自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

キアゲハの幼虫の話

2014-10-25 | キアゲハ

つい先日のことです。小雨の降る肌寒い日でした。夕刻,いつものようにウォーキングをしているとき,道端の草にキアゲハの終齢幼虫がいるのを発見。この時期のこと,「ほっほーっ!」の気持ちで見ると,葉に付いてじっとしていました。寒いので行動が鈍っているのでしょう。

「これはおもしろい! 今どきなんの葉なのかな」と思ってよく見ると,どうやらハナウドのようです。ハナウドは5月から6月にかけて群生するセリ科植物。したがって,もしハナウドなら今の時期は季節外れで生えているといえます。


「よし,持ち帰って蛹化まで観察しよう」と思い立ちました。それで持ち帰ったのですが,途中道端をよくよく見て行くと,雑草の間にハナウドの葉があちこちに生えていたのでびっくり。ただし,キアゲハの幼虫は見かけませんでした。

いろんな草が混ざり合って生える草むらで,成虫がハナウドをちゃんと見つけ,卵を産み付けたのです。考えてみれば大した能力です。例によって,前脚先端に生えた突起毛で見分けた結果です。生命史をとおして受け継がれてきた生きる力には頭が下がります。

持ち帰ったキアゲハ,この数日後,覆いに使ったビニル袋の内側にくっ付き,そのまま前蛹に変わっていました。この個体が蛹化すると,そのまま越冬します。キアゲハにも冬が訪れようとしています。

 

 


産卵にかけるいのち

2014-10-25 | ツマグロヒョウモン

屋外で作業をしているときのことです。近くにツマグロヒョウモンが舞い降りてきました。見ると,翅がどうもおかしいのです。近寄って確認すると,右後翅が変形して位置がすっかりずれています。


羽化時か,その後に,なにか異変でもあったのでしょう。 

さらに見ていると,そこから舞い上がる気配は一向にありません。ははーん,産卵するんだなと直感。思ったとおり,スミレが生えた辺りを歩いて移動し始めました。そうして腹部先を産付する場所に向け,産卵した様子です。


はっきり確認できたのは,生葉だけではなく,枯れ草に産付したことです。それでも,スミレのすぐ脇であることには変わりありません。食草がないと命は果てることになります。


秋が深まる中,ツマグロヒョウモンは必死に我がいのちを卵に託そうとしているのでしょう。“必死”というのは単に人間の勝手な解釈に過ぎませんが,普通の越冬態は幼虫ですから,寒さを耐えて一匹でも多くの幼虫を残したいのは自然な姿です。

しばし,そんなことを思う時間が流れていきました。