米の下院議会で従軍慰安婦非難決議案が可決されようとしているとき、久間防衛相の広島、長崎の原爆投下を容認するような発言は許しがたい。
過去に閣僚の不用意な発言は数多くあれど、日本の防衛大臣たるもの自国への大量殺戮を”仕方がない”とは、これは国辱ものである。
しかし、これは、防衛大臣の深謀遠謀の策略で、米議会の不当な慰安婦非難決議に抗議するため、”身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ”の思い切った手段なのであろうか。
自分のあからさまな発言にたいし当然抗議が殺到する・・
必然的にアメリカの原爆投下の是非について、
世間の関心が高まることを期待したのかもしれない。
従軍慰安婦問題の真実はどうか、一部にあったことは否めないだろう。
ただ、あの戦争のさなか(戦後も)、非人道的な行動はどこの国でもあったと思う。(だからといって許されるわけではないが・・)
日本は戦争に負けて、戦争指導者は平和に対する罪で訴追され、東京裁判でA級戦犯7名が絞首刑、16名が終身刑、そして多くの日本人がB、C級の戦争犯罪人として裁かれた。(約1000人が死刑となっている)
わたしの父親は戦後シベリアに抑留されたまま、何年も極寒の地で強制労働に従事させられた。
それを考えれば、わが国は敗戦国としてのみそぎは済んだのではないかと思っている。
しかし、戦勝国とはいえ、原爆投下、東京大空襲など一般人にたいして大量殺戮を犯した国が、60年前の従軍慰安婦非難決議案を採択するとは、信じ難い思い上がりである。
民主党が次期政権を担う覚悟なら、久間防衛大臣の責任追及するだけでなく、せめて野党第一党としての外交力をみせてほしい。
マスコミも然り、従軍慰安婦だけでなく原爆投下や東京大空襲の無差別大量殺戮について、徹底して検証してもらいたいものである。
一閣僚の首をとって幕引きではあまりに情けない。