不意に見知らぬ人が訪ねてきた。
町の文化財台帳を調べていて、自治会が管理する薬師寺境内にある「ビャクシン(樹齢300年以上)」を調査に来られたとのこと。「薬師寺の歴史」を知りたくて最寄りの家で尋ねたら、我が家を紹介されたとのことだった。
趣味で、歴史ある「大木」を調べている方だった。各地で調べた「大木」や、それにまつわる歴史や経緯を記載した資料をみせてくれた。よくまとめられていた。本にするつもりとのことだった。
・・・お役には立てないかも・・・
冒頭、「残念ながら、薬師寺の歴史に関する文献も記録も残っていませんので、史実はわかりません。ビャクシンのこともわかりません。残念ながら、お役に立つような情報は・・・」と。
ただ・・・
「自治会の管理する薬師寺が、今のままでは後世に継承できなくなると思い、集会などで区民に理解を得るために作った資料ならあります」
「記録も文献も残っていませんので、わずかに残る痕跡や先人の言い伝えなどをもとに、推測・推察・憶測した資料ですので公にできるような資料ではありません。会合用資料ですので、自治会区長と薬師委員代表者にしか渡していません」
・・・熱意を感じて・・・
口頭で資料内容を伝えると、大変興味を示された様子だった。会話の端々から、熱心に調査をされている真摯な方とお見受けした。
また雑談の中で町内の方だとわかった。民生委員も長くされたようで、その折には自分のイトコと一緒だったこともわかった。
初めてお会いした方だったが信頼できる方だとわかったので、『もし参考になるのであれば』と、資料をお渡しした。
先月、まとめたばかりの資料が、まさか外部の方から興味を示されるとは思ってもみなかった。
帰られてから気づいた。本になれば「ビャクシン」とともに地区の「薬師寺」のことも紹介される。
彼が訪ねてくれたことは、「とりまとめた資料」が引き寄せた『ご縁』だと思った。