つい先日のことです。小雨の降る肌寒い日でした。夕刻,いつものようにウォーキングをしているとき,道端の草にキアゲハの終齢幼虫がいるのを発見。この時期のこと,「ほっほーっ!」の気持ちで見ると,葉に付いてじっとしていました。寒いので行動が鈍っているのでしょう。
「これはおもしろい! 今どきなんの葉なのかな」と思ってよく見ると,どうやらハナウドのようです。ハナウドは5月から6月にかけて群生するセリ科植物。したがって,もしハナウドなら今の時期は季節外れで生えているといえます。
「よし,持ち帰って蛹化まで観察しよう」と思い立ちました。それで持ち帰ったのですが,途中道端をよくよく見て行くと,雑草の間にハナウドの葉があちこちに生えていたのでびっくり。ただし,キアゲハの幼虫は見かけませんでした。
いろんな草が混ざり合って生える草むらで,成虫がハナウドをちゃんと見つけ,卵を産み付けたのです。考えてみれば大した能力です。例によって,前脚先端に生えた突起毛で見分けた結果です。生命史をとおして受け継がれてきた生きる力には頭が下がります。
持ち帰ったキアゲハ,この数日後,覆いに使ったビニル袋の内側にくっ付き,そのまま前蛹に変わっていました。この個体が蛹化すると,そのまま越冬します。キアゲハにも冬が訪れようとしています。