マカロニ(萩原健一)時代の第50話『俺の故郷は東京だ!』以来となる、坂口良子さん2度目のゲスト出演作。
前回はアイドル然とした可憐な演技を見せた坂口さんが、今回はアイドル然とした可憐な女子に見えて、実はその裏で……という、二面性を持った女を巧みに演じておられ、約2年間の成長を感じさせてくれます。
また、本作は『ドラえもん』の声優として有名だった女優=大山のぶ代さんが脚本に参加された事でも知られるエピソード。
恐らくヒロインの人物造形が大山さんのアイデアで、サスペンス的な作劇を四十物光男さんがサポート、それを小川英さんがまとめる形で創られた脚本かと思われます。
面白い、というか不思議なのは、本エピソードを含め5本の脚本を執筆されてる大山さんだけど、なぜか『太陽にほえろ!』以外の作品は1本も手掛けておられないんですよね。
何か特別な縁があったのか、あるいは大山さんが熱烈な『太陽』ファンだったのか、今となっては確かめるすべもありません。
☆第189話『人形の部屋』
(1976.2.27.OA/脚本=小川 英&大山のぶ代&四十物光男/監督=児玉 進)
ファッションショーのリハーサル中に有名デザイナーが毒殺され、人気モデルの二階堂ユカ(坂口良子)がファンからプレゼントされた、チョコレートに毒が盛られてた事が判明します。
となると、犯人の真の狙いはユカだった可能性が高いって事で、彼女を警護する長さん(下川辰平)。天真爛漫で自分を父親のように慕って来るユカに、長さんはメロメロになっちゃいます。
ところが、捜査線上に浮かんだ男がユカと一緒にいたという目撃情報が! ユカは、殺されたデザイナーが経営する洋装店の、有力な跡継ぎ候補だった……つまり、殺しの動機がある。
ユカの無実を願いながら、真相を追及する長さん。ショックを受けたユカは、マンションの屋上に駆け上がり、飛び降りようとします。そして、必死に抱き止める長さんを、今度は屋上から突き落とそうとするユカ。やはり、彼女が真犯人だった……
貧しい家庭で育ったユカは必死に働き、家計を支えて来た。その為に、今すぐにでも洋装店を継ぎたかった。
「ボス……あの子はきっと、子供でいられた時が無かったんです。だから、二十歳にもなってあんなに子供っぽく……そう思うと、無性に不憫で……」
ユカの部屋を埋め尽くすように並ぶ人形の数々は、彼女の歪んだモラトリアムを象徴してたワケです。私の部屋にも、マジンガーZの人形が無数に並んでますw
「すみません……年甲斐もなく、我ながらみっともない事でした」
「長さん、みんな同じだよ。同じ気持ちでなきゃ、誰も長さんをそんなに心配しやしないよ」
「ボス……」
そう、天真爛漫で一生懸命な若い女子に、オジサンは誰しも弱いもんなのです。そうですよね、ご同輩の皆さん?
私は違いますけどねw 私の場合は、ただエロ目線あるのみ。エロは嘘をつきませんw
女は、平気で嘘をつきます。ユカが長さんになついたのも、このお人好しそうなオジサンなら上手く騙せると直感したからでしょう。女は怖い!
長さんが若い女子に翻弄される構図は、コメディタッチの第40話『淋しがり屋の子猫ちゃん』を彷彿させますが、結末は正反対に厳しく、ほろ苦いものとなりました。殿下(小野寺 昭)と同じで、長さんにもこういう試練のエピソードが多いんですよね。殿下のせいです。
なお、今回は長さんの娘が人気モデル=ユカの大ファンって設定で、長さんファミリー(西 朱実、井岡文世、石垣恵三郎)も勢揃いで登場します。画像3枚目をご覧下さい。息子役の石垣恵三郎さん、顔の作りも表情も長さんソックリですw
それはともかく坂口良子さん、当時20歳。可愛いです。近年なにかと話題になった娘さん、似てなくはないけど、お母さんほどの華は感じないですね。
亡くなって六年、娘の杏里ちゃんは風俗嬢になってしまったのが残念です