下、俺天)』の方が半年ほど早いんですよね。松田優作さんが当初ハードボイルド路線を狙ってた『探偵物語』をコミカルな「ハートボイルド」に切り替えたのは、SHOGUNさんの起用から見ても『俺天』の影響が確実にあったものと思われます。
つまり、その後『プロハンター』等へと続くオシャレな探偵コメディー路線の先陣を切った作品が『俺天』なワケだけど、そこは岡田晋吉チームですから青春ドラマ的な色合いも濃く、これはこれで独自の味わいがあります。で、私はその『俺天』味が一連の探偵ドラマ群の中で一番好きなんですよね。
東宝作品で『太陽~』の姉妹番組ですから、いくらオチャラケても根本は真面目で、越えて欲しくないリアリティーの境界線を(スレスレだけどw)決して越えない。
それと『太陽~』と同じくチーム物であることも大きい。私自身は独りぼっちでいるのが好きだけど、だからこそドラマには人と人との心地好い繋がりを求めてしまうのかも知れません。
また、若くして亡くなられた沖 雅也さんが主演された唯一の連ドラであることも、本作が忘れられない大きな要因になってると思います。
沖さんご自身、本作には特別な思い入れがあったようで、遺影に『俺天』の写真を使ってもらうよう遺書に書き残されてたそうです。それだけウェルメイドな作品だし、現場のチームワークも良く、撮影がすこぶる楽しかったみたいで、それが画面から伝わって来ます。
☆第5話『運が悪けりゃ女にモテる』
(1979.5.13.OA/脚本=和久田正明/監督=木下 亮)
キャプテンのルックスの良さを見込んで、ユリ(ホーン・ユキ)という女を誘惑して「間男」になって欲しい、との珍依頼が舞い込みます。
ユリは会社社長の竜吉(岸田 森)と親密な関係にあり、結婚間近と見られてるけど竜吉の親族は納得していない。依頼人は竜吉の妹=礼子(緑 魔子)で、不倫の既成事実を作って結婚を阻止したいというワケです。
なんだか危険な匂いがすると言うユーコ(多岐川裕美)の制止も聞かず、まずはナビ(渡辺篤史)、そしてダーツ(柴田恭兵)が嬉々としてユリに近づきますが、ことごとく玉砕w
で、真打ちのキャプテン(沖 雅也)がアタックするもやはりガードは固く、礼子に急かされて無理やりユリの唇を奪ったキャプテンは、竜吉に見つかってあわやセメント詰めの刑に。そう、竜吉の会社の実態は暴力団だった!
ところが、なぜか新妻署の刑事たちにキャプテンは救われます。実はユリの正体は麻薬Gメンで、大きな麻薬取引を控える竜吉に近づいて潜入捜査していたのでした。
その取引で1億円もの現金が動くことを知ったキャプテンたちは、例によってその横取りを画策するのですが……
もちろん、いつものように南雲係長(江守 徹)に見つかり、命懸けでネコババした1億円は没収されちゃいます。そんな意気消沈の天使たちに、今度はユリから「麻生キャプテンのことをもっと知りたいから」と身辺調査の依頼が舞い込むのでした。
こうして粗筋だけ書いてても実に楽しく、なんだか可愛い感じがするんですよね。殺人事件は起こっても殺人そのものは描かないし、けっこう凄いアクションを演じても見せ方は軽やか。ブーメランとかダーツとか頭突きとか、現実的に考えればかなり物騒なもん使ってるんだけどw
ユーコがキャプテンに恋してて、彼に間男の役をさせないよう策を講じたりする様子がまた可愛く、やっぱ岡田P流の青春ドラマなんですよね。そのへんが同じコメディでもアダルトな『探偵物語』とは違うところで、当時まだガキンチョだった私には『俺天』のテイストこそが合ってたワケです。
セクシー画像はもちろんヒロインの多岐川裕美さん、当時28歳。デビュー作の東映映画『聖獣学園』でいきなりヌードを披露されてますが、後にそれは監督に騙されての事と発言して物議を醸したり、東映から強引に事務所を移籍する等、ドラマ『柳生一族の陰謀』や『俺天』でブレイクされるまでは何かとスキャンダルが目立つ女優さんだったみたいです。
しかし私にとってはキャプテンに恋する純情なユーコのイメージが強く、後に『七曲署捜査一係』のメンバー「オネエ」も演じられる事だし、この方も忘れられない女優さんの一人です。
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