元ラーメン屋店主のツイート集

ラーメン屋を10年経営し、今は閉店し、介護士をしています。

主なラーメンスープ材料の効果について

2005年08月12日 | ラーメン総合研究所
本日のBGM
UFO、ゲイリームーア、チュリサス、ポール・ロジャース
コージー・パウエル、アストラル・ドアーズ

「屋台」のコメントに自作ラーメンをされている方から
質問を受けましたので、ラーメン屋店主としてより詳しく
お答えしたいと思います。トンコツのみやトリガラのみを
煮てもスープは出来ますが、現在の重層型スープ時代には
もう少し何かをプラスした方が現代風のラーメンになると
思います。
●ゲンコツ
豚の大腿骨です。関節部にはコラーゲンが豊富で長く煮ると、
ゼラチンに変化します。動物材はイノシン酸と思われがちですが、
コラーゲン部はグルタミン酸を豊富に含んでいます。ゲンコツ
は割って使用するのが一般的です。骨髄をスープ内に溶けやすく
する為です。骨髄は細胞に血液を多く含んでいる為、風味が
強い野菜を使用しないと生臭くなります。
雑味の原因になる血、ドロ、ゴミは熱湯で10分以上煮て
タワシと流水で洗い流します(血抜きの方法は色々ありますが)
●豚頭
コラーゲンはゲンコツより少なめですが、たんぱく質が多く
味を丸くします。長時間出汁が出続けるので2番ダシ3番ダシ
と使用している店には最適なガラです。長時間煮る事で、
生臭さ獣臭は飛ぶので臭みの少ない上品なスープがとれる。
●胴ガラ
鶏ガラの代表的な部位。肉臭さが少なくイノシン酸と
グルタミン酸が豊富で味の相乗効果作用に最適です。
トンコツスープとも魚介風味スープとも相性がいいです。
●モミジ
鶏の足です。鶏の胴がらのサッパリ上品スープ(最近はトリ
パイタンなるものもあるみたいですが)に比べ、モミジは
コラーゲンの固まりです。チーユ(鶏脂)がスープ内
で出来るので、上品なコッテリを加味できます。
下処理では再沸騰で血抜きをし、爪を切り落とします。
●背脂
最近は腹脂を使用されている店もありますが、豚の脂身では
背脂がオレイン酸とリノール酸などの不飽和脂肪酸が豊富で
融点が低い。融点が低いので水にも溶け込みやすいです。
コクとコッテリ感を出せます。背脂チャッチャや揚げ背脂
とし、具材的な使われ方をする場合もあります。
●玉ねぎ
旨味、甘味がある含硫化化合物ジプロピルジスフィルドが
含まれ獣臭の臭い消しになります。
●ニンニク
含硫化化合アイリンが含まれていて独特の辛味と臭いが、
煮る事で甘味成分になる。
●生姜
香気成分シトロネラールとシオネールが含まれています。
香辛料みたいな風味で臭い消しをしてくれます。
●ニンジン
ショ糖やブドウ糖が含まれています。甘味を加えてくれます。
他にもキャベツなどのブドウ糖が豊富な食材は動物材では
出せない甘味を加味できる。
●醤油
醤油ラーメンはもちろん、トンコツラーメンも醤油ダレを使用
している所が多いです。(替玉をした時に付いてくる、元ダレが
薄茶色や黒かったら醤油ダレ。透明や黄色っぽい澄んだタレだった
ら塩ダレです)味噌ラーメンや塩ラーメンにも醤油を使用して
いる所があります。醤油にはグルタミン酸、アルギニン、
ヒスチジン、リジン等のアミノ酸とグリセリンなどの旨味成分
が豊富です。濃い口醤油には120種の香り成分が含まれて
いる為、繊細な軽い味のスープは醤油で塗り固めてしまう。
色だけでなく香り成分も押さえてある薄口醤油の方が素材の
味を活かします。ただ塩分濃度が高くコクに欠けるので、
濃い口と混ぜたり数種類の醤油をブレンドすると、味の大合唱に
なります。
●水
料理の基本は水。水質の優劣がスープの味を決める。っと思われ
ています。地下水や天然水や純度が高い真水等は使用した事が
無いので本当の所は分からないけど、
科学的には旨味には影響しないと発表されている。水道水でも
長時間煮込むからカルキ臭さは抜け雑菌は死滅します。
仮にミネラル分が豊富な水を使用しても、スープ材のカルシウム
やマグネシウムがミネラル分と結合し沈殿するので味には影響
しません。また、悪影響とし、ミネラルが豊富な水は和風ダシ
などの旨味成分と結合し出汁の旨味を出すのを妨害します。
ラーメン作りに最適な水は軟水です。当店も水のこだわりは
無いですが、一応浄水器で不要物質を取り除いています。

これらの事は知らなくても勘や人真似でラーメンは作れますが、
ラーメン作りをするのなら知っていて損は無いです。
こいけさん、ラーメン作り頑張ってください。