地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

カミーノにあしあと 22

2010年10月17日 | Weblog
【22日目】7/17(土) Mansilla de las Mulas → León
今日はいよいよLeón入りする日。
アルベルゲのバルでクロワッサンとコーヒーの朝食を済ませ、7:40に出発。
交通量の多い道路沿いに歩く。

歩き始めて1.6km地点のViliarenteというところで一旦休憩。
今日もまたスィナがドイツ人のおじさんを発見し、呼び寄せてしきりにドイツ語で話を続ける。
延々と続くドイツ語会話に、私は2人とは距離を置いて歩く。


今日は調子が良い。
水も減らしたのでリュックも重く感じないし

さらに4.5km先のArcahuejaという村のバルで、ドイツ人のおじさんも一緒に休憩。
このおじさん、当然英語が流暢なので私とは英語で話してくれる。
スィナはどうして何が何でもドイツ語で話したいんだろうか?
何度も言うが、あんたドイツ寄りのオランダに住んでるから、常日頃ドイツ語使う機会あるでしょ!

おじさんと私は巡礼の動機など語り合う。
彼はドイツ人なのでクリスチャンだけど、特別宗教心が強いわけでもなく、建築物などを楽しみながら巡礼を続けている。
なので、私が語った日本の仏教と神道の融合なども、特に違和感なく聞いてくれた。
スィナは相変わらず、このドイツ人に「ポールのリュックに犬のおしっこ事件」を吹き込んでいた。
一生語り草やね、ポール


休憩後、ドイツ人のおじさんとは別に出発。
スィナは「はぁ~、ドイツ人はもうええわ」と一言。
だから、あんたが好き好んでドイツ人に寄って行ってるやろ~


本日。Leónまではたったの18.6kmなので気楽だ。
とはいえ、交通量の多い国道沿いを歩く割合が多いので、それなりに疲れる。


歩道橋で国道を渡り、ようやくLeónの町が見えてきた。





町へ入るとこれまでも何度も見かけたように、教会の塔の上に巣を作るコウノトリがいた。
都会でも田舎でも同じように巣を作っている。







Leónは大きな町なので、Burgos同様に町の入口に入ってから市内中心部までが遠い。
途中で一旦バルに入りコーラ休憩とする。

するとここのバルではコーラを注文するとつきだしにポテトのアリオリソースがけが出てきた。
思いがけないおまけにスィナとばんざーい。
しかもこのアリオリソースがめちゃめちゃおいしかった

ポテトにパワーをもらい、残りの距離を歩く。
が、他の大都市同様、町に入ってしまうとカミーノが分かりにくく、必死に黄色い矢印やホタテ貝の標識を探す。

路上に黄色い矢印と「公営アルベルゲ」のサインが出てきたので、思わずそれを辿って行ってしまう。
他にもアルベルゲあったはずなのに。


2人で歩いていると、少し離れたところに例のパタゴニア在住フランス人が歩いているのを発見。
スィナはこの人に過剰な興味を示している。
いつも、何か特徴のある人を見つけると、あからさまに興味を示すところが、純粋な子供のようと言うか、大人げないと言うか…
このフランス人は高齢で足を痛めているので、気遣ってあげるのはいいけど、過剰なまでに相手の懐に入って行くスィナ。

今日も、彼がアルベルゲとは別の方向に歩いて行ったので、スィナが「大変!教えてあげなきゃ!」と過剰に反応し、慌てて彼の後を追って走って行った。
が、彼が角を曲がったところで、スィナが追いついてみたら、彼はおまわりさんにきっちり道を聞いていた

まあ、そんな感じでパッと思ったらそのまま衝動的に行動してしまうオランダ人のおばさんと常に一緒にいる私は大変なんだけど、このストレートさは意外と欧米人にはウケがいいみたいだ。

そのパタゴニアのおじさんも、最初は気難しく無口な雰囲気を漂わせていたのだけれど、スィナが臆せず話しかけ、いつものようにプライベートなことまで聞き出そうとしているうちに、なぜか心を開いて笑顔まで見せるようになっていた。

さらには、彼を見つけると大声で、”Hello, Patagonia!”と呼び掛けるスィナ。
何故そんな呼び方をするかと言うと、Pamplonaに入る手前で出会った、ちょっとテンションが高い、ビン底眼鏡のスペイン人の女の子が、”¡Hola, Holanda!”とスィナに呼びかけていたから。
それ以来スィナは名前が分からない巡礼者には国籍で呼び掛けるようになった。
私的には、「それってちょっと失礼じゃ…」とヒヤヒヤすることもあったけど、相手には受け入れられていたところを見ると、それもまた彼女の魅力なのだろう。
とは認めるけど、やっぱ私にはできないなあ



12:50にチェックインした後で気がついたけど、このアルベルゲって町の中心部から結構離れてる

しまった…。
失敗したと思ったけど、もう動きたくない。
スィナはこのアルベルゲの外観が、学校か刑務所のようにそっけない建物なのも気に入らない様子。

仕方ないのでシャワーや洗濯をし、受付前に備え付けの無料インターネットを使う。
が、無料のせいか、日本語フォントが読み取れないタイプで断念。
せっかく早い時間にメールが打てる環境だったのに、残念だわ。
いつもは時差のせいもあり、日本の誰かの携帯宛てにはなかなかメールできない。
自分の携帯も相変わらず圏外。


アルベルゲの廊下を歩いていると、フランス人のマークに出会う。
Leónには昨日すでに他のアルベルゲに1泊したけど、何やらカテドラルでコンサートがあるので今日もLeónに泊まるため、ここに移ってきたとか。

が、なぜかフランス語で説明されたので、今さら私の頭はついて行かない。
「あ、なんかコンサートあるんだ」ぐらいのことしか聞き取れなかった。
もはや仏語理解は大変すぎる。

そうこうしているとスィナが通りがかり、今度はマークが英語で話し始めたので途端に内容が分かった。
通常、アルベルゲには病気やけがなどの特別な事情がない限り、1泊しかできないことになっている。
同じ町に連泊する際は別のアルベルゲに移るか、ホテルに泊まらないといけない。
が、アルベルゲというのは基本、純粋な巡礼者をサポートするために作られているので、同じ町で2軒目のアルベルゲはあまり歓迎されない。
マークの場合、通常より多くの宿泊代をチャージされ、ここのアルベルゲに宿泊する許可が出たとのこと。


その後、スィナとLeón市内を散策。
さすがに観光客でにぎわっている。

カテドラルが16:00まで閉まっているので、カテドラル前のアイスクリームカフェでCafé Helado(コーヒーフロートみたいなの)を食べてくつろぐ。






スィナはこの機会に書くに書けずにいたポストカードを何枚も書き、私は通り過ぎる巡礼者を眺めている。
時々知り合いが通りがかるので、しゃべったり。


ようやくカテドラルが開いたので、見学へ。




ステンドグラスが美しい。








しかし、全く観光のための下調べをして行ってないので、細かい事は良く分からない…。






ま、いっか。

入口付近でポーランドのマリアに似た人を見つけ、駆け寄ってみるが別人だった。
う~ん、もう彼女とは会えないのだろうか。

カテドラルの見学を終えたスィナが「もうカテドラル見学は十分だわ」と一言。
え?でもあんた敬虔なカトリック信者…

乗り気しないスィナを促して、次はサン・イシドロ教会へ。
いつも観光はしないけど、今日はせっかくLeónまで来たんだから、有名どころぐらいは見ておきたいものだ。






でもすでにBurgosを見てしまっているせいか、あまりLeónの町や教会には魅了されなかった。
もう大きな町はいいから、早く大自然の中に戻りたいよ。

サン・イシドロ教会前でまたマークに会う。
マークに「美術館は見た?すばらしかったよ!」と興奮気味に語られたが、スィナと私は疲れているし、あんまり興味がなかったので軽く聞き流し。

しばらくブラブラ散策。






ちょっとした展示会みたいなのがあり、入ってみると、ありとあらゆるカミーノを歩いて、11歩ごとにカメラのシャッターを切り、それをつなぎ合わせて映像にした人がいるらしく、それが大型スクリーンで放映されていた。
まるで自分が歩いているかのように、どんどんカミーノを進んでいく。
今自分たちが歩いているフランス人の道の映像を見たけど、どこら辺が写っているのか判別できなかった。

スタッフに「黄色い矢印」をスペイン語で何と言うのか聞き出そうとしたが、全く英語が通じないので無理だった。
他のお客さんにも、パンフレットの黄色い部分を指して、「これはスペイン語で何色って言いますか?」と聞いても、頓珍漢な答えしか得られず。



さらにブラブラ歩いていると、イタリア人のジーナに会った。
クラリネットの教え子が会いに来てくれており、楽しそうだった。
確かジーナはBurgosでクラリネットを教えている。


サンタ・マリア教会を通りがかると、また結婚式に遭遇。
相変わらず、式の出席者は教会前のバルで1杯やったり、タバコ吸ったり、自由な感じだ。

そばで見ていると、ノルウェー人のギーティが来たので、3人で結婚式の群衆を眺めつつ、「やっぱスペインの結婚式のやり方って分からないよね~」と語り合う。


ギーティはこの近くのサンタ・マリア修道院が運営するアルベルゲに宿泊しているという。
早速見に行ってみると、なかなか良さそうな環境だ。
私たちが焦って町はずれのアルベルゲに行ってしまったことがやや悔やまれる。
でも、それもまた経験なのでいいと思うが、スィナがしつこく人に「私たちのアルベルゲはまるで刑務所みたいなとこよ」と話すのがちょっと気に障る。

ギーティを交えてバルで1杯やっていると、カーラも参加してきた。
カーラはLeónで巡礼完了。
さぞかし感慨深いだろう。

しばらくすると、結婚式が終わったのか、招待客たちがぞろぞろバルにやってきていくつもテーブルを合わせて大人数でワイワイガヤガヤやりはじめた。
子供も何人かいる。
スペインの子供は小さい時からバル文化にどっぷり浸かってるんだなあ。

カーラとお別れのキスをし、修道院でのミサに出席するというギーティにもお別れを告げ、食事場所を探しに行く。


インターネットカフェが出てきたので、ちょっとメールチェック
ここ数日、携帯も不通になっていたし、Carrión de los Condesのバルから母親にメールして以来、メールチェックできていないので、返信を確認したい。
スィナに告げると、スィナはちょうど息子に電話したいので、近くのベンチに座って電話してるからゆっくりしてくれていいよ、とのこと。

ネットカフェでメールを開いてみると、母からの返信なし…。
たぶん、思うに、PCのアドレスにメールを送っても余計な国際電話着信料はかからないということを理解してなくて、変に遠慮して送ってきてないんだろう
とはいえ、音沙汰がないと気になるので、やはりどこかのタイミングで確認せねば。

メールチェックを終え、スィナが待っている場所へ行くと、彼女はまだ電話中だった。
結構な長話で、結局私の方が延々と待つことになる。


ようやくスィナが電話を終えたので再び食事場所を探すが、なぜかそういう時に限ってあまり見つからない。
私は兼ねてから、「スペインに来たらせっかくなのでタパスを食べたい!」と思っていたのに、来る日も来る日も巡礼者メニューばかりでチャンスがなかった。
2軒ほどバルで「タパスありますか?」と聞いてみたけど、あいにく「ない」との返事。
「土曜だからない」という意味不明な回答も

ところでLeónに入ってから急にCerveceriaという文字が目につくようになった。
Cervezaがビールなので、いわばビアホールである。
Leónに入る前は、この表現は見かけなかったような気がするなあ。
他の場所では、Barとしか書いてなかったと思う。
(Barすらないような田舎の村を通り抜けて来たもんね…。)


これと言ったお店もなく、町の中心部に戻るには遠いし、なんとかアルベルゲへの帰り道にあるお店を探そうということになったけど、帰り道がまた分からない…。
Leónは本当に分かりにくい町だ。

道路標識を見たり、黄色い矢印を探したり、散々ウロウロした揚句、アルベルゲの近くで一番大きくて目立つ建物、”El Corte Inglés”を目指すことにした。
El Corte Inglésは、大型デパート。

やっと見覚えのある通りに到着。
デパート前のバルで「タパスはありますか?」と聞いたけど、やはり「ない」との答え。
仕方なく、もう何でもいいので食べたいと思い、バルの地下にあるレストランへ。

そこで私はパエリアを注文
そして、いつもの巡礼者メニューについてくる安ワインじゃなくて、ちゃんとした赤ワインで乾杯
が、安ワインを飲み慣れ過ぎていて、私にはこのワインは強すぎ、少し飲んで残りをスィナに譲った。
スィナは大喜びだったけど。

ディナーを済ませ、外のテラスでコーヒーを飲み、デパートの中を冷やかす。
久しぶりに文明社会に戻った感じ。
でも物欲は一切消えている。


今日はビーチサンダルで散々歩きまわりすぎて、足も疲れたけど、親指と人差し指の間が痛い。
マメではなく、こんなことで足を痛めるのは嫌だ
スィナはスポーツサンダルなので平気だけど、私はトレッキングシューズとビーチサンダルしか持ってきてないので、町歩きはもっぱらビーサン。

ヘロヘロに疲れてアルベルゲに戻り、ベッドにもぐりこむ。




本日の歩行距離:18.6km
何故か携帯の歩数計が機能せず、歩数分からず