ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ウルトラマンマックス』#01~#02

2020-01-12 22:22:29 | 特撮ヒーロー









 
2005年7月から翌年4月まで、TBS系列の土曜朝7:30枠で全39話が放映された、円谷プロダクション&CBCの制作による特撮ヒーロー番組です。

今回、今さら取り上げた理由は言うまでもなく、満島ひかりさんが『キラリラ・ティーン』と『クラリズム』の間にレギュラー出演されてた番組だから。本作で満島さんのファンになった人も少なくない筈で、これが無ければ現在のメジャー女優=満島ひかりの存在も無かったかも知れません。

『ウルトラ』シリーズにはハリウッドで制作された番組もあるし、劇場版、オリジナルビデオ作品、番外編的なものなど色々あるから位置付けが難しいんだけど、『ウルトラマンティガ』('96~'97) を起点とする平成TVシリーズとしては6作目に当たるみたいです。

前作『ウルトラマンネクサス』の内容が重かった反動と、メインターゲット=幼年層の親(つまり昭和のウルトラシリーズに夢中になった我々)世代も楽しめるようにと、この『ウルトラマンマックス』では原点回帰が計られ、お陰で非常に私好みの内容になってます。

作風が明るくなった事はもちろん、例えばウルトラマンがモードチェンジしたり、ウルトラマンどうしが戦ったり等といった、我々世代(少なくとも私)の眼から見ると「邪道」としか思えない設定や展開が排除され、シンプルさを取り戻してくれたのは本当に嬉しい限りです。

また、第1話には地球防衛連合の司令官として黒部進さん、生態学博士として桜井浩子さんが登場され、以降も森次晃嗣さんや二瓶正也さん、毒蝮三太夫さん等、昭和ウルトラシリーズのレギュラーキャストたちが続々とゲスト出演、さらに怪獣もシリーズ初期の有名怪獣たちをリバイバル、ナレーションはファンを代表して佐野史郎さんが担当される等、我々世代「も」じゃなくて「こそ」が楽しめる内容になってます。

そんな『ウルトラマンマックス』で満島ひかりさんが演じられたのは、地球防衛チーム「DASH」の専任オペレーターを務めるアンドロイドの「エリー」。

オペレーターなので基本的には基地から出ない役だけど、まれに戦闘に参加する際には上着を脱いで「アクティブモード」にチェンジし、キレのあるアクションも見せてくれました。

しかしそうして身体を動さかずとも、感情を排したアンドロイドの表情演技だけで我々の眼を釘付けにさせるのは、やっぱり凄いとしか言いようありません。

高校野球のアナウンスを参考にしたという話し方が耳に心地好く、美少女ぶりも際立っており、本来のヒロインであるミズキ隊員(長谷部 瞳、画像4&7枚目)の影が薄くなっちゃうほど輝いてます。

満島さんと言えば自然体の芝居が得意なイメージがあるけど、こういう言わば「不自然体」の芝居もこなせてこその自然体であり、どれだけ気持ちを入れようが高度なテクニックを抜きにして良い演技は生まれないって、当たり前なんだろうけど思い知らされます。

若手俳優がキャストの大半を占める特撮ヒーロー物は、演技力の面でどうしても弱さが出てしまうんだけど、その中にデキる演技者が1人でもいると画面が引き締まり、作品全体のクオリティーも底上げされます。満島さんの存在にはかなり大きな価値があったんじゃないでしょうか?

ほか、主人公のカイトに青山草太、DASH隊長に宍戸 開、隊員に小川信行、ショーン・ニコルス、といったレギュラーキャスト陣。お一人だけ飛び抜けてメジャーになられた満島さんは、さしずめ『スター・ウォーズ』旧三部作におけるハリソン・フォード、日本女優界のハリソン君です。
 
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『満島ひかり/クラリズム』

2020-01-11 23:23:06 | 写真集&イメージビデオ










 
2006年にリリースされた、満島ひかりさん(当時20歳)の4作目にして最後のイメージビデオです。(メジャーになられた後の『月刊 満島ひかり』は除く)

『キラリラ・ティーン』の時から僅か1年で随分とオトナっぽくなられました。セクシーさを演出した内容になってるのと、いつもよりややポッチャリされてることも要因の1つかと思います。(この撮影に向けて意図的に増量されたのかも?)

ただ、それを好むか否かは観る人次第。私はどちらかと言えばスレンダー好みだし、挑発的な衣装やメイクよりも日常におけるチラリ・ポロリ、でなければ無邪気に全裸というシチュエーションに萌えるド変態なので、個人的には『キラリラ~』の方が良かったです。

今回の『クラリズム』はもしかすると、満島さんご自身のアイデアが少なからず反映されてるのかも知れません。女性が考える女性のセクシーって、男が求めるものとは全然違ってたりするんですよね。

けど、ご本人はこの撮影を「めちゃくちゃ楽しかった!」と振り返っておられるので、そんな満島さんの幸せそうなお姿こそが、ファンにとっては何よりのプレゼントかも知れません。

インタビューのパートで「水着を着るのはしばらくお休みにします」と言っておられるのは、もうこういう仕事はしたくないって事じゃなくて、出来ることは全てやり尽くした充実感があったからかも知れません。

さらに今後の目標として「味の濃い感じの女優さんになりたいです」「いびつな柄の女優、みたいな感じがいいです」「私は女優さんやってますって言えるくらいまで、頑張らなきゃなって思っています」等と答えておられ、しっかりその通りに実現されてる今聞くと感慨深いものがあります。

諦めなければ夢は叶うなんて、断言できるほど甘い世の中じゃないと私は思うけど、こんな風に明確な目標、具体的なビジョンを持つと、実現する可能性が上がるのは確か、かも知れません。
 

 

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「新しいものを観たくないの?」

2020-01-09 22:40:43 | 日記
 
お正月恒例のテレビ番組で毎年ほぼ欠かさずに観てるのが、NHKの『新春テレビ放談』です。

各テレビ局の垣根を越えて前年のヒット番組を振り返り、その人気の理由を分析し、これからのテレビはどうあるべきかを議論するトーク番組。

コメンテーターに今回は日テレのヒットドラマ『あなたの番です』のプロデューサーさんや、テレ朝の人気アナウンサー・弘中綾香さんを迎えるなど、NHKにしか出来ないであろう攻めた内容で、どちらかと言えば玄人向けの番組かと思います。

で、毎年観るたびに痛感させられるのが、世間一般の人々がテレビ番組に求めるものと、私自身のそれとが如何にかけ離れてるかという現実。

毎回、10代から70代までの男女1000人にアンケートを取った人気番組(今回からYouTubeなど地上波以外の映像コンテンツも含む)ランキングが発表されるんだけど、今回ベスト20の中で私が観てた番組はたったの1本、第12位にランクインした連ドラ『凪のお暇』だけ。

で、第1位が私の大嫌いな『ドクターX』、第2位がもうとっくの昔に飽きた『相棒』ですからね。バラエティーや地上波以外も含む全ての番組のトップがですよ? 確かによく出来たドラマなのかも知れないけど、全ての映像コンテンツの中でトップになる程のもんですか?って言いたいです。

とはいえ、もし1970年代後半あたりに同じアンケートをやれば、私がこよなく愛する『太陽にほえろ!』も同じようなポジションにいたかも知れません。

このテのアンケートって、質問の仕方次第で全然結果が違って来ますよね? 私が2019年のベスト1を聞かれたら『これは経費で落ちません!』を挙げたいところだけど、もし街角でいきなり「好きなテレビ番組は?」って尋ねられて、とっさにそのタイトルが思い出せるかどうか、正直なところ自信がありません。ブログに何度もそのタイトルを書いてる私ですらそうなのに、そういう習慣がない人は尚更でしょう。

2019年に放映された全ての番組の一覧表を見せて選んでもらう、なんて面倒なことはまずしないでしょうから、たぶん上に書いたようなやり方なんですよね。だとしたら、とっさに頭に浮かぶのは長年親しんでる番組のタイトルですよ。特に『相棒』とか『ドクターX』って、いかにも憶え易くて忘れにくい、それを挙げて笑われる心配もない無難なタイトルです。

その2つ以外も長年続いてる番組やシリーズ物ばかりがランクインしてて、1クールしかやってない『凪のお暇』は例外中の例外。

そんな結果を見てコメンテーターの皆さんは「新しいものが受け入れられにくい時代」って分析されてたけど、それはちょっと真に受けすぎじゃないですか?って私は思いました。そんなこと言って新しいことを何もやらなくなったら、それこそ若い人は誰も観なくなって本当の「オワコン」になっちゃうのでは?

実際、連ドラは有名タイトルの続編やリメイクがますます増えて来た気がするし、それが面白ければ文句言わないけど、そもそもオリジナルからして大したことないものが多いんですよね、特に刑事ドラマは!

まぁしかし、それにしたってテレビっ子を自認する私がベスト20のうち1本しか観てない、他はほとんど1回も観たことがない(つまり最初から興味が沸かない)番組ばかりという事実には、ちょっと看過しがたいものがあります。

なにしろ'19年の連ドラ最大のヒット作として取り上げられたのが『あなたの番です』っていう、マンション内で起こる連続殺人事件の犯人当てゲームですからね。私が観たいリストから真っ先に外した番組ですよw

大多数の視聴者が新しいものを本当に求めてないのかどうかはともかく、私が早くからウンザリしてる「ゲーム感覚の謎解きドラマ」が相変わらず支持されてるのは確かで、そのこと1つだけ取っても果てしない感覚のズレを感じます。

そりゃあ自分が観たい番組が減ってく一方なのも当たり前で、そもそも期待する方が間違ってるのかも知れません。破滅です。
 
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『大空港』#16

2020-01-08 00:00:21 | 刑事ドラマ'70年代









 
殉職した梶警部(緒形 拳)に代わり、華麗なる中年刑事=薮下警部(田中邦衛)が空港特捜部に新加入してから2本目のエピソードであり、第3話に登場された松坂慶子さん2度目のゲスト出演作でもあります。


☆第16話『特捜部 対 ヤクザ/女医 三森亜矢子が敵の手に!』

(1978.11.20.OA/脚本=池上金男/監督=日高武治)

暴力団の隠れみの企業である羽根木総業が麻薬及び銃器を密輸入してるという情報をキャッチした空港特捜部は、その取引現場を見事に押さえるんだけど、あろうことか源田組の鉄砲玉がそこに乱入し、刑事たちの目の前で羽根木社長を射殺しちゃいます。源田組は羽根木総業と密輸の利権を争っていたのでした。

実行犯の中谷(磯部 勉)は加賀チーフ(鶴田浩二)に肩を撃たれたものの、緊急配備の網をかいくぐって逃走。さらに空港ロビーで源田組の幹部を狙った羽根木側の鉄砲玉が文字通り拳銃を乱射、巻き添えで幼い子供が犠牲になり、チーフが責任を問われる事態となります。

そんな折り、沢井空港長(池部 良)の姪っ子で国際保険機構に所属する医者=三森亜矢子(松坂慶子)が海外から帰国します。

亜矢子は加賀チーフ初恋の女性のひとり娘であり、亡くなったお母さんと瓜二つの美女。第3話でチーフと色々あったみたいだけど、私は観てないので知りませんw

ただ、両者互いに異性を意識してるのは確かなようで、そんな二人を運命的に(悪く言えば強引に)再会させちゃうのがドラマってもんです。

親友の信子(倉野章子)に呼び出された亜矢子が彼女のアパートを訪ねると、そこには肩に傷を負って寝込んでる、いかにも怪しい男がいるのでした。そう、冒頭で羽根木社長を射殺し、加賀チーフに肩を撃たれた鉄砲玉の中谷は、信子の別れた元亭主なのでした。

「亜矢子、助けて私たちを!」

信子は犯罪にいっさい関わってないんだけど、自分を頼って駆け込んで来た元亭主を放っておけず、優秀な医者である亜矢子に泣きついたワケです。

で、親友の頼みを断りきれず、亜矢子はその場で中谷の容態を診るんだけど、撃たれた傷より厄介なものを見つけてしまいます。彼は南アフリカから持ち帰った難病を患っており、早く処置しないと命を落としかねないのでした。

亜矢子は信子を説得し、大学附属病院に中谷を運びます。当然ながら警察に連絡が行き、加賀チーフと鯉沼(中村雅俊)がすぐ駆けつけるんだけど、患者の生命を最優先する立場にある亜矢子は、中谷への尋問を拒否。すると普段は犯罪者に容赦しない加賀チーフがあっさり引き下がったもんだから、鯉沼は面食らいます。チーフもやっぱり美女には弱いのか?

ここで鯉沼が、非常に共感できる台詞を吐いてくれました。

「こう言っちゃ何ですけどね、あんな虫ケラこのまま死んだ方がいいんじゃないですかね? どうせ捕まえたってゲロする筈ないし、生かしたって誰かに殺されるに決まってますよ」

おっしゃるとおり! 極道に走るような人間にまともな倫理が通じるワケがなく、情けをかけようもんなら足元を掬われること必至。事態をより悪くするのは眼に見えてます。

なのに加賀チーフは「人の命ってそんなもんじゃないだろう」なんて、面白くも何ともない綺麗事を言って鯉沼と我々視聴者をシラケさせるのでした。

そしたら案の定、中谷の病室に羽根木総業の刺客が侵入し、彼をかばった信子が身代わりに刺されちゃうという最悪の展開に。しかも中谷が敵から奪ったドスで亜矢子を人質にとり、瀕死の信子を置きざりにして逃走するという虫ケラぶりを遺憾なく発揮。だから言わんこっちゃない!

「俺がもっと強引にやれば良かったんだ……病人を何とかして生かそうとする彼女の必死な気持ちが解ったもんだから、つい……」

珍しく弱音を吐く加賀チーフに、亜矢子の叔父(つまりチーフ初恋の女性の兄)である沢井空港長が鋭いツッコミを入れます。

「彼女だから……亜矢子だからそうしたのか?」

「そんなつもりは無かった」

「いや、そうだよ。お前らしくもないじゃないか」

「…………」

初恋の人の娘だからなのか、あるいは空港長の姪っ子だからなのか、否、1人の女性として亜矢子を愛してしまったからなのか……? それは多分、チーフ自身にも分からないんでしょう。(はたから見れば美人だからに決まってるんだけどw)

決して本音を口にしないストイックな役柄が似合う鶴田浩二さんには、こういう禁断の年の差恋愛を演じる機会が多かった印象があります。NHK土曜ドラマの名作『男たちの旅路』シリーズでも桃井かおりさんとのぶざまな(だけど鶴田さんが演じるとカッコいい)ロマンスが描かれ、私は号泣させられた記憶があります。ちなみに桃井さんも松坂さんも当時は若かったw

さて、亜矢子を人質にとった虫ケラは、大学病院に鎮痛剤と逃走用のヘリコプターを要求して来ます。

そこで元特攻隊のパイロットだった加賀チーフ(鶴田さんご自身がそういう経歴の持ち主で、『男たちの旅路』でも設定に活かされました)がヘリを飛ばし、東京郊外の取引現場へと特攻! 他の刑事たちも駆けつけ、さらに中谷の口を封じようとする源田組の連中も乱入し、なかなか派手な銃撃戦が展開されます。ザッツ・刑事ドラマ! ゲッツ!

で、往生際悪く亜矢子に銃口を突きつけてチーフを脅した中谷だけど、肝心なところで発作を起こしてぶっ倒れるという、虫ケラに相応しいぶざまな幕切れ。

しかし虫ケラとはいえ病人は病人、助けてやらなきゃいけません。現場近辺には南アフリカの難病を治療できるような医者はおらず、救出されたばかりの亜矢子を頼るしかありません。

だけど亜矢子は、あんなに尽くしてた信子を見殺しにして逃げた中谷が、女としてどうしても許せない。今回ばかりは治療を拒否します。

仕方なく近辺の病院を片っ端から当たるよう指示するチーフに、鯉沼が言います。

「チーフ、まだヤツを救おうってんですか?」

「あの男がやったことは許せない。だがな、人の命に換わりはないんだ。出来るだけのことはやってみよう」

たとえ綺麗事でも、貫き通せばひとりの人間の生きざまとして説得力を持ちます。そんなチーフの姿を見て考え直した亜矢子は、治療を引き受け、見事に虫ケラの命を救ってみせるのでした。

事件解決後、あらためて礼を言いに来た加賀チーフに、亜矢子は言います。

「怖い方ですよね、加賀さんって」

「え?」

「いつも、命というものと真正面からぶつかり合ってらっしゃるから……お陰で私、自分が医者で良かったって、勇気が持てました。お礼を言うのは私の方ですわ」

「お礼だなんて……とんでもない事ですよ」

その後、三森亜矢子の再登場は無かったようなので、残念ながらノー・チョメチョメ。当時、刑事ドラマのボスはみんな独身で美女にモテモテなのに、我慢してばっかでよく気が狂わなかったもんだと思います。

松坂慶子さんは当時26歳。子役からスタートされ、16歳の頃に『ウルトラセブン』第31話にゲスト出演。ブレイクのきっかけは'73年のNHK大河ドラマ『国盗り物語』における濃姫役だけど、全国的に認知されたのは'79年のTBSドラマ『水中花』とその主題歌『愛の水中花』の大ヒットが大きかったんじゃないでしょうか。私もそれでお顔とお名前を認識した記憶があります。

この『大空港』はまさに大ジャンプに向けたステップの時期に出演されたもの。あまりに美人すぎてイマイチ人間味が感じられず、それが本格ブレイクまでに時間がかかった原因なのかも知れません。

他に刑事ドラマへのゲスト出演は『刑事くん』第3部 ('73) の第6話ぐらいしか見当たらず、そう言えば刑事役を演じられた記憶も無いし、ご本人があまりお好きじゃないのかも知れません。そう思えばこれは貴重なフィルムと言えましょう。
 
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『大空港』#14

2020-01-07 00:00:13 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第14話『いのち炎の如く 壮烈!! 梶刑事の最期』

(1978.11.6.OA/脚本=池上金男/監督=日高武治)

青森から東京に向かう特急列車内で某共和国の駐日大使が暗殺され、全国的なニュースになります。

そして新東京(成田)国際空港内のトイレでスリ常習犯の他殺死体が発見され、ワイヤーロープを使った殺しの手口が大使暗殺のそれと酷似してるため、空港特捜部のチーフこと加賀警視(鶴田浩二)は2つの事件の繋がりを探るよう部下たちに指示します。

そんな折り、銃弾の古傷が悪化して入院中の部下=梶警部(緒形 拳)を見舞いに行った加賀チーフは、主治医から梶の余命が良くて3か月であると聞かされ、愕然とします。

それに薄々感づきながら現場復帰する気満々の梶は、以前自分が逮捕して何かと面倒をみたベテランスリのオヤジ(花沢徳衛)が、殺されたスリの仲間だから何か知ってる筈だと息巻くんだけど、チーフは静養を命じて鯉沼(中村雅俊)と海原(高岡健二)にオヤジを当たらせます。

しかし、オヤジは確かに何か知ってる様子なんだけど、梶以外の刑事に協力する気は無いようで口をつぐみます。

オヤジは、殺された若手スリが最後にスッたパスポートを持っているのでした。その持ち主は、特急列車で共和国の大使を暗殺した殺し屋(浜田 晃)。スられたことにすぐ気づき、若手スリを捕まえて取り戻そうとしたんだけど、彼はすでにパスポートを仲間に渡してたワケです。

そのパスポートには大使館にいる黒幕(田口 計)が殺しを指示した証拠となるビザが挟まれており、殺し屋は何としてもそれを取り戻さなきゃいけない。

そこまでは知らないまでも犯罪の匂いを嗅ぎ付けたオヤジは、男手一つで育ててる愛娘の進学費用を稼ぐべく、パスポートの持ち主に取引を迫るという危険な賭けに出ます。

で、当然ながら殺されそうになり、すんでのところで鯉沼と海原に救われるんだけど、それでも捜査には協力しようとしない。

どうやら暗殺事件の背後には共和国の過激派が絡んでおり、早く殺し屋を逮捕しないと間もなく来日する同国の特使も狙われるに違いない!

焦った鯉沼たちはオヤジを説得するため、梶警部が余命3ヶ月である事実をオヤジに打ち明けるという禁じ手を冒します。

その頃、加賀チーフは病院に呼び出され、家族の希望により梶を退院させる意向を主治医から聞かされて、いよいよ大事な部下を失う覚悟を迫られます。

梶の妻(吉野佳子)と一緒に病室を見舞ったチーフは、温泉旅行を手配するから家族で行って来るよう提案するんだけど、退院できると聞いた梶の第一声は「おおっ、じゃあ明日からさっそく仕事だ!」でしたw

「バカ言っちゃいかん。退院はいいが、今言ったように充分家庭サービスをして、今までの借りを返したら出勤したまえ」

「……それは命令ですか?」

「命令だ」

たったそれだけのやり取りでも、鶴田浩二&緒形拳という名優2人が演じるとさすが、切なさが込み上げてきます。

で、仕方なく出勤を諦めた梶だけど、そこに知らなくていいことを知ってしまったスリのオヤジが駆けつけ、殺し屋のパスポートとビザを梶に渡してしまいます。

それを見て、間もなく成田に到着予定の特使が狙われることを察した梶は、病院を飛び出して空港に駆けつけ、その顔を知ってるオヤジと2人で殺し屋を探し回るのでした。

そして爆弾が積まれたトラックをリモコンで遠隔操作する殺し屋を見つけた梶は、特使を乗せた旅客機を守るためトラックに飛び乗り、なんとか衝突を回避させるもフェンスに激突、爆発したトラックもろとも炎上しちゃいます。

「せめて、家族旅行だけはして逝けば良かったのに……」

切ない顔でチーフはそう呟きますが、大好きな刑事の仕事に殉じて逝けたのは、梶にとって本望だったかも知れません。

だけど死に目にも会えなかった家族は切ないどころじゃ済みません。梶夫妻には5人もの子供がいるし、奥さん役の吉野佳子さんは後に『太陽にほえろ!』でもトシさん(地井武男)の奥さん役を演じて、離婚という憂き目に遭われます。

1978年秋、人気絶頂で「お化け番組」と呼ばれた日テレの『太陽にほえろ!』がボン(宮内 淳)の殉職を1年延期し、その隙を狙ったのかどうか分からないけどフジテレビ「月9」枠で放映中だったこの『大空港』は、番組スタートから僅か3ヶ月でベテランの梶を殉職させちゃいました。(緒形拳さんが最初から1クール契約だったんでしょう)

以降、1年半の放映期間で歴代レギュラー全10名のうち実に6名が死亡という、異常に高い殉職率で(全員一挙殉職の『警視庁殺人課』は例外として)『太陽にほえろ!』を遥かに凌駕する鬼畜番組として、この『大空港』も侮れない作品です。

セクシーショットは空港特捜部の紅一点=神坂紀子を演じた片平なぎささん、当時19歳。1年後に海外転勤という形で降板(そして後に殉職。転勤した人までわざわざ殺さなくても!)、一足先に殉職した中村雅俊さん主演の学園ドラマ『ゆうひが丘の総理大臣』の後番組『あさひが丘の大統領』でヒロイン=涼子先生役に抜擢され、やはり『太陽にほえろ!』で殉職したばかりの宮内淳さんと1年間共演することになります。当時のテレビ界はほんと殉職刑事だらけ。それが一種のステイタスになってましたね。
 
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