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2020年冬シーズン、日本テレビ系列の日曜夜10:30「日曜ドラマ」枠でスタートした新ドラマ。
巷で横行する悪質なパワハラやセクハラ、組織の不正や権力者への忖度など、グレーなまま闇に葬られそうな悪に白黒つけるべく、正体不明のアクションヒロイン=ミスパンダ(清野菜名)と彼女を操る謎のイケメン=飼育員(横浜流星)が暗躍し、真相を白日のもとに晒していくというストーリー。
要するに令和版『ザ・ハングマン』ってことで、ちょっと『キック・アス』みたいな雰囲気もあって期待したんだけど、これも何だかなあ……な仕上がりでガッカリです。やっぱり今の日本で痛快なアクション物を期待する方が馬鹿なんだと、こりゃもう諦めなきゃしょうがないんでしょう。破滅です。
そもそもアクションらしいアクションが観られたのは本筋と関係ないアヴァンタイトルのくだりだけで、それもほんの20~30秒であっさりしたもんだし、おまけに見せ方があまりにヘタクソ。ディレクターさんがアクションに全く興味ないのがバレバレです。
清野菜名さんがせっかくコツコツ磨いて来たアクションスキルを、やっと存分に活かせる作品になるかと思ったのに肩透かしもいいところ。どうせ女性視聴者の顔色だけ気にして作った結果なんでしょう。
で、このミスパンダがどうやら内気な女流棋士=川田レンの別人格で、いかにも女性視聴者の嗜好に合わせたイケメン・メンタリストの「飼育員」(いかにも女性視聴者の嗜好に合わせた横浜流星)が施す催眠術により覚醒するという設定。
それはいいんだけど、川田レンには母親(山口紗弥加)に虐待され続けた暗い過去があるようで、悪者を懲らしめてる最中になぜかそのトラウマが蘇り、そいつを殺そうとして飼育員に止められるというw、同シーズンに放映されてる『絶対零度』とそっくりな展開になって心底ゲンナリしました。
おまけにイケメン飼育員も親にまつわる暗い過去(刑事だった父親が殺されたらしく、どうせまた警察内部に黒幕か内通者がいるんでしょう)を背負ってて、たぶん最終目標はその復讐なんですよね。2人共さっさと心療内科へ連れてってあげて下さい。
もうホントMUZ、マジうんざりです。そうやって無理やりダークな背景とかややこしい謎をくっつけないと、アクション物を創っちゃいけないみたいな法律でも出来たんですかね? 知らんかったわ、いつの間に?
百歩譲ってそういうダークな背景は受け入れても、悪者を懲らしめてる最中にトラウマを思い出すのだけはホント勘弁して欲しい。
スカッとしないアクションは、ただの暴力です。だったらそんなの要りません。……って、デジャビューですかこれは? 私は何回同じことを書けばいいんですか?
せっかく清野さんが体を張って頑張ってくれても、こんな内容じゃ台無しです。勿体ないの一言で、破滅です。
飼育員に仕事を依頼するMr.ノーコンプライアンス(正体は法務大臣らしい)に佐藤二朗、殺された飼育員の父親に田中圭、ミスパンダの正体を暴いていくであろう報道ディレクターに要潤、その片腕となる記者に白石聖が扮するほか、吉田美月喜、祷キララ、升毅、椿鬼奴、といった多彩なレギュラーキャスト陣も勿体ないの一言で、破滅です。