2009年にWOWOWで放送されたドラマ、
『空飛ぶタイヤ』
のDVDを借りて来ました。
…観てよかった~(涙)
一応フィクションということですが、2002年に実際に発生した三菱自動車製トラックによるタイヤ脱輪事故、及びその後発覚したリコール隠しがモデルになっています。
大手自動車メーカーに立ち向かっていく小さな町の運送屋…
無実を証明するための辛く長い月日が描かれます。
トラックのタイヤが外れ、死者が出たということで、警察に取り調べられ、取引先からは次々と仕事を断られて経営の危機のおちいる小さな運送会社の二代目社長役に中村トオル。
事故を起こしたトラックの製造元であり、リコール隠しを指示する大手自動車メーカーの役員に國村隼。
同社カスタマー戦略課課長役に田辺誠。
その妻役に本上まなみ。
大手自動車メーカーのグループ銀行の行員役に萩原聖人。
その婚約者で、國村隼の姪役にミムラ。
事件担当刑事役に遠藤憲一。
事件を追う雑誌記者役に水野美紀。
監督は麻生学、鈴木浩介。
原作は池井戸潤さんの「空飛ぶタイヤ」(実業之日本社)
事故を起こしたトラックの調査をした製造元の大手自動車メーカーの結論は「整備不良」
よって事故の責任はすべてトラックの管理者である運送会社にある。
警察からの家宅捜査。
取引先からは仕事を切られ、銀行には冷たくあしらわれる。
従業員は辞めていき、被害者からは一億円をこえる慰謝料の請求。
小学生の息子は「人殺しの子供」とイジメられ、このままだと会社はあと3ヶ月で倒産の危機…
しかし、若い整備係の社員が残した整備点検メモには、事故の前日に行われた精細な点検の内容が記されていた!
ここから、社員を信じる若き社長の絶望的な戦いが始まります!!
中小企業の言うことになどに耳を貸さない大手自動車メーカー。
お客さんより、人の命より、企業を守ることが優先される。
汚い…
本当に汚い…
事故を調べるうちに同じトラックによる同様の事故が他にも起きていることが判明します。
この事故は、トラックの構造的欠陥によるものではないのか!?
大手自動車メーカーに乗り込む中村トオル。
しかし、運送会社に資金を融資している銀行は大手自動車メーカーのグループ企業。
銀行による融資の即時返却要求、内部告発をしようとした大手自動車メーカーの社員には懲罰人事、事件をスクープしようとした雑誌には圧力をかけ、同じように「整備不良」とされた他の会社は大手自動車メーカーの報復を恐れ口を閉ざす。
警察も、一度家宅捜査をした以上、どんなに新しい事実が出てきても運送会社の「業務上致死」の容疑を変えることはメンツにかかわる…
自分たちのことしか考えない組織、
そしてそんな組織に流されてしまう人の弱さ、
踏みにじられる人間の尊厳。
私も一応サラリーマンなので、会社という組織の悪いところ、理不尽さ、組織の中で常識のマヒしてしまった人々を嫌というほど見てきたので、ドラマだとはわかっていても涙がポロポロ止まりませんでした。
そんな中、「人殺しの子供」と学校でイジメられ、同級生のお金を盗んだ犯人にされた小学生の息子が父親を応援します☆
イジメにも負けず、たった一人で戦う息子はいいます、
「僕はお父さんのマネをしているだけだから」
ようやく、ようやく無実が証明され、親子三人で抱き合うシーンにも涙があふれました!
お金もないし、高級レストランにも入れないし、仕事では土下座をしなくちゃいけないことがあったとして、私はこの人たちの味方です♪
高級マンションより、フランス料理のフルコースより、オシャレな服より、大切なものがあるんです!
個人的にはファンである本上まなみさんとミムラさんが出演されていたのも嬉しかった♪
本上まなみさんはラジオでお悩み相談をしているという不思議な役でしたが、ファンだから許す☆
このドラマが地上波ではなくWOWOWでドラマ化されたというのも興味深いです。
日本航空をモデルに企業の腐敗を描いた渡辺謙主演の『沈まぬ太陽』も映画化不可能といわれ、日本航空はあからさまな圧力ととれる抗議をしていましたからね。
人が多く集まると、個々の人間の意志なんて飲み込んでしまって、別の意思を持つようになるのでしょうか。
こんなこと、本当に許せないし、この世から無くなって欲しいと思うけれど、このドラマは観れてよかったです♪