【24日目】7/19(月) Villadangos del Páramo → Astorga
アルベルゲを出発したのが7:20頃。
今日は体調が良いので早足でどんどん進む。
いつもは歩くのが早いイタリア人のジーナは、なぜか今日はゆっくり。
道路わきで一緒に休憩していると、ジーナが「どうして休憩のときに靴を脱ぐの?」と聞いてきた。
どうしてって、、、乾かすために決まってるやん
「汗で蒸れるし、休憩ごとにブーツを脱いで風を通した方がいいよ」と教えてあげたけど、「ふ~ん」と言ったっきり、特に関心はなさそうだった。
しかし、そういう足のメンテをしっかりしない人に限って、案の定マメや靴ずれのトラブルに陥っている。
実はこの後、ジーナは足のトラブルでリタイアしたと思われる。
休憩していると、昨日みんなにレイキ・ヒーリングを施していた男性が現れる。
名前はホセ。
カナリア諸島出身らしい。
スペイン人としては、英語はかなり流暢な方だ。
私はちょっとヒーラーとしての彼に疑いの目を持っている。
今日は結構知り合いに遭う確率が高く、久々にハンガリー人のアンドレアもいた。
しばらく同じペースで歩いていたが、会話がほとんど成り立たないので、あまりしゃべらないようにする。
Villadangos del Páramoから10kmぐらい進んだところのHospital de Órbigoで、朝食休憩。
スィナの後ろに見えるのは、刃物砥ぎのおじいさん。
自転車を押して、笛を吹きながらだったか、ベルを鳴らしながらだったか忘れたけど、おじいさんがやってくると、バルの女主人が包丁を何本か持って出てきて、おじいさんに手渡した。
自転車の前に取りつけられた砥石が、ペダルを漕ぐと回転して刃を砥げるようになっている。
どこの国でもこういうのはあるんだなあ。
日本でも最近は少なくなったけど、お豆腐売りやら竿竹売りやらが来るし、ベトナムでもイランでもあった。
スィナと2人でこっそりおじいさんの隠し撮りをしていたら、後ろのテーブルにいたアメリカ人のカップルがちゃんと「写真撮ってもいいですか?」と聞いて、堂々と写させてもらっていた。
あ…
朝食を済ませ、再び歩きだす。
ここでもう一方のルート、Vilar de Marifeからの道と交差する。
さて、Astorgaまで国道沿いの道を行くか、オフロードを行くか。
私たちは昨日ずっと国道沿いを歩いてきたので、ここから先は自然の中を歩くことをチョイス。
多少のアップダウンがあるが、緑が多く、休憩する木陰もある。
4~5km進んだ先に出てきたSantibanez de Valdeiglesiaにはアルベルゲがあり、壁に描かれた洗濯物の絵がかわいかった。
今日も日差しがかなり強く、非常に暑い。
しばしば休憩しながらでないと、きつい。
途中、カミーノは誰かの農場を横切るので、普通に牛とかがいっぱいいる。
牛の赤ちゃんがとてもかわいい
赤ちゃんがいる場所の反対側では、実は私たちは巨大な牛の死骸を見てしまった。
最初は牛が寝ているのかと思ったけど、ピクリとも動かないので死んでいるに違いない。
なまんだ~。
何もない荒野に現れた、巡礼者のための休憩場所。
木陰とベンチがあるだけで、有り難い。
さらに進み、森の中で休憩していると、大柄な男性が通りがかった。
いつものようにスィナは初めて会う人に興味を示すので、あいさつだけにはとどまらず、「どこから来たの?」と会話に引き込む。
すると、その男性の答えは「オランダ」。
おおっ、こんなところに同郷の人みっけ。
当然スィナはいつも以上に嬉々として会話を始める。
オランダのどこから来たのか聞いたスィナは、さらにその男性の名字を聞いて、「○○って人、知ってる?」と。
男性は「それ、僕のオバです。」と答えた。
するとスィナが、「彼女、私の同級生よ!」って。
これが初めてではないが、オランダってどんだけ狭いねん
彼の名はヤン・ヤップ。
かなり個性的なキャラクターで、その後私たちの間では頭文字でJJと呼ばれることになる。
エキサイトしたスィナはAstorgaに入るまでずっとJJとオランダ語で話し続けることとなる。
当然、根掘り葉掘りプライベートなことまで聞き出しているんだろうな。
本日、Astorgaまでは約30kmの道のりなので、後半結構へとへとになっているところへ、セルフサービスのちょっとした屋台みたいなのが現れる。
ジュースやフルーツ、クッキーなどが置いてあり、代金は気持ちを寄付箱へ入れる。
しばらく何もない道が続いて疲れているところへ、こういうサービスがあるととても嬉しい。
その屋台を運営している男性に、Astorgaまであとどのぐらいか聞くと、「1、2kmだよ」ということだったんだけど、どうも地図に載ってる距離とは明らかに違う。
地図やガイドブックをノーチェックなスィナは単純に信じ込み、嬉々として歩くが、しばらくして男性に言われた距離は短すぎると気がついたようだ。
小高い丘の上に大きな十字架が現れ、巡礼者たちが記念撮影している。
その丘を下ってさらに遠くの方にAstorgaらしき町が見えている。
あと小1時間ぐらいかかりそうだ。
これまでにスィナと私は「スペイン人の言う距離はアテにならない」ということを学習している。
誰かに道を聞いた際、「あとどれぐらいですか?」と聞くと必ず短い距離で言われる。
過去に「バルまであと200m」と書かれた矢印につられ、えらい遠くまで誘導されてしまった時の記憶がよみがえる。
Astorgaに入る直前に出てきた村を通過した時、とあるホテルのテラスから声をかけられた。
ジーナだった。
なんでも彼女は、足の靴ずれが悪化し、タクシーでAstorgaの病院に行き、しばらくは静養するよう告げられたそうだ。
ジーナに携帯電話の番号を渡し、「きっとまた後で会おうね」と約束し、村を後にする。
残念ながら、その後ジーナの姿を見ることはなかった。
Astorgaの入口には、「心臓破りの坂」
なんで30kmも歩いた上にこんな急な坂を上らないといけないんだ?
他にルートはないのか?
坂を上りきった左手に、カミーノ友の会運営のアルベルゲが1軒ある。
ぶらりと中を見に行ったスィナだが、ここには興味がないようだったので、そのまま町の中心部まで歩を進めることにする。
が、Astorgaも結構大きな町で、歩けど歩けどアルベルゲが出てこない。
ずいぶん歩いて、ようやくカテドラル近くに出たところ、自転車を押した奇妙な男性に捕まる。
「アルベルゲはこっちだよ」と案内してくれるのだが、なんか、カラフルなボーダーのTシャツにデニム地のホットパンツ姿だし、この人。
しかも結構年を食っている。
怪しいな、いいのかなこんな人について行ってと思いながらも、「さあさ、こっちこっち」と促され、「ここはガウディホテルだよ」とか教えられながら進む。
カテドラルの前の細い道を入って行くと、私営のアルベルゲに到着。16:30。
さっきの奇妙なスタイルのおじさんは、オスピタレロなのか、「さあオレンジジュースをどうぞ」と勧めてくれた。
こういうのはありがたい。
あと、これまでの経験上、アルベルゲの受付で無料で提供されるジュースは薄くておいしくなかったんだけど、ここのはおいしかった。
受付にいた女性が説明する。
「グッドニュースは、ここはとても快適ですばらしいアルベルゲよ。バッドニュースは、宿泊代金が8ユーロだということ。」
私たちはあまり宿泊代金は気にしていないが、巡礼者の中には宿泊費の安い公営にしか泊まらないとか決めている人もいる。
説明を受けている間にも、さっきのカラフルおじさんが2杯めのジュースをついでくれる。
勝手にそんなにサービスしちゃっていいんだろうか…。
さらに、「18:00から隣の教会でミサがあるから、必ず出席するように」と、しきりに勧めてくる。
久しぶりにミサに出席するのもいいだろう。
ひとまず、シャワーと洗濯!
このアルベルゲには日本人のオスピタレラがいて、日本式マッサージが好評らしい。
振り返ると、奥でお客さんのマッサージ対応中。
いいなあ、マッサージ。
さて、木の階段を3階まで上がって行くと、屋根が低く斜めになっているロフトっぽいスペースにベッドがたくさんならんでいる。
2段ベッドもあったけど、1段のも空いていたのでそちらを使う。
ここのアルベルゲは設備がわりと充実していて、トイレやシャワーも結構たくさんある。
もちろんシャワーは問題なくお湯が出る。
シャワーを終え洗濯の準備をしていると、階段の下からスィナが誰かと話しているのが聞こえた。
ひょいと見てみると、アメリカ人のキムだった。
久しぶり~!
なんでもキムは数日前からお腹の調子が悪くなり、Léonで連泊したもののまだ調子が良くならず、今日アルベルゲに倒れ込むように到着した時には、泣き崩れてしまったとのこと。
お医者さんに行き、薬をもらって、食事制限されたと言う。
当分は水道水は飲まず、必ずペットボトルを買い、食事は少量のお米や穀物に限られているそうで、体力消耗しそうだな~。
洗濯はいつものように手洗いで。
脱水機があるというので、オスピタレラに使い方を聞く。
巨大な炊飯器みたいな丸い器の蓋をパカッと開け、靴下など軽いものから投入。
全て入れ終わると蓋を閉め、スイッチオンすると、ウィ~ンと中で回る音がし、下に取り付けられたホースから水が出てくる。
たったこれだけのことで、洗濯物は半分乾いたも同然。
全てのアルベルゲにこういうの置いといて欲しいな~。
洗濯物も干し、そろそろミサの時間。
例のカラフルおじさんが「早く早く、こっちこっち」と強制的に私たちを教会に連れて行く。
キムも一緒に連れ立ってミサに出席。
最後の方に讃美歌を歌う段になると、突然後ろからも歌声が。
振り返ってみると、この教会はうしろにまだスペースがあり、格子の向こうで数人のシスターが歌っていた。
こういうのは初めてのスタイルかもしれない。
後で他の巡礼者から聞いた話では、「あの教会には、十字架に磔された女性の銅像があった」という。
通常、十字架にかかっているのはキリストと決まっているけど、女性って珍しいな。
誰だろ?
ミサの後、教会はすぐに閉まってしまったので確認できなかった。
キムはスーパーに食材を買いに行き、スィナと私は一旦アルベルゲに戻る。
このアルベルゲの中庭には、テラスの他にちょっとした足湯のようなスペースがある。
お湯ではなく塩水なんだけど、巡礼で疲れた足を浸すと良い。
さらには打たせ湯のように水が上から落ちてきている。
テラスでくつろいでいると、今朝も会ったレイキ男のホセが。
今日の彼は怒っている。
どうしたのかと尋ねると、誰かにセクハラ呼ばわりしてからかわれたらしい。
「自分はあくまでレイキを施しているだけで、下心など一切ないのに、そういう見られ方をするのは心外だ!」とかなりお怒り。
う~ん、でも私も口には出さないけど、微妙なラインだと思って見ていたよ。
そこへキムが夕飯をたずさえて来た。
スーパーで買ってきた、レンジでチンするタイプのカップ入りのライス。
たぶん何か味付けはされてるんだろうけど、夕飯それだけ?
ライスとフルーツジュースでキムの夕飯は終わりらしい。
私たちが買ったブドウが残ってたので勧めてみたけど、「ありがとう。でも今はこれしか食べられないから。」と頑として他の物は口にしない。
ところでレイキ男、ホセだけど、キムを紹介された時、握手しながらちょっと前かがみになり、「あ、そうだったね。スペイン人じゃないもんね。」と。
キムが理解できず「はあ?」と言うと、「スペイン人だったらほっぺにキスするんだけど、みんながみんなそういう文化じゃないんだった。」とのたまった。
わざとらし~
ますますレイキ男への疑惑が深まる私。
が、スィナはこの手の人に騙されやすいので、「キム、体調悪いんなら彼にレイキしてもらえば?」と勧める。
マジで?
そんなことしたら奴の思うつぼじゃんか。
キムもスピリチュアルなことは好きな方なので、早速やってもらうことに。
大勢人がいるから変なことはされないだろうけど、キムはべっぴんさんなんで気になり、レイキの動向を見守る。
だけどホセがレイキを施しながら、何度もこっちを見るので、何度も目が合い、気まずいのでもう見るのやめた。
キムのヒーリングが終わると、今度はホセがスィナに向かって「あなたは昨日人にマッサージを施していて疲れているだろうから、レイキを受けるべきだ。」と指名。
で、スィナもレイキを受けることに。
長くなるので私は1人でAstorgaの町を散策することにした。
(スィナの場合は見張ってなくてよろしい。)
Astorgaのカテドラルも美しい。
カテドラルのそばにある巡礼博物館は月曜日閉館だったのが残念。
カテドラル脇のちょっとしたくつろぎスペース。
「犬の散歩禁止」の看板が出ているのに、堂々と散歩させている人もいた。(笑)
さて、カテドラルの周りをぐるっと回って帰ってこようと思っていたのに、ちょっと「この通りに何かお店ないかな?」とか思ってそれてしまうと、思いもかけない大周りに。
結局、かなりの距離を歩かないとアルベルゲまで戻れなくなってしまい、ビーチサンダルが痛い。
今日も30kmぐらい歩いたというのに、なんでこんなことしてるんだろ、私。
ずいぶん長い散歩をしてようやくアルベルゲに戻ると、スィナのレイキはまだ続行中だった。
長っ!
キムに「レイキどうだった?」と聞くと、「レイキの効果自体は良く分からないけど、彼には『どうしてそんなこと知ってるの?』と思うようなことを言われた」とのこと。
ん~、でも占いとか信じない私からすれば、大抵の人が悩んでそうなことを口にすれば当たると思うんだよね。
特に巡礼中の人には「人生の岐路ですね」とか、さ。
キムは「スィナのレイキの様子を見てると、ホセと何度も目が合うから、もう見るのやめた」と、私と同じことを言ってる。
やっぱ怪しいよ、ホセ。
やっとレイキが終わり、ディナーへ行こうという話になる。
このアルベルゲ宿泊者は受付で1枚のカードをもらっている。
それは、すぐ近くのガウディホテルのレストランでのディナー割引券として使える。
ホセが私たちと一緒にディナーに行きたいと言うので、割引券のことを伝えると、「僕ももらえるか聞いてくる」と受付へ向かった。
実はホセは別のアルベルゲに泊まっているが、レイキを施すためだけにこっちのアルベルゲの中庭に出没していた。
受付では「割引券をもらえるのはここの宿泊者だけ」と、むげに断られたようだ。
するとホセは私たちに「ま、とりあえずレストランに行って『割引券を忘れた』って言ってみるよ」と、全く気にする様子もない。
さすがスペイン人。
レストランに行き、私たち2人は割引券を提示。
ボーイさんに「あなたのは?」と聞かれたホセは、わざとらしくあちこちのポケットをまさぐり、「失くしちゃったみたい」と。
さっすがスペイン人!
ボーイさんが「割引券がないと割引料金では食べられません」と伝えると、「通常料金はいくら?うん、分かった。通常料金を払っても構わないよ」と平然と答える。
するとボーイさんが少し声をひそめ、「本当はだめなんですけど、今回は割引券なしでも割引料金にしておきますよ」と言ってくれた。
さっすがスペイン!
で、元々割引券なんか持っていなかったホセは堂々と割引料金でディナーを食べることとなる。
こういう融通がきくところが、スペインの好きなところ。
ディナーテーブルでホセはペラペラとしゃべりまくる。
元々はカナリア諸島出身だけど、海外生活も長く、現在はノルウェーで働いているという。
レイキを施すため、世界中あちこち飛び回っているらしい。
ふ~ん、でもなんとなく怪しいんだよね、この人。
さらに話題がスペイン人作家のパウロ・コエーリョの話に及ぶ。
この人はサンティアゴ巡礼者の間では有名。
なぜなら、彼が書いた「星の巡礼」というサンティアゴ巡礼経験を書いた本が世界的に有名で、多くの巡礼者は彼の本に触発されてやってきている。
ちなみに私はあえてこの人の本は読んでこなかった。
ホセによると「彼はインチキ野郎だ。本当はカミーノを全部歩いてなくて、車で回ったりしたのに、あたかも徒歩で全部歩いたかのような書き方をしている」とのこと。
まあ、ことの真偽はわからんが、あんたの話も十分怪しいので、話半分に聞いとくよ。
この怪しげなホセから、さらにカミーノの怪談話とでも言うべきものも聞かされた。
カミーノ上に「不思議な気が満ちている場所」というのが2か所ほどあるそうだ。
ひとつは、San Bolという村。
ここは私たちがポールやグナーと、BurgosからHontanasまでの何もない荒野を30km以上歩いた苦しいエリアの真ん中に位置する村。
なんならHontanasまで行かずに、途中のSan Bolに泊まっても良かったんだけど、グナーが「あそこの村のアルベルゲにはシャワーもないし、トイレもポットンだから」と敬遠していたので、素通りした。
ホセ曰く、昔、あそこでは村が忽然と消えたことがあるという。
ある朝起きると、村人が全員消えていたと言う不思議な現象があり、ニュースにもなったとか。
さらにもう1つの場所は、Manjarinという場所。
ここはまだ私たちは通過していないが、今は廃村となっており、一応アルベルゲはあるが、電気もなく、お湯も出ず、トイレも離れたところにポットンがあるのみという。
ホセの話では、これらの場所に共通しているのは、「不思議なことが起こるので、なるべく巡礼者を近づけないようにしている」ことだそうだ。
シャワーがなかったり、トイレがポットン式なのは、あまり巡礼者が泊まりたがらないようにして、わざと人を遠ざけているのだとか。
夜遅くに到着したり、疲れていたり、やむを得ずこれらの場所に泊まる巡礼者がいた場合、オスピタレロ達はなるべくアルベルゲ内でのイベントを企画して、巡礼者が夕暮れ以降外に出ないように仕向けているという。
ホセが以前Manjarinに泊まった時、1人の英国人女性が日が暮れてから「ちょっと散歩に出てくる」と出かけて行ってしまったらしい。
オスピタレロやホセは「何かが起こる」ということを知っていたけど、特に引きとめもしなかったそうだ。
するとものの15分でその女性がすごい勢いで帰ってきたそうだ。
そして顔面蒼白のまま、みんなの「どうしたの?」という問いかけにも答えず、自分のベッドにもぐりこんでしまったそうな。
彼女が何を見たのかは、彼女の口から聞くことはなかったと。
とまあ、こんな怪談めいた話をホセから聞く。
100%信用できないけど、ね。
今日は久しぶりにわりとちゃんとしたレストランでの食事だったので、Segundoにビーフステーキを注文してみたが、値段が安い分あんまりいいお肉ではなかった。
やっぱスペインで牛肉はナシかな…。
ちなみにここはそこそこ大都市のホテルのレストラン。
が、ここでもハエは飛んでいる…。
すごいなあ、スペインって。
ディナーを終えて帰り際、ホセがスペイン人の知り合いを見つける。
その人も巡礼者で、なんと毎日60km以上歩いているという。
一体どうやったらそんなに歩けるんだ?!
私も去年の大みそかに60km歩いたけど、毎日は続けられない…。
アルベルゲにいた日本人のオスピタレラは、マッサージが好評らしく、常に誰かの対応をしている。
結局彼女とはちらっと挨拶を交わしただけで、ゆっくり話をするチャンスはなかった。
今日も盛りだくさんな1日が終了。
本日の歩行距離:約30km
アルベルゲを出発したのが7:20頃。
今日は体調が良いので早足でどんどん進む。
いつもは歩くのが早いイタリア人のジーナは、なぜか今日はゆっくり。
道路わきで一緒に休憩していると、ジーナが「どうして休憩のときに靴を脱ぐの?」と聞いてきた。
どうしてって、、、乾かすために決まってるやん
「汗で蒸れるし、休憩ごとにブーツを脱いで風を通した方がいいよ」と教えてあげたけど、「ふ~ん」と言ったっきり、特に関心はなさそうだった。
しかし、そういう足のメンテをしっかりしない人に限って、案の定マメや靴ずれのトラブルに陥っている。
実はこの後、ジーナは足のトラブルでリタイアしたと思われる。
休憩していると、昨日みんなにレイキ・ヒーリングを施していた男性が現れる。
名前はホセ。
カナリア諸島出身らしい。
スペイン人としては、英語はかなり流暢な方だ。
私はちょっとヒーラーとしての彼に疑いの目を持っている。
今日は結構知り合いに遭う確率が高く、久々にハンガリー人のアンドレアもいた。
しばらく同じペースで歩いていたが、会話がほとんど成り立たないので、あまりしゃべらないようにする。
Villadangos del Páramoから10kmぐらい進んだところのHospital de Órbigoで、朝食休憩。
スィナの後ろに見えるのは、刃物砥ぎのおじいさん。
自転車を押して、笛を吹きながらだったか、ベルを鳴らしながらだったか忘れたけど、おじいさんがやってくると、バルの女主人が包丁を何本か持って出てきて、おじいさんに手渡した。
自転車の前に取りつけられた砥石が、ペダルを漕ぐと回転して刃を砥げるようになっている。
どこの国でもこういうのはあるんだなあ。
日本でも最近は少なくなったけど、お豆腐売りやら竿竹売りやらが来るし、ベトナムでもイランでもあった。
スィナと2人でこっそりおじいさんの隠し撮りをしていたら、後ろのテーブルにいたアメリカ人のカップルがちゃんと「写真撮ってもいいですか?」と聞いて、堂々と写させてもらっていた。
あ…
朝食を済ませ、再び歩きだす。
ここでもう一方のルート、Vilar de Marifeからの道と交差する。
さて、Astorgaまで国道沿いの道を行くか、オフロードを行くか。
私たちは昨日ずっと国道沿いを歩いてきたので、ここから先は自然の中を歩くことをチョイス。
多少のアップダウンがあるが、緑が多く、休憩する木陰もある。
4~5km進んだ先に出てきたSantibanez de Valdeiglesiaにはアルベルゲがあり、壁に描かれた洗濯物の絵がかわいかった。
今日も日差しがかなり強く、非常に暑い。
しばしば休憩しながらでないと、きつい。
途中、カミーノは誰かの農場を横切るので、普通に牛とかがいっぱいいる。
牛の赤ちゃんがとてもかわいい
赤ちゃんがいる場所の反対側では、実は私たちは巨大な牛の死骸を見てしまった。
最初は牛が寝ているのかと思ったけど、ピクリとも動かないので死んでいるに違いない。
なまんだ~。
何もない荒野に現れた、巡礼者のための休憩場所。
木陰とベンチがあるだけで、有り難い。
さらに進み、森の中で休憩していると、大柄な男性が通りがかった。
いつものようにスィナは初めて会う人に興味を示すので、あいさつだけにはとどまらず、「どこから来たの?」と会話に引き込む。
すると、その男性の答えは「オランダ」。
おおっ、こんなところに同郷の人みっけ。
当然スィナはいつも以上に嬉々として会話を始める。
オランダのどこから来たのか聞いたスィナは、さらにその男性の名字を聞いて、「○○って人、知ってる?」と。
男性は「それ、僕のオバです。」と答えた。
するとスィナが、「彼女、私の同級生よ!」って。
これが初めてではないが、オランダってどんだけ狭いねん
彼の名はヤン・ヤップ。
かなり個性的なキャラクターで、その後私たちの間では頭文字でJJと呼ばれることになる。
エキサイトしたスィナはAstorgaに入るまでずっとJJとオランダ語で話し続けることとなる。
当然、根掘り葉掘りプライベートなことまで聞き出しているんだろうな。
本日、Astorgaまでは約30kmの道のりなので、後半結構へとへとになっているところへ、セルフサービスのちょっとした屋台みたいなのが現れる。
ジュースやフルーツ、クッキーなどが置いてあり、代金は気持ちを寄付箱へ入れる。
しばらく何もない道が続いて疲れているところへ、こういうサービスがあるととても嬉しい。
その屋台を運営している男性に、Astorgaまであとどのぐらいか聞くと、「1、2kmだよ」ということだったんだけど、どうも地図に載ってる距離とは明らかに違う。
地図やガイドブックをノーチェックなスィナは単純に信じ込み、嬉々として歩くが、しばらくして男性に言われた距離は短すぎると気がついたようだ。
小高い丘の上に大きな十字架が現れ、巡礼者たちが記念撮影している。
その丘を下ってさらに遠くの方にAstorgaらしき町が見えている。
あと小1時間ぐらいかかりそうだ。
これまでにスィナと私は「スペイン人の言う距離はアテにならない」ということを学習している。
誰かに道を聞いた際、「あとどれぐらいですか?」と聞くと必ず短い距離で言われる。
過去に「バルまであと200m」と書かれた矢印につられ、えらい遠くまで誘導されてしまった時の記憶がよみがえる。
Astorgaに入る直前に出てきた村を通過した時、とあるホテルのテラスから声をかけられた。
ジーナだった。
なんでも彼女は、足の靴ずれが悪化し、タクシーでAstorgaの病院に行き、しばらくは静養するよう告げられたそうだ。
ジーナに携帯電話の番号を渡し、「きっとまた後で会おうね」と約束し、村を後にする。
残念ながら、その後ジーナの姿を見ることはなかった。
Astorgaの入口には、「心臓破りの坂」
なんで30kmも歩いた上にこんな急な坂を上らないといけないんだ?
他にルートはないのか?
坂を上りきった左手に、カミーノ友の会運営のアルベルゲが1軒ある。
ぶらりと中を見に行ったスィナだが、ここには興味がないようだったので、そのまま町の中心部まで歩を進めることにする。
が、Astorgaも結構大きな町で、歩けど歩けどアルベルゲが出てこない。
ずいぶん歩いて、ようやくカテドラル近くに出たところ、自転車を押した奇妙な男性に捕まる。
「アルベルゲはこっちだよ」と案内してくれるのだが、なんか、カラフルなボーダーのTシャツにデニム地のホットパンツ姿だし、この人。
しかも結構年を食っている。
怪しいな、いいのかなこんな人について行ってと思いながらも、「さあさ、こっちこっち」と促され、「ここはガウディホテルだよ」とか教えられながら進む。
カテドラルの前の細い道を入って行くと、私営のアルベルゲに到着。16:30。
さっきの奇妙なスタイルのおじさんは、オスピタレロなのか、「さあオレンジジュースをどうぞ」と勧めてくれた。
こういうのはありがたい。
あと、これまでの経験上、アルベルゲの受付で無料で提供されるジュースは薄くておいしくなかったんだけど、ここのはおいしかった。
受付にいた女性が説明する。
「グッドニュースは、ここはとても快適ですばらしいアルベルゲよ。バッドニュースは、宿泊代金が8ユーロだということ。」
私たちはあまり宿泊代金は気にしていないが、巡礼者の中には宿泊費の安い公営にしか泊まらないとか決めている人もいる。
説明を受けている間にも、さっきのカラフルおじさんが2杯めのジュースをついでくれる。
勝手にそんなにサービスしちゃっていいんだろうか…。
さらに、「18:00から隣の教会でミサがあるから、必ず出席するように」と、しきりに勧めてくる。
久しぶりにミサに出席するのもいいだろう。
ひとまず、シャワーと洗濯!
このアルベルゲには日本人のオスピタレラがいて、日本式マッサージが好評らしい。
振り返ると、奥でお客さんのマッサージ対応中。
いいなあ、マッサージ。
さて、木の階段を3階まで上がって行くと、屋根が低く斜めになっているロフトっぽいスペースにベッドがたくさんならんでいる。
2段ベッドもあったけど、1段のも空いていたのでそちらを使う。
ここのアルベルゲは設備がわりと充実していて、トイレやシャワーも結構たくさんある。
もちろんシャワーは問題なくお湯が出る。
シャワーを終え洗濯の準備をしていると、階段の下からスィナが誰かと話しているのが聞こえた。
ひょいと見てみると、アメリカ人のキムだった。
久しぶり~!
なんでもキムは数日前からお腹の調子が悪くなり、Léonで連泊したもののまだ調子が良くならず、今日アルベルゲに倒れ込むように到着した時には、泣き崩れてしまったとのこと。
お医者さんに行き、薬をもらって、食事制限されたと言う。
当分は水道水は飲まず、必ずペットボトルを買い、食事は少量のお米や穀物に限られているそうで、体力消耗しそうだな~。
洗濯はいつものように手洗いで。
脱水機があるというので、オスピタレラに使い方を聞く。
巨大な炊飯器みたいな丸い器の蓋をパカッと開け、靴下など軽いものから投入。
全て入れ終わると蓋を閉め、スイッチオンすると、ウィ~ンと中で回る音がし、下に取り付けられたホースから水が出てくる。
たったこれだけのことで、洗濯物は半分乾いたも同然。
全てのアルベルゲにこういうの置いといて欲しいな~。
洗濯物も干し、そろそろミサの時間。
例のカラフルおじさんが「早く早く、こっちこっち」と強制的に私たちを教会に連れて行く。
キムも一緒に連れ立ってミサに出席。
最後の方に讃美歌を歌う段になると、突然後ろからも歌声が。
振り返ってみると、この教会はうしろにまだスペースがあり、格子の向こうで数人のシスターが歌っていた。
こういうのは初めてのスタイルかもしれない。
後で他の巡礼者から聞いた話では、「あの教会には、十字架に磔された女性の銅像があった」という。
通常、十字架にかかっているのはキリストと決まっているけど、女性って珍しいな。
誰だろ?
ミサの後、教会はすぐに閉まってしまったので確認できなかった。
キムはスーパーに食材を買いに行き、スィナと私は一旦アルベルゲに戻る。
このアルベルゲの中庭には、テラスの他にちょっとした足湯のようなスペースがある。
お湯ではなく塩水なんだけど、巡礼で疲れた足を浸すと良い。
さらには打たせ湯のように水が上から落ちてきている。
テラスでくつろいでいると、今朝も会ったレイキ男のホセが。
今日の彼は怒っている。
どうしたのかと尋ねると、誰かにセクハラ呼ばわりしてからかわれたらしい。
「自分はあくまでレイキを施しているだけで、下心など一切ないのに、そういう見られ方をするのは心外だ!」とかなりお怒り。
う~ん、でも私も口には出さないけど、微妙なラインだと思って見ていたよ。
そこへキムが夕飯をたずさえて来た。
スーパーで買ってきた、レンジでチンするタイプのカップ入りのライス。
たぶん何か味付けはされてるんだろうけど、夕飯それだけ?
ライスとフルーツジュースでキムの夕飯は終わりらしい。
私たちが買ったブドウが残ってたので勧めてみたけど、「ありがとう。でも今はこれしか食べられないから。」と頑として他の物は口にしない。
ところでレイキ男、ホセだけど、キムを紹介された時、握手しながらちょっと前かがみになり、「あ、そうだったね。スペイン人じゃないもんね。」と。
キムが理解できず「はあ?」と言うと、「スペイン人だったらほっぺにキスするんだけど、みんながみんなそういう文化じゃないんだった。」とのたまった。
わざとらし~
ますますレイキ男への疑惑が深まる私。
が、スィナはこの手の人に騙されやすいので、「キム、体調悪いんなら彼にレイキしてもらえば?」と勧める。
マジで?
そんなことしたら奴の思うつぼじゃんか。
キムもスピリチュアルなことは好きな方なので、早速やってもらうことに。
大勢人がいるから変なことはされないだろうけど、キムはべっぴんさんなんで気になり、レイキの動向を見守る。
だけどホセがレイキを施しながら、何度もこっちを見るので、何度も目が合い、気まずいのでもう見るのやめた。
キムのヒーリングが終わると、今度はホセがスィナに向かって「あなたは昨日人にマッサージを施していて疲れているだろうから、レイキを受けるべきだ。」と指名。
で、スィナもレイキを受けることに。
長くなるので私は1人でAstorgaの町を散策することにした。
(スィナの場合は見張ってなくてよろしい。)
Astorgaのカテドラルも美しい。
カテドラルのそばにある巡礼博物館は月曜日閉館だったのが残念。
カテドラル脇のちょっとしたくつろぎスペース。
「犬の散歩禁止」の看板が出ているのに、堂々と散歩させている人もいた。(笑)
さて、カテドラルの周りをぐるっと回って帰ってこようと思っていたのに、ちょっと「この通りに何かお店ないかな?」とか思ってそれてしまうと、思いもかけない大周りに。
結局、かなりの距離を歩かないとアルベルゲまで戻れなくなってしまい、ビーチサンダルが痛い。
今日も30kmぐらい歩いたというのに、なんでこんなことしてるんだろ、私。
ずいぶん長い散歩をしてようやくアルベルゲに戻ると、スィナのレイキはまだ続行中だった。
長っ!
キムに「レイキどうだった?」と聞くと、「レイキの効果自体は良く分からないけど、彼には『どうしてそんなこと知ってるの?』と思うようなことを言われた」とのこと。
ん~、でも占いとか信じない私からすれば、大抵の人が悩んでそうなことを口にすれば当たると思うんだよね。
特に巡礼中の人には「人生の岐路ですね」とか、さ。
キムは「スィナのレイキの様子を見てると、ホセと何度も目が合うから、もう見るのやめた」と、私と同じことを言ってる。
やっぱ怪しいよ、ホセ。
やっとレイキが終わり、ディナーへ行こうという話になる。
このアルベルゲ宿泊者は受付で1枚のカードをもらっている。
それは、すぐ近くのガウディホテルのレストランでのディナー割引券として使える。
ホセが私たちと一緒にディナーに行きたいと言うので、割引券のことを伝えると、「僕ももらえるか聞いてくる」と受付へ向かった。
実はホセは別のアルベルゲに泊まっているが、レイキを施すためだけにこっちのアルベルゲの中庭に出没していた。
受付では「割引券をもらえるのはここの宿泊者だけ」と、むげに断られたようだ。
するとホセは私たちに「ま、とりあえずレストランに行って『割引券を忘れた』って言ってみるよ」と、全く気にする様子もない。
さすがスペイン人。
レストランに行き、私たち2人は割引券を提示。
ボーイさんに「あなたのは?」と聞かれたホセは、わざとらしくあちこちのポケットをまさぐり、「失くしちゃったみたい」と。
さっすがスペイン人!
ボーイさんが「割引券がないと割引料金では食べられません」と伝えると、「通常料金はいくら?うん、分かった。通常料金を払っても構わないよ」と平然と答える。
するとボーイさんが少し声をひそめ、「本当はだめなんですけど、今回は割引券なしでも割引料金にしておきますよ」と言ってくれた。
さっすがスペイン!
で、元々割引券なんか持っていなかったホセは堂々と割引料金でディナーを食べることとなる。
こういう融通がきくところが、スペインの好きなところ。
ディナーテーブルでホセはペラペラとしゃべりまくる。
元々はカナリア諸島出身だけど、海外生活も長く、現在はノルウェーで働いているという。
レイキを施すため、世界中あちこち飛び回っているらしい。
ふ~ん、でもなんとなく怪しいんだよね、この人。
さらに話題がスペイン人作家のパウロ・コエーリョの話に及ぶ。
この人はサンティアゴ巡礼者の間では有名。
なぜなら、彼が書いた「星の巡礼」というサンティアゴ巡礼経験を書いた本が世界的に有名で、多くの巡礼者は彼の本に触発されてやってきている。
ちなみに私はあえてこの人の本は読んでこなかった。
ホセによると「彼はインチキ野郎だ。本当はカミーノを全部歩いてなくて、車で回ったりしたのに、あたかも徒歩で全部歩いたかのような書き方をしている」とのこと。
まあ、ことの真偽はわからんが、あんたの話も十分怪しいので、話半分に聞いとくよ。
この怪しげなホセから、さらにカミーノの怪談話とでも言うべきものも聞かされた。
カミーノ上に「不思議な気が満ちている場所」というのが2か所ほどあるそうだ。
ひとつは、San Bolという村。
ここは私たちがポールやグナーと、BurgosからHontanasまでの何もない荒野を30km以上歩いた苦しいエリアの真ん中に位置する村。
なんならHontanasまで行かずに、途中のSan Bolに泊まっても良かったんだけど、グナーが「あそこの村のアルベルゲにはシャワーもないし、トイレもポットンだから」と敬遠していたので、素通りした。
ホセ曰く、昔、あそこでは村が忽然と消えたことがあるという。
ある朝起きると、村人が全員消えていたと言う不思議な現象があり、ニュースにもなったとか。
さらにもう1つの場所は、Manjarinという場所。
ここはまだ私たちは通過していないが、今は廃村となっており、一応アルベルゲはあるが、電気もなく、お湯も出ず、トイレも離れたところにポットンがあるのみという。
ホセの話では、これらの場所に共通しているのは、「不思議なことが起こるので、なるべく巡礼者を近づけないようにしている」ことだそうだ。
シャワーがなかったり、トイレがポットン式なのは、あまり巡礼者が泊まりたがらないようにして、わざと人を遠ざけているのだとか。
夜遅くに到着したり、疲れていたり、やむを得ずこれらの場所に泊まる巡礼者がいた場合、オスピタレロ達はなるべくアルベルゲ内でのイベントを企画して、巡礼者が夕暮れ以降外に出ないように仕向けているという。
ホセが以前Manjarinに泊まった時、1人の英国人女性が日が暮れてから「ちょっと散歩に出てくる」と出かけて行ってしまったらしい。
オスピタレロやホセは「何かが起こる」ということを知っていたけど、特に引きとめもしなかったそうだ。
するとものの15分でその女性がすごい勢いで帰ってきたそうだ。
そして顔面蒼白のまま、みんなの「どうしたの?」という問いかけにも答えず、自分のベッドにもぐりこんでしまったそうな。
彼女が何を見たのかは、彼女の口から聞くことはなかったと。
とまあ、こんな怪談めいた話をホセから聞く。
100%信用できないけど、ね。
今日は久しぶりにわりとちゃんとしたレストランでの食事だったので、Segundoにビーフステーキを注文してみたが、値段が安い分あんまりいいお肉ではなかった。
やっぱスペインで牛肉はナシかな…。
ちなみにここはそこそこ大都市のホテルのレストラン。
が、ここでもハエは飛んでいる…。
すごいなあ、スペインって。
ディナーを終えて帰り際、ホセがスペイン人の知り合いを見つける。
その人も巡礼者で、なんと毎日60km以上歩いているという。
一体どうやったらそんなに歩けるんだ?!
私も去年の大みそかに60km歩いたけど、毎日は続けられない…。
アルベルゲにいた日本人のオスピタレラは、マッサージが好評らしく、常に誰かの対応をしている。
結局彼女とはちらっと挨拶を交わしただけで、ゆっくり話をするチャンスはなかった。
今日も盛りだくさんな1日が終了。
本日の歩行距離:約30km