HASSY局長のハサカル日誌

伊勢志摩バリアフリーツアーセンター事務局長HASSYが
日々のハサカル(気になる)出来事など記録していきます。

0129:施設の壁に阻まれてしまった夫婦の絆

2007-01-29 23:13:06 | お客さん履歴
今日は、なんともやりきれない出来事がありました。

土曜日にお電話をいただいていた県内のお客様。
内容は、来月誕生日をむかえる奥さんを旅行に連れってあげて、おいしいものを食べさせてあげたい。
という旦那様からの依頼でした。

奥様は普段入所していて、月に2~3回自宅に帰ってくるそうです。
車イス利用ですが、ゆっくり歩行もできるようでした。

そんな奥さんを喜ばせてあげたいからと、ヘルパーさん同行で伊勢志摩への旅行を考えているというお話。
喜んでいるのは奥様だけではないようです。
お話しする旦那様も電話口ではとても、楽しみにしているようで、来月の旅行では、あんなところやこんなところに連れってあげて、残酷焼きとか食べさせてあげたいな~と嬉しそうにお話してくれていました。

なんて、すばらしい旦那様だろう。
うちのパートナーは40年後そんなことしてくれるだろうか?

ほほえましくて、世の男性にぜひ聞かせてあげたいようなお話でした。

早速資料をお送りして、本日それらが届いたという電話がかかってきました。
しかし、その電話は資料が届いたことだけでなく、この旅行の計画を奥様が入所している施設長に言ったら、なんと「許可がおりなかった」というお話でした。

思わず、涙が出そうになりました。

あんなに楽しみにしていた旅行です。
奥様の誕生日のお祝いにという特別な旅行です。
県内ですから車で2時間以内程度の少しの移動時間。

旦那様が言うには、昨年秋にもおはらい町やおかげ横丁へ自分で連れってあげたときに、奥様のとても喜ぶ顔を見たので、またそんな風に連れってあげたかったと…くやしそうでした。

どうも、連れて行くというヘルパーさんもその施設の関係の方だったらしく、それもあってか?施設として、責任が持てない、または行くならもう一人男性ヘルパーを連れてかなくてはいけないと言われたそうです。
もちろん、自宅からヘルパー二人を連れて行けば、その宿泊費を含めて莫大な金額になること間違いないでしょう。

実は、現地でヘルパーを派遣できるようにコチラでも手配できますよと、お伝えしたことろ、やはり、施設長さんが、「聞いてしまった以上、許可するわけにはいけません、もし旅行先でなにかあったら…施設が許可したということで、責任が…」と言うそうです。


辛くなって、なんとか旅行を実現できるように、こちらも協力しますからと言うと、旦那様は前向きに「そのうち、必ず伊勢志摩に行きますから、資料もそのときまたじっくり見ます」とおっしゃってくださいました。



電話を切ってしばらく考えました。
伊勢志摩の旅館へのヘルパー派遣がもっときちんとしたシステムとして稼動していれば、それらが全国的に有名になれば…。
そうすれば、施設長さんだって「伊勢志摩なら安心して行ってきていいよ!!」と言ってくれたかもしれません。

とても暖かい夫婦の絆が、施設という壁に阻まれているのも現実なんだと、やりきれない気持ちになった日でした。

もしかしたら、そんな夫婦や家族はもっとたくさんいるのかもしれない…。