ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『都庁爆破!』2018

2024-07-06 14:14:18 | 探偵・青春・アクションドラマ

2018年のお正月にTBS系列で放映されたスペシャルドラマ。刑事が主人公じゃないけど明らかに日本版『ダイ・ハード』を意識したアクション物なので載せときます。高嶋哲夫さんの同名小説を映像化した作品です。



クリスマスの日に東京都庁の一部が爆破され、国際テロ組織の名を語る武装集団が展望台を占拠。人質の中には元自衛官・本郷裕二(長谷川博己)の妻子がおり、本郷は元CIAエージェントのケイン高村(吉川晃司)と2人で都庁内に潜入、テロリストたちを一人残らずぶっ殺していきます。

私は本作を大いに楽しみつつ、同時に「これはネット民に叩かれるやろなあ」と思いながら観てました。彼らにとって最もバカにしやすく、ネタにしやすいジャンルですから。

案の定、ネット上では酷評の嵐。それだけ注目されてる証しとはいえ、私が気に食わないのは怪獣映画『シン・ゴジラ』と比較してバカにする人がなぜか多いこと。

上記のあらすじを読んで頂ければ一目瞭然、創り手がやりたかったのは日本版『ダイ・ハード』であり、全く土俵の異なる『シン・ゴジラ』と比較するのはあまりに的外れ。どちらも長谷川博己さんが主役だからって批判の仕方が短絡すぎます。

政府の対応が遅すぎて事態が悪化しちゃう展開だけは似てるけど、それは別に『シン・ゴジラ』だけが描いて来たことじゃない。映画やドラマで描かれる日本政府っていつもこんな感じだし、現実でもたぶん同じでしょう。

そういう政府の滑稽さをメインに描いたのが『シン・ゴジラ』のユニークさであって、『都庁爆破!』が見せたいものは全然別のところにある。それは何かと言えば、長谷川博己&吉川晃司がテロリストたちをぶっ殺しまくる肉弾アクション! これに尽きます。



気がつけばもう『ダイ・ハード』も30年前の映画(’18年時点)ですから、若い人らが知らないのは仕方ないけど、猫も杓子も『シン・ゴジラ』基準でこのドラマを語るのはあまりにバカげてる。

確かに、家族愛をやたら強調する作劇はちょっとウザかった。ふだん泣く練習ばかりやらされてる子役ちゃんが、ここぞとばかりに泣き喚く姿を、繰り返し見せられるのは私も苦痛でした。

が、それは『シン・ゴジラ』が家族愛に類するドラマをいっさい排除した事とは全く無関係。『シン・ゴジラ』に家族愛は必要無いけど『ダイ・ハード』をやるならそこは外せない。ただそれだけのこと。

都民ファーストが信条の東京都知事=大池由紀子(寺島しのぶ)がヒロイックに大活躍する描写も確かに失笑もんだけど、失敗したのはこのドラマじゃなくて小池さんですから! (追記/小池都知事が当時どんな失敗をやらかしたか思い出せません。そこが時事ネタの難しいところ)

そもそも、クリスマスが舞台なのになんで正月放送やねん?(諸事情あったんでしょうけど)とか、ツッコミどころは満載、ほんとツッコミ易い作品だとは思います。

けど、重視すべきはそこじゃない。繰り返しますが、長谷川博己&吉川晃司がテロリストたちをぶっ殺しまくるアクション。誉めるにせよ貶すにせよ、まずはそこからです。



私は素晴らしいと思いました。特に、眉毛1つ動かさずに手際よくテロリストをぶっ殺していく吉川さんの冷徹さたるや! そりゃもうクールどころの話じゃなく、ランボーやターミネーターと比較しても遜色ありません。(知らないヤツはお呼びじゃない)

CGによる爆破描写に対してはふだん批判的な私だけど、本作の場合CG抜きじゃ実現不可能な内容ゆえ文句ありません。

やれ、ここがリアルじゃないだのチープだのパクリだのって、娯楽アクションを観るのにそんな屁理屈こいてどうすんねん?って思う。もっと素直に受け入れて楽しみゃええやんって。



長谷川博己さんの珍しい格闘アクション、吉川晃司さんのハンパない格好良さ、テロリストリーダー・渡部篤郎さんの悪辣ぶり。そういう見所をいっさいスルーして『シン・ゴジラ』はどうのこうのって、あんたバカ?

アクション物に対して“上から目線”で見下す姿勢って、昔から日本人には根強くあるんだけど、特に最近の若い連中にその傾向が強くなってる気がします。そもそもアクションに興味が無い、いわゆる草食系男子とやらが増えてるせい?

みんな創り手に対するリスペクトが無さすぎる。1日だけでいいから、いっぺん撮影に参加してみればいい。二度とそんな偉そうなこと言えなくなりますよ。あるいは、スタッフ・キャストに直接文句を言ってみればいい。匿名じゃなく、面と向かって堂々と。

作品を批判するのは自由だけど、今回の場合あまりに的外れで、あまりに創り手をバカにした心ない悪口が目についたもんで、腹が立ち、作品の味方につきたいと思いました。私は全面的にドラマ『都庁爆破!』を支持します。



キャストは他に、人質となった妊婦に早見あかりさん、刑事に小澤征悦さん、消防隊員に和田正人さん、総理大臣にリリー・フランキーさん、そして主人公の妻に優香さん。



☆再び追記/ふだん“ネットパトロール”じみた事はしないのに、何故このときに限ってしちゃったのか、それも思い出せません。たぶん、テレビでアクション物が制作されること自体が稀な昨今ゆえ、世間のリアクションが気になったんでしょう。

想定外の冷遇ぶりに対するショックと怒りが記事から滲み出てるのが、ちょっと青臭くて恥ずかしい。今はもっと達観してるというか、諦めの境地ですから。

あと、罵詈雑言を書き込むネット民=若いヤツらだと文中で決めつけてるのがまた恥ずかしい。そういう輩は中年以上=我々“昭和世代”にこそ多いってことを’18年当時は知りませんでした。なるほど、だから自分より歳下のクリエイターを見下したがるんでしょう。そこは私自身も気をつけなきゃいけません。

今回復刻した記事はどれを読んでも恥ずかしい。書いてる本人にとっては数ヶ月前の文章でも恥ずかしいもんです。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『黒薔薇/刑事課強行犯係 神木恭子』2017

2024-07-05 20:30:47 | 刑事ドラマ2000年~

貫地谷しほりさんもいくつかの連ドラで刑事役を演じておられますが、自ら看板を背負われた刑事物はたぶん本作が初だし、とても私好みの内容なのでこれも載せときます。

テレビ朝日系列で2017年12月に放映された2時間スペシャルで、’19年に続編も放映されてます。原作は元マルボー担当刑事・二上剛さんによる同名小説。

春に放映予定だったのが渡瀬恒彦さんの急逝→追悼番組への差し替えにより放送延期となった作品で、同じ年に亡くなられた野際陽子さんが重要な役で出演されてたりもします。



そして主役の新米刑事=神木恭子を演じられたのが、貫地谷しほりさん。貫地谷さんが新米刑事役と聞くと明るくてドジなキャラクターを想像しがちだけど、今回は全く違います。

出世願望が無く、交番勤務のままでいたかったのに東京臨海署の刑事課に抜擢され、気が進まないまま捜査にあたる変わり種で、あまり感情を表に出さないクールな役どころ。

だけど優秀な刑事だった亡き父親の血を引いたのか潜在能力はピカイチで、警察幹部が絡むヤバい事件の真相にもグイグイ迫って行く。

そして父を悪事に利用し辞職に追いやった元幹部(津川雅彦)に復讐すべく、その息子であるエリート刑事部長(中村俊介)の弱味を握って脅迫し、最後には親子心中するまで追い詰めちゃう。

出世願望が無いだけに軋轢を恐れず、悪党が相手なら汚いこともサラリとやってのける、ダークヒーロー的な女刑事を貫地谷さんが見事に演じ切り、新たな魅力を開花させてます。驚いたし、とても格好良くてシビれました。クールな貫地谷さんは、なかなかセクシーでもあります。

そんな恭子の良き相棒となるのが、強行犯係の主任にして昭和気質の荒くれ刑事=折原圭作。いかにも昭和顔の岸谷五朗さんが、これまた魅力的に演じてくれてます。



ほか、幹部と内通しながらその情報を恭子に教える、敵なのか味方なのか判んないパイセン刑事に吹越 満、係長に西岡徳馬、鑑識課員に木下ほうか、事件の鍵を握る元ヤクザにでんでん、恭子の母親に丘みつ子と、脇に至るまで豪華キャストです。



単なる謎解きゲームで終わらず、新米の女刑事が才能を開花させる成長ストーリーにバディ物の面白さも加わり、なおかつ淡々と復讐を実行するダークヒロイン物という意表を突いた内容。とても一筋縄じゃいかず、見応えありました。

特に、貫地谷さんのクールな魅力を引き出した功績は称賛もので、さすがは百戦錬磨の和泉聖治監督、さすがは手堅いテレビ朝日の刑事ドラマと言えましょう。



連ドラ化されなかったのは残念だけど、「主人公が親の仇を討つ」以上に燃えるネタはそうそう無いですから、これは単発ドラマで正解でしょう。(’19年の続編はまだ観てません)

とにかくクールで情け容赦ないキャラを、貫地谷しほりさんが演じてる。何よりそこが見どころです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ハラハラ刑事/危険な二人の犯罪捜査』2004

2024-07-04 21:40:46 | 刑事ドラマ2000年~

高橋克典さんは2011年冬シーズンに『悪党/重犯罪捜査班』という刑事物の連ドラで主演されてますから、今回の趣旨(連ドラで刑事役を演ってない俳優さんの2時間ドラマ)とはズレちゃいますが、私のフェイバリット・ポリスアクションムービーの日本版とも言える内容なので載せときます。

2004年の秋にテレビ朝日系列「土曜ワイド劇場」枠にて放映された2時間ドラマで、翌年には続編も放映されてます。

一匹狼で問題行動を繰り返し、本庁捜査一課から所轄の築地北署に左遷された暴力刑事=原島(高橋克典)が、家庭第一の人情派に見えて実は暴力刑事の大河原(大杉 漣)とコンビを組み、二人で暴力の限りを尽くしますw

……とまでは行かないけど、2000年代にしてはなかなか荒っぽい捜査をしてくれます。(高橋さんと大杉さんは後の『広域警察』シリーズでもガッツリ組まれてました)



原島は警察官だった父親をただ「警察が嫌いだから」という理由で殺された幼少期のトラウマから、特に警官を狙った犯罪者には容赦しないという設定。

で、誰にも心を開かないアウトローを気取ってた原島が、大河原の自宅に無理やり招待され、年頃の娘たちにキャーキャー言われてキャラが崩れていく展開に至り、これは明らかに日本版『リーサル・ウェポン』を狙ってることが判って来ます。

もちろん、大河原を恨む容疑者が長女(遠山景織子)を拉致し、原島に殺されかける展開にもなります。(本家『リーサル・ウェポン』なら瞬殺ですが、さすがに日本の刑事さんは殺しません)



『ハラハラ刑事』っていうのは「原島」と「大河原」の「原×原」コンビって事なんだけど、もちろん『危険な二人の犯罪捜査』ですから(犯人に殺されるかじゃなくて犯人を殺してしまわないか)ハラハラさせるって意味も兼ねてるんでしょう。

それは非常に私好みの設定なんだけど、その割に後半は凡庸な謎解きストーリーに落ち着いてしまい、銃撃戦はおろか本格的な格闘シーンも無いのはすこぶる残念でした。何のために『リーサル・ウェポン』要素を取り入れたの?って話です。

高橋克典さんのバイオレンス刑事ぶりはもちろん格好良いんだけど、むしろ一見温厚な大杉漣さんが暴力刑事に豹変する姿にこそ私は惹かれました。それをもっとストーリーに活かして欲しかった! 色々と惜しくて勿体ないです。

刑事課長役に田山涼成、署長役に神保悟志、婦人警官役に周防玲子、高樹マリア、幼少期の原島に染谷将太、そして事件関係者に根岸季衣、不破万作etc…といったキャスト陣でした。



セクシーショットは遠山景織子さんと高樹マリアさんです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『犯罪交渉人ゆり子』2001

2024-07-03 20:50:43 | 刑事ドラマ2000年~

2001年にテレビ東京&BSジャパンの水曜夜9時「水曜ミステリー9」枠で放映された2時間ドラマ。2004年までに全3作、そして2013年にも新作が創られたシリーズの第1弾です。

科学捜査研究所に所属するベテラン人質交渉人の野々村百合子(市原悦子)が、最後に病院の立て籠り事件を解決させて引退するんだけど、その半年後、再び現場に引き戻されることになります。

病院の事件で現場指揮にあたっていた内舘警視正(柴 俊夫)の幼い息子が誘拐され、犯人=矢野(尾美としのり)が交渉役に百合子を指名して来たのでした。

計画的犯罪のように見えて矢野の要求は行き当たりばったり。彼の狙いはいったい何なのか?



実は半年前の立て籠り事件で交渉が長引いた為に、他の病院へ移送された妊婦が流産し、それをきっかけに離婚していたことが判明。矢野はその別れた夫なのでした。

流産した妊婦がいることも知らず、内舘警視正は無事に出産した他の母親にお祝いを届けるというパフォーマンスをマスコミに報道させ、百合子もインタビューに応じた。それをテレビで観た矢野は、何もかも失って自暴自棄になり、復讐を決行したワケです。



果たして百合子は、もう失うものが何もない矢野を説得し、彼の魂を救済することが出来るのか? そして交渉人を全く信用しない警視正に妨害されながら、如何にして子供を救出するのか? これは見応えがありました。

同じ市原悦子さん主演の刑事物でもコメディータッチだった『おばさんデカ』シリーズとは対照的に、作風はシリアスで主人公=百合子のキャラクターもクールかつ孤高。



実は彼女自身も「自殺」という悲劇で伴侶を失っており、その深い闇があればこそ矢野と共鳴し、心を開かせていくんだけど、結末は決して甘くありません。

これを例えば天海祐希さんや米倉涼子さんみたいに、如何にも強そうに見える美人女優が演じたら、たぶん面白くないんですよね。

一見フツーのオバサンにしか見えない市原悦子さんだからこそハラハラするし、うまくいかない結末にもリアリティーを感じる。そこが市原さんの強みなんだと私は納得しました。



ほか、科捜研で百合子の後釜となる交渉人に斎藤陽子、臨床心理学者に大島さと子、捜査一課刑事に塩見三省、百合子の義弟に火野正平と、豪華キャストです。(シリーズ2作目にはまだ10代の高橋一生さん、4作目には帰国した長谷直美さんも出ておられます)



セクシーショットはこの前年に放映された『Gメン’75』復活スペシャルで新Gメンを演じられた、斎藤陽子さん。今回、大島さと子さんとは元アナウンサーどうしの共演となりました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『刑事たちの夏』1999

2024-07-02 21:37:37 | 刑事ドラマ'90年代

1999年に日本テレビ系列で放映された、YTV制作、鶴橋康夫演出、吉田剛脚本、久間十義原作による2時間スペシャルドラマ。鶴橋監督による新作映画『のみとり侍』のPR特集企画として、CATV「日本映画専門チャンネル」にて先日(※2018年5月)放映されました。

ホテルの上層階から大蔵省の官僚が転落死し、捜査本部は早々に自殺として処理しようとするんだけど、本庁捜査一課の松浦刑事(役所広司)はひょんな事から、それが他殺であるのを示唆する状況証拠を掴んでしまう。

持ち前の正義感から、ひとり他殺の線で捜査を続ける松浦に、上層部から容赦ない圧力と妨害がかかり、どうやら官邸を揺るがす汚職事件が背景にあることが判って来ます。



離婚協議中の妻との幼い息子が命を狙われ、捜査に協力してくれた恋人=ヒロコ(山本未來)も殺された上、その容疑を自分に掛けられても尚、スッポンのごとく真相に食らいついていく松浦。



最終的に事件が闇に葬られようとした時、松浦は旧知の敏腕検事・古沢(大竹しのぶ)に全てを託し、あえて自らが殺されることで事件を再捜査へと導くのでした。

「今、私はあなたです。」

そう言って裁判所へと向かう古沢検事に、死んだ松浦とヒロコがしっかりと付き添って歩くラストシーンは涙なしじゃ観られません。

熱い! めちゃくちゃ熱い! 素晴らしい! 昭和の遺物みたいなチョー熱血刑事を、役所広司さんが全身全霊で演じておられます。



自らも盗聴、おとり捜査、週刊誌への情報リーク等、目には目をのダーティー捜査で巨悪と渡り合う、その捨て身っぷりがたまらなく魅力的です。

そんな主人公に魅了され、危険を承知で捜査に協力する二人の女を、山本未來さんと大竹しのぶさんがこれまた魅力的に演じておられます。



ほか、古尾谷雅人、塩見三省、田山涼成、黒田福美、新山千春、芦川よしみ、阿藤 快、本田博太郎、そして真田広之と、大作映画でもなかなか揃わない豪華キャスト陣。



徹底的に無駄を削ぎ落とした脚本、演出、編集も見事で、一瞬のダレ場もなく約90分を見せ切ってくれます。照明や構図にこだわった映像美も素晴らしく、画像をご覧の通りテレビの2時間ドラマとは思えない仕上がり。

1999年度日本民間放送連盟賞最優秀賞、第37回ギャラクシー賞大賞などの受賞も納得の名作ドラマだと思います。



セクシーショットは死んだ官僚の娘=奈津子を演じられた、新山千春さん。本作出演時は18歳でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする