1月26日(日)に第32回介護福祉士国家試験(筆記)が行われましたね。
受験された方、おつかれ様でした。
今回は全体的に簡単だったという感想が多く、総得点の60%程度を基準に問題の難易度により補正される合格基準点も少し上がりそうですね。
第32回介護福祉士国家試験の受験申込者数は87,599人となっており、昨年の受験者数94,610人を申し込みの段階ですでに7,011人下回ってしまいました。
受験資格に、時間もお金もかかる「実務者研修」が加わった2016年にガクッと受験者数は減ったのですが、それからあまり増えないですね。
これじゃあますます人手不足に拍車がかかりそう・・・
今回も受験生を悩ませる予想外の問題、謎問題が出題されました。
問題 肉入りカレーを常温で保存し、翌日、加熱調理したときの食中毒の原因菌として、最も注意しなければならないものを1つ選びなさい。
1 ウエルシュ菌
2 カンピロバクター
3 サルモネラ菌
4 腸炎ビブリオ
5 黄色ブドウ球菌
「肉入りカレーを常温保存するな!」というツッコミは置いておいて、正解は1のウエルシュ菌。
私は個人的に食品衛生責任者の講習を受けたりしていますが「ウエルシュ菌」て初めて聞いた。
ま、鶏肉メインのカンピロバクターとか卵などでよく食中毒を起こすサルモネラ菌は加熱に弱いし、腸炎ビブリオは魚介系だから違うとして、黄色ブドウ球菌って傷などがあると危険というイメージだけど、耐熱だったかな?
自分なら1か5で迷いますね。
ウエルシュ菌はカレーやシチューなど大鍋で煮込む料理の鍋底などで繁殖しやすく、100℃の加熱に6時間耐えるんだとか。
でもこれ栄養士ならともかく、介護福祉士の知識として必要?
問題 Aちゃん(1歳3か月)は、父親に抱かれて散歩中である。前方から父親の友人がやってきて、父親がにこやかに友人と話をしていると、Aちゃんは父親にしがみつき、父親の顔と父親の友人の顔を交互に見ている。しばらくすると、Aちゃんは緊張が解けた様子で、友人が立ち去るときには少し笑顔を見せた。
Aちゃんの様子を説明する用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 3か月微笑
2 社会的参照
3 クーイング
4 自己中心性
5 二項関係
これが午後の試験の1問目でした。
介護福祉士の試験問題で幼児問題って定番なんですが全然わからない。必要だとも思えない(笑)
新生児微笑と呼ばれる生理的な微笑はありますよね。感情の伴わない微笑。3か月微笑というのはそれとは違い、人の顔を見て笑うもので社会的微笑なんて呼ばれます。その後母親と他の人を区別したりできるようになっていきますが、Aちゃんは1歳3か月なのでもうその時期ではありませんね。
社会的参照というのは他者(この場合は父親)の表情などから対象(この場合は父親の友人)との関係性を判断し自分の行動を調整することです。簡単にいうと父親の味方は自分の味方、みたいな感じですね。生後1年目の後半くらいからこうした他者、対象者、自分といった三項関係が成立し、コミュニケーションが可能になると考えられています。ですから正解はこの2社会的参照になります。
三項関係が成立していますから5の二項関係は自動的に不正解。
3のクーイングというのは赤ちゃんが「アー」とか「ウー」とか声を出すことがあります。あれですね。
4の自己中心性は読んで字のごとく、自分自身の視点でしか物が判断できない子供時代特有の思考で、客観性を持たないため自分の左右はわかっても他人にとっての左右が理解できなかったり、自分を客観的に見れないので行動を反省したりできない時期だといわれています。
これ今回の試験で一番難問だったんじゃないの?
問題 更衣のための介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 手指の細かな動作が難しい利用者に、マグネット式のボタンを勧める。
2 認知症(dementia)のある利用者に、ボタンエイドの使用を勧める。
3 下肢の筋力低下のある利用者に、立位で更衣をするように勧める。
4 視覚障害のある利用者に、ソックスエイドの使用を勧める。
5 片麻痺のある利用者に、袖ぐりの小さい上衣を勧める。
ボタンエイドとかソックスエイドって何?
調べると服を着る際に糸通しのようにボタンをボタン穴に通す自助具があるみたいですね。それがボタンエイド。
ソックスエイドも雪の上をすべるソリみたいなものの外側に靴下をはかせ、ソリの上に足を乗せてソリを引っ張ることで、靴下が楽にはけるという自助具。
ちなみに「エイド」という意味は「手助けする」という意味があるんだとか。
そういえば聞き覚えがある。
正解は1です。
これはエイドの意味がわからなくても、設問を落ち着いて読めば答えがわかる問題です。
あと訪問介護先で賞味期限が2日前に切れた缶詰を見つけた場合とか、居宅介護先で2週間分の内服されていない薬をみつけたが「みんなが私の悪口を言って、電波を飛ばして監視している」と言われた時の言葉かけの事例とか、なかなか興味深い問題もありました。ICF(国際生活機能分類)が主流となっている今の介護現場で働いている人にとっては、一昔前の考え方であるICIDH(国際障害分類)に関する問題なんかは苦労したんじゃないかな?
結果発表は3月25日です。
皆さん合格しているといいですね〜
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