ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『刑事7人』6―#01

2020-08-08 22:44:46 | 刑事ドラマ2000年~




 
2020年夏、テレビ朝日系列の水曜夜9時枠にて、またもや『刑事7人』が始まりました。なんとシーズン6にも及ぶまさかのロングラン! 一体なぜ!?

……と、不思議がってばかりいても仕方ないので、今回はこのシリーズの人気の秘密、その類い稀れなる魅力について徹底分析してみたいと思います。

まず一番に挙げたいのは「警視庁専従捜査班」のエースである主人公=天樹悠(東山紀之)の、終始まったく動かない表情の魅力ですね。

とにかく何を考えてるのか分からない。同じように無表情でも秘めたる感情を的確に(我々視聴者に)伝えてくれる俳優さんも沢山おられるワケだけど、東山くんの場合はいっさい伝わらない、伝える気すら無いように見えます。そこが刑事ロボット=天樹悠のキャラクターにぴったりで実に素晴らしい!

真面目で優秀で一切スキがなく、無口で無表情で、ひたすら淡々と捜査に打ち込む天樹悠は血の通った人間に見えません。だけど実は世界初のロボコップなんだと解釈すればすんなり納得できます。さすが東山くん!

そして他のメンバーたちも徹底して捜査、捜査の一点張りで素晴らしいです。刑事たちのプライベートを一切描かない手法は'80年代後半のトレンドで、それを20年以上経ってもやり続けるブレない姿勢はとても真似できるもんじゃありません。

お陰で我々は、各刑事の色分けは何となく把握しても、人間性の深いところまでは知る由もないので、ムダに感情移入しなくて済みます。つまり彼らが窮地に立とうが死にかけようが一切ハラハラしなくて済むんだから本当にラクで有難いです。

また、キャラクターに魅力が無くても安定した視聴率を保ってるという事実は、キャストそれぞれに相当な人気があることを証明しており、スターが持つパワーというものを実感させてくれます。人気者さえ揃えれば数字が稼げるんだからスタッフは何の苦労も要りません。素晴らしい!

予告殺人みたいなゲーム感覚の犯罪、ゲーム感覚の謎解きばかり描いてくれるのも、我々はいちいち深いことを考えたり感銘を受けたりしなくて済むし、スマホを操作しながら観るにはうってつけで本当に有難いです。

やたらめったらスローモーションを多用する大袈裟な演出も、かなり高度なギャグとして笑えます。東山くんが上着を羽織るたび、いちいちスローモーションになるお約束ギャグを廃止するだけで、放送時間10分延長とか全然しなくて済むと思うんだけど、それでも笑わせることを優先するエンタメ精神がまた素晴らしい!

なるほど、こうして列挙していくと『刑事7人』は、深く考えることを放棄したネット社会やゲーム依存のスマホ文化、つまり現代日本人の感性を100%正確に把握した、究極に優れた刑事ドラマであることがよく解りました。そりゃヒットして当然です。

だけど私はいまだに昭和を引きずる古臭いアナログ人間なので、この番組を観る資格がありません。苦渋の決断ですが、もう観ないようにします。残念です、本当に。残念としか言いようがありません。残念という月並みな言葉じゃ表し切れないほど残念です。
 

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『親バカ青春白書』#01

2020-08-07 11:22:23 | TVドラマ全般









 
2020年夏、日本テレビ系列の日曜夜10時半「日曜ドラマ」枠でスタートした、福田雄一演出による学園コメディードラマ。

娘が大好きすぎて、悪い男に騙されるのが心配で一緒の大学に入学しちゃった父親=ガタロウにムロツヨシ、大事に育てられすぎて世間を知らない箱入り娘=さくらに永野芽郁、亡くなった母親=幸子に新垣結衣、親友=寛子に今田美桜が扮するほか、小野花梨、中川大志、戸塚純貴、谷口翔太、野間口徹、濱田めぐみetc…といったキャスト陣が脇を固めてます。

演出の福田雄一さんは『勇者ヨシヒコ』シリーズや『コドモ警察』『スーパーサラリーマン左江内氏』『今日から俺は!!』等のユルユルコメディーで知られる方なので、内容は推して知るべしw 好き嫌いが岐れるでしょうが、私は好きです。

ただ1つ、ムロツヨシさんが主役のドラマを私は1時間も観てられるんだろうか?(別に嫌いじゃないけど積極的に観たい役者さんでもない)っていうのが気がかりだったけど、ガタロウのキャラクターがとても魅力的に描かれてるので大丈夫でした。役者さんが輝けるか否かはやっぱり、スーパースターでない限り役柄次第ですよね。

その魅力が集約されてるのが、以下のセリフ。まさにガタロウが心配してた通り悪い連中に騙され、あやうくレイプされそうになったさくらを、腕力じゃなく落語研究会(さくらと一緒に入部)ならではの猿芝居で救った太郎が、スマホのGPSでその居場所を突き止めたと聞いて、仲間たちがドン引きしちゃう。

初めて共学の学校に入って、初めて自分が世間と著しくズレてることに気づいて来たさくらが「お父さん、やっぱりウチ普通じゃないって!」と抗議するんだけど、ガタロウは全く動じずにこう言いました。

「あのな、さくら。よそはよそ、うちはうち。お父さんは、さくらが大大大大大大好きなんだぞ!? 普通じゃない? 上等だよ! そのお陰でこうやって、大事な娘を守れた。だったら俺は、全っ然普通じゃなくていい! 普通なんてクソ食らえだっ!!」

その意見に私は全面的に賛成だし、それを堂々と貫いてるからこそガタロウが魅力的に感じるんだと気づかされました。たとえ演じてるのがムロツヨシさんであろうともw

もちろん、それ以上に永野芽郁さんや今田美桜さんが魅力的であることが大前提なので、ムロさんはじめ男優陣はくれぐれも勘違いなさらず、調子に乗らないようお願いしますw

男優陣が調子に乗りさえしなければ、どうやら毎週楽しみに出来そうな作品です。今季はコメディーが豊作かも?
 

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『妖怪シェアハウス』#01

2020-08-05 23:10:12 | TVドラマ全般










 
2020年夏、テレビ朝日系列の土曜深夜「土曜ナイトドラマ」枠でスタートしたホラー・コメディードラマ。

クズ男に騙され、二股をかけられた上に職も財産も住む場所も無くした優柔不断OL=澪(小芝風花)が神社で行き倒れになり、伊和(松本まりか)というアイパッチ美女に拾われます。

そして連れて行かれたシェアハウスで澪が事情を話すと、伊和は「女を騙して食い物にする男だけは絶対許さない!」とハイパー激怒、「復讐あるのみよ!」と澪を焚きつけます。

それもそのはず、伊和の正体は『四谷怪談』のお岩さんで、シェアハウスの住人たちは酒呑童子=鬼(毎熊克哉)、ぬらりひょん(大倉孝二)、そして座敷わらし(池谷のぶえ)だった!

そんなワケで第1話は、お岩さんや妖怪たちに感化された澪がクズ男への復讐を果たし(貸した金を返してもらうだけだけどw)、尽くす女を「重い」と言いやがったクズ男に傷つけられたお岩さんを、逆に澪が「最後まで尽くした伊和さんはスゴいよ」と慰めてあげることになります。

そうして妖怪シェアハウスに居候することになった澪が、いろんな騒動に巻き込まれながらたくましく成長し、同時に幽霊や妖怪たちも癒されていくという内容になりそうです。第2話には佐津川愛美さん扮する『番長皿屋敷』のお菊さんも登場!

いや~、いいですねw まず小芝風花さんの豊かな表情と抜群のコメディーセンスが堪能できるし、今風にアレンジされたポップな幽霊や妖怪たちの描かれ方も面白い。彼ら彼女らがずっとこの世に存在し続けてるとすれば、時代と共にキャラが変化しててもおかしくない。

他愛ないと言えば他愛ないんだけど、こんな時代だからこそ私はそういうドラマが観たいです。

とはいえ、この先たぶん恋バナに傾いていくのは避けられないだろうから、その描かれ方次第で私が視聴を続るか否かが左右されそうです。安易に女子ウケを狙うようなら即バイバイです。

初回はとても楽しめたので、そうならないことを切に願ってます。
 

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『噂の刑事トミーとマツ』#09

2020-08-04 11:11:14 | 刑事ドラマ'70年代










 
☆第9話『トミマツのセメント詰め』

(1979.12.19.OA/脚本=今井昭二/監督=江崎実生)

謎の女子中学生=ユカ(三輪里香)がトミー(国広富之)とマツ(松崎しげる)に付きまといます。

自宅で殺人事件が起きたとユカが言うもんだから二人が駆けつけてみると、被害者は存在せず、床に残った血痕はトマトケチャップだったりするもんだから、刑事たちはユカの悪戯だと判断します。

ところが、その翌日にユカの養母が本当に遺体で発見されちゃう。血痕は確かに偽装だったけど、養父母が複数の男たちと言い争ってる現場をユカが見たのは事実で、養父も行方不明となると、これが何らかのトラブルによる殺人事件であることは明白。

となるとユカは唯一の目撃者であり、犯人に狙われる恐れがあるって事で、マツがボディーガードをやらされる羽目になります。

他の刑事たちはユカの記憶に基づくモンタージュ写真で捜査を進めてるのに「俺は子守りかよ!」とむくれるマツに、ユカは「私たち2人で犯人を見つけようよ」と提案。「マツみたいな凄腕と一緒なら狙われても安心だし!」なんておだてられ、単細胞なマツはすっかり彼女の手のひらで転がされます。

かくして単純短足デカ&じゃじゃ馬女子中学生の凸凹コンビによる捜査が始まり、寝食まで共にする内、二人は疑似父娘みたいな絆を育んでいくのでした。

ところが! モンタージュ写真の男は殺人事件とまったく無関係で、ちょっとしたトラブルによりユカを怒らせただけのチンピラだったことが判明。

その上、ユカは密かにトミーとマツをモデルにした推理小説を書いていた。その主人公=ユカ自身が犯人を捕まえる物語を具現化するために、わざとデタラメな証言をして他の刑事たちを遠ざけたのでした。

「バカヤロー! 生意気言うのは構わねえ、おませな事くっちゃべるのも構わねえ、だけどな、俺は嘘つきが大嫌いなんだよっ!!」

激怒したマツの短足ビンタを食らい、絶交を宣言されて、ユカは号泣します。

作家志望のユカは3年前に交通事故で実の両親を亡くし、寂しさを紛らわすために小説を書いて来た。決して悪気は無かったし、マツに対しては本当に父親みたいな感情を抱いてた。

「嬉しかったって言ってましたよ。あの時、本気で殴られて嬉しかったって。ありがとうって」

トミーからそう聞かされても、短足で意地っ張りなマツは「俺は捜査で忙しいんだよ!」と言って、施設に引き取られていくユカの見送りを拒否します。

ところがユカが何者かに拉致されたと聞いて、マツはトミーと2人で車をかっ飛ばします。

「急げ! あの子に万一のことがあったら、てめえの命があると思うな!」

「やっとその気になってくれましたね、先輩!」

殺されたユカの養父母は宝石強盗の一味であり、宝石を隠したコインロッカーの鍵を持っていた。それがユカのハンドバッグに隠されており、強盗仲間たちはそれを狙ってるのでした。

いち早く一味を見つけたトミマツは、カーチェイスの末に連中をセメント工場に追い詰めるんだけど、いつも通りあっけなく罠にはまり、あやうくユカもろともセメント詰めされそうになって、いつも通りにトミーが泣き言を言います。

「神様、なにとぞ我が身をお守り下さい!」

「神も仏もあるもんか! バカ! うすらトンカチ! オトコオンナ! トミコーッ!!」

その後の展開も、いつも通りですw かくして事件が解決し、トミマツと笑顔でお別れしたユカは、コツコツ書いてきた小説を完成させます。

『事件解決後、美少女・リカは、二人の刑事の必死のプロポーズを断った。なぜなら、才色兼備のリカは、岡山刑事を尻に敷くことが分かっているし、松本刑事の知性を遥かに上回っていたからである』

言うまでもなく、リカはユカ、岡山刑事はトミー(岡野)、松本刑事はマツ(松山)のことです。

いや~、いいですね! こういう話、大好きです。ただしヒロインを演じる女優さんに力量と魅力が無ければ台無しになるワケだけど、三輪里香さんはパーフェクトでした。素晴らしい!

里香さんは撮影当時、13歳か14歳。角川映画『野性の証明』のヒロイン=長井頼子役を薬師丸ひろ子さんと最終審査まで競った人で、それがきっかけで角川春樹事務所入りし、連ドラ版『野性の証明』で頼子を演じた女優さん。

その連ドラ版『野性の証明』で主人公に扮したのが、トミーとマツ直属の上司である御崎課長役の、林隆三さん。たぶん今回のゲスト出演はその縁あっての事で、二人が指切りする共演場面はもしかすると『野性~』のパロディかも知れません。

里香さんは同じ'79年に『新幹線公安官』#08、翌'80年に『Gメン'75』#248にゲスト出演、青春ドラマ『GO!GO!チアガール』にレギュラー出演されたものの、あまり目立った活躍が無いまま'84年あたりで引退されてます。

どう見ても当時の薬師丸さんや原田知世さんより演技は上手なんだけど、上手すぎて角川流アイドル商法に合わなかったのかも知れません。

売り方次第でもっとメジャーになれた筈なのかどうなのか……やっぱりスターになれる人は氷山の一角であり、実力だけがものを言う世界じゃない。そういう事なんでしょう。

だけど私は、今回のレビューでしっかり三輪里香さんを認識させて頂きました。テレビ版『野性の証明』や『GO!GO!チアガール』も機会があれば是非観てみたいです。
 

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『噂の刑事トミーとマツ』#05

2020-08-03 12:00:45 | 刑事ドラマ'70年代










 
☆第5話『トミマツ真っ青・女の戦争』

(1979.11.14.OA/脚本=江連 卓/監督=土井 茂)

トミー(国広富之)とマツ(松崎しげる)の勤める富士見署管内でひったくり事件が多発し、防犯協会会長=長沼(織本順吉)の一人娘=美奈子(森田あけみ)も被害に遭います。

美奈子はトミーの姉=幸子(志穂美悦子)から護身術を習ってる生徒の1人で、マツが片想いする数多の女性の1人でもあり、トミマツは捜査に燃えます。

そして浮かんだ最有力容疑者の工藤(風間杜夫)が、なぜか美奈子に再接触し、誘拐しちゃう。工藤はひったくった鞄から見つけた彼女の家族写真を見て逆上したのでした。

「お前の父親は、20年前に俺とおふくろを捨てて若い女と……つまりあんたの母親と蒸発した、俺のオヤジだよ」

美奈子は今、妻子ある男と不倫関係にあり、父親の長沼から猛反対されてるんだけど、その長沼自身も実は不倫相手と再婚し、美奈子の父親になったワケです。

そもそも工藤は金に困ってたワケじゃなく、ただ自暴自棄になってるだけ。工藤は美奈子の命と引き換えに、5千万の現金をビルの屋上からばら蒔くよう長沼に要求します。

ところが! よく調べてみたら長沼に捨てられた息子=ミノルは、すでに病死してることが判明します。工藤はかつて少年院で出逢ったミノルの親友で、同じように親から見捨てられた孤児なのでした。

かくして工藤の正体を知りながらも長沼は、言われた通りに5千万円をビルの屋上からばら蒔きます。ミノルに対する懺悔の言葉を叫びながら……

それでも満足出来ない工藤は、美奈子にナイフを突きつけてわめきます。

「今さら遅いんだよバカヤロー! 俺たちを捨てたお前らは、俺たちが何をしたって非難出来ないんだよっ!」

その気持ちは理解しつつも、トミーとマツは言います。

「それはちょっと違うんじゃないのか? キミは自分の境遇に甘えすぎてる!」

「他人様のせいにしても何の解決にもならないのが、お前には分かんねえのかっ!?」

「うるせえーっ!!」

二人がかりで火に油を注がれてw、さらに逆上した工藤は車で逃走。ここでマツがその車の屋根に、トミーがボンネットにしがみつき、決死のカースタントが展開されます。暴走する車に刑事がしがみつくアクションシーンは定番なれど、二人が同時にしがみつくってのは他に見た記憶がありません。さすが大映ドラマ、良くも悪くもひと味違いますw

今回はサブストーリーとして、ろくでなしの夫(団しん也)に浮気され蒸発された妻(あき竹城)が、幼い2人の子供を連れてテレビに登場し、情報提供を乞う姿(そういう番組、ありましたね)も平行して描かれ、工藤が起こした事件と互いに影響を与え合うことになります。

「帰ってやってくれよ、この子たちの為によ」

逮捕された工藤がろくでなし男にそう声をかけ、「てめえが偉そうなこと言うな!」と言いつつもマツが男泣きする、ちょっといい話でした。

過去の過ちと向き合わざるを得なくなった長沼も考え方を改め、美奈子の恋愛(不倫相手が正式に離婚したらしい)を応援するようになり、片想いのマツはさらに涙を流すことになります。

いかにも昭和っぽい話に感じるけど、子を捨てる親は今でも沢山いるだろうし、むしろ増えてるかも知れません。ただ、浮気して逃げちゃうのがいずれも男の側で、女性ばかりが被害者なのは昭和ならではかも知れません。現在は(少なくともドラマの中では)逆パターンの方が多い気がします。

とにかくゲストが豪華ですよね。風間杜夫さん、あき竹城さん、団しん也さん、織本順吉さん、そして森田あけみさん。

森田あけみさんは芸能活動が短かったのかプロフィールが見当たらず、オークションで見つけた水着グラビア(週刊『平凡パンチ』'75.10.6号)時点で16歳ということは、当時20歳ぐらい。

恐らく本職はモデルさんで、これより1ヶ月前に放映された『太陽にほえろ!』#377にもゲスト出演されており、この時期だけ女優業に力を入れておられたのかも知れません。
 

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