地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

カミーノにあしあと 27

2010年10月29日 | Weblog
【27日目】7/22(木) Molinaseca → Cacabelos
昨夜誰かがものすごくイビキをかいていたので耳栓を使ったが、それでもあまりよく眠れなかった。

スィナはと言うと、全く眠れなかったらしい。
あまりに眠れないので、起きだしてウロウロしていたら、オスピタレロが1階の食堂にあるカウチで寝るよう勧めてくれたらしいが、結局ほとんど寝ていないようだ。

イビキ犯は、分からず。


窓から外を見ると牧場があり、馬が草を食んでいた。
朝のすがすがしい空気と光の中で馬を見るのは、とても気持ちが良かった。


今日も自動販売機で買ったコーヒーと手持ちのクッキーでエネルギー補給し、パタゴニアのおじさんとほぼ同時に7:30頃にスタート。
しばらくは国道沿いを歩いて行く。
外はとても寒い。
どうやら私もBed Bugにやられたらしく、体がかゆい。


1時間ほどでPonferradaの町に到着。




ここにはCastillo de los Templariosというお城がある。
名前から想像がつくように、テンプル騎士団がこの町を守っていたらしい。




朝日を受けたお城の美しい佇まいに、そばにいたフランス人巡礼者も”C’est magnifique!”と絶賛してた。
私もお城は大好きなので、絶対中を見学したい!
が、11:00まで開かないとのこと。
ずいぶんと遅いな。

時間潰しにお城の前のバルで朝食を摂る。
メキシコ人のマリアとか、色んな人が通り過ぎて行く。
みんなお城目当てなのに、開館時間が11:00とあって、暇を持て余している様子だ。


食事を終え、まだ11:00にはならないので、先にカテドラルを見学に行くことにした。




今日は比較的大きな町に来たので、買い物をするチャンス。
私はかねてから気になっていた靴ひもを買いたい。
あと、キャッシュが底をつきつつあるので、なんとしても両替したい。


カテドラル前でまたスィナが通りすがりの巡礼者に声をかけた。
「あなた、スペイン語分かる?」
どうやら、銅像のところにある説明書きの意味を知りたいようだ。






呼びとめられた青年はブラジル人で、スペイン語も堪能だった。
それをきっかけにスィナが長々と立ち話を始めたので、「やれやれまた始まったよ」と思っていたら、ついでに「ところで、靴ひも買えるとこ知らない?」と聞いてくれた。

するとブラジル青年が、「そこにアウトドアショップがあるから、売ってると思うよ」と言って店まで案内してくれ、さらには買うのも手伝ってくれた。

ブラボー
スィナが誰かれかまわず声をかけてくれたおかげで、こっちは助かったよ。
本当にありがとう。

靴ひもはデザインに限りがあり、ちょっと長すぎるけど、それでも切れるよりマシ。
あ~助かった。
オダノブナリ状態に陥らずにすんだよ。

スペイン語で靴ひもがCordonesだというのも、この時に覚えた。

ちなみにそのアウトドアショップで五本指ソックスを発見。
やっぱ一応売ってることは売ってるんだ。
思わずブラジル青年に「これ、すっごいいいよ!」と力説したけど、あまり相手にされなかった。


このブラジル人、7:00ぐらいにPonferradaに到着したものの、お城が開くのが11:00と聞いて途方に暮れていた。
「スペインのわけのわからない時間設定のお陰で、4時間も時間つぶさないといけない」とブツブツ。
ブラジル人にまでそう言われてしまうスペインって一体…。


店の近所にSantander銀行があったので、店内に入って両替できるか聞いてみたが、できないと言われた。
スペイン語だったので詳しくは分からなかったけど、この先にある別の銀行へ行けと言われたようだ。
Santanderってどこの町にもある大きな銀行なのに、なぜ両替できない?
謎が深まるスペイン。


ばったりとキムに出会ったので、しばらく4人でブラブラとお土産物屋さんなどを見学。
そのうちブラジル人がどこかへ行ってしまい、お城見学は3人で。

お城からの町の眺めは良かったけど…、




お城内部は改装中で、特に見どころもなく、あっという間に見学終了。

スィナとキムが「これで3ユーロも取るなんて、ひどすぎる!」と、英語もほとんど分からない案内のお兄さんに抗議する始末。

それだけでは言い足りず、スィナが私に「メモ1枚ちょうだい!抗議文書いて受付に渡すわ!」と言いだした。
仕方なく1枚渡すと、「こんなものに3ユーロも取るなんて、心底がっかりしたわ」的なコメントを書き、その下に勝手にYuko, Kim, Sinaと連名で書いていた。

ちょっと待ってよ~。
私、別に文句行ってないのに勝手に名前書かんといてよ~。


それにしても、Bed Bugにやられた腕がかゆい。
キムによると、MolinasecaのどちらかのアルベルゲにはBed Bugが発生すると言うことを、地元の人は知ってるけど、わざわざ巡礼者に教えてはくれないとのこと。

まあ、聞かなきゃわざわざ向こうから言ってはくれないだろう。
それに、Bed Bugなんて巡礼者にくっついてあちこち旅をしているので、今日は虫がいなかったアルベルゲでも、明日はいるかもしれないし。

私たちが泊まったのは私営のアルベルゲだったけど、もう1軒は公営。
しかもそっちは「外に寝る」というオプションもあり、軒下にベッドが並べられていた。
暑がりのスィナは「外に寝たかったから、あっちのアルベルゲにすればよかった」としきりに残念がっていたけど、私は寒いから嫌!
そして屋外の方が虫が寄ってきそうで、さらに嫌!


繁華街の方にあるSantander銀行に入り、両替にトライしてみた。
日本円を受け取った窓口のおじさんは、「ちょっとチェックするから待って」と言って、パソコンをカチャカチャやり、その後”No conexión.”と言う意味不明な言葉を発して首を振った。
え?何がノー・コネクションなわけ?

パソコンの不具合なのか、日本円に対応していないのか、意味が分からん。
とりあえずおじさんは、「あっちにあるCaja Madridに行きなさい」と、別の銀行を勧めて来た。

で、Caja Madridに行ってみたけど、そこでも断られる。

一体何なんだ、スペインって


一旦カテドラル周辺に戻り、テラスでお茶をしているスペイン人のレベッカ&ホセ夫妻を見つけたので、相談してみる。
彼らは親切に、バルの店員にも「外貨を両替できる場所はあるか?」と聞いてくれたのだが、やっぱり店員の返事は「Santanderとか大手の銀行で」とのことだった。

だからSantanderでもCaja Madridでもらちがあかなかったんだよ~。

ふと、前回両替した時のレシートを取り出してみる。
FrómistaのCaja Españaのものだ。

よし、Caja Españaなら大丈夫、に違いない。
この町にもあるはずだから、探してみるべ。


スィナとキムがスーパーで買い物している間、私はCaja Españaを目指す。
が、どうもCaja Españaが見当たらない。

仕方なしに、他の銀行で聞いてみることにした。
BBVAとPopularが並んでいる。

とりあえずBBVA店内へ。
なんとなくここは違う気もするが、聞いてみないことには分からない。
カウンターは2名しか対応できず、結構人が並んでいる。
じっと並んで待つが、1人1人の対応時間が長いのよね~!

待てど暮らせど前のおじさんの用件が終わらない。
たまりかねて、ちらっと店内を通った行員のおじさんを捕まえて、「ここで両替できますか?」と聞いてみた。

答えは案の定「できないよ」だった。
がっくり。

「じゃあ、この辺にCaja Españaはあります?」と聞くと、「あの公園の向こう側にあるよ」と教えてくれたので、おじさんにお礼を言ってCaja Españaへダッシュ。


元々、両替にこんなに苦労するとも思っていなかったので(というか、ATMが使えるはずだったので)、両替に関するスペイン語フレーズなど考えてもおらず、しかし英語はほとんど通じないので非常に困った。
「そういえば外国行った時の両替所にはいつもCAMBIOって書いてあるから、きっとそれだよね。Cambioって実はスペイン語じゃん?」と思い、Cambioを連呼してみたけど、それでも通じにくかった。

が、困ったシチュエーションになると、火事場の馬鹿力的に記憶の奥底に埋もれていた文法とかがひょいっと顔を出してくれるようで、この表現が合っているかどうかも分からないけど、とりあえず”¿Puedo cambiar dinero aqui?”(ここでお金を換えられますか?)というフレーズをいつの間にか自分で編み出していた。

すると、”¿Qué dinero?”(何のお金?)と返されたりするので、必死に”¡Dinero japonés!”と訴えると、ちゃんと通じた。
ゼエゼエ…。


で、Caja Españaなんですが…、

カウンターの女性に上記の「両替したい」旨を伝えると、なんと返事は「ここではできません」とのこと。
ななな、なんで

「でも少し前にFrómistaにあるお宅の銀行でちゃんと両替してもらったんですけど?」と、その時のレシートを見せると、「ちょっと待ってて」と言い、その紙を持って奥に聞きに行った。

戻ってきた彼女のセリフは、やはり「できません」だった。
「なんで?Frómistaでは両替できたのになんで?」としつこく詰め寄ってみると、彼女の口から発せられたのは、「私は日本円を見たことがないので、それが本物か判断できないの」と、到底先進国の銀行とは思えないセリフだった。

円の両替ぐらい、ベトナムの銀行でもできまっせ~。

しかし、何よりも解せないのは、同じCaja Españaで、しかも人口1,000人ほどの小さな町Frómistaでできたことが、人口62,000人の都市Ponferradaでなんでできないかね?

スペイン、意味不明だ~


傷心のまま、もういい加減戻らないとスィナとキムを待たせ過ぎだと思いつつ、3度目の正直で、BBVAの隣にあるPopularに入ってみた。

半ばあきらめながら「円の両替できますか?」と聞いてみると、なんとカウンターにいたお兄さんは、あっさりと「できますよ」と。

マジで嬉しい~
Popular最高
Caja España最低

こんなことなら最初からPopularをトライしておけばよかったよ。
どれだけ無駄足踏んだことか…。
Popularのお兄さんが輝いて見えたよ。


次にいつ両替できるか分からない危機感があるので、5万円分を換金。
多額の現金を持ち歩くのは良くないが、そんなことは言ってられねえ。


すっかり遅くなり、走ってスーパーまで戻る。
途中でスィナへのSMS送信や電話も試みたが、またこういう必要な時に限って機能しないんだよね。
本当に、どうなってんだスペイン


「ごっめ~ん!ほんとにごめん!かくかくしかじか…」とスィナに説明。
スィナは「いいのよ、時間はいくらでもあるんだから」と全く気にしていない様子。
そういうところは大変ありがたい。(でも、急いでる時はちょっと困る。)

キムはと言うと、やはり彼女の性格上、待ち切れなかったようで、もうすでに先へ進んでしまったようだ。


すっかり疲れ、出発前にもう一度バルでコーラ休憩。
う~ん、コーラ1本2.3ユーロもするあたりが都会だな。
両替も満足にできないくせに!(←根に持っている)
昨夜も200mlのビンで2ユーロもしたし、ここは物価が高い。
ここでもテラス席料金を取られてるのかも。

私が銀行に奔走している間、スィナはスーパーでパンやチーズ、生ハムを買ってくれていた。
「今日のランチはピクニックにしましょうよ
わ~い、さんせ~い。


ずいぶんと時間をロスしてしまったけど、焦ってもしょうがないのでのんびり出発。

1時間ほど歩き、Columbrianosという場所の教会裏でランチ休憩。
先ほどスィナがスーパーで買っておいてくれた、生ハムとチーズでサンドイッチを作る。



まさにピクニック気分で楽しい。


休憩ついでにPonferradaで買った新しい靴ひもを通す。
よし、これでSantiagoまで安心して歩けるぞ。




そこからさらに1時間ぐらい歩いて、もうそろそろ疲れがたまってきた頃に、巡礼者用の休憩所を発見。
地図にはCo-op de Vinosと書いてある。
ワイン工場の一角にちょっとしたお店スペースがあり、たった1ユーロでワインとピンチョが食べられる場所だ。

まだ1日の歩行は終わってないけど、特別にサングリアとサンドイッチでゴキゲン




サンドイッチの中身はツナとポテトで、とてもおいしかった。

休憩エリアのほんとにすぐ奥は、ワイン工場になっている。




私たちの後から数名のサイクリストもやってきて、みな当然のようにワインを飲んでいた。
酔っ払い運転注意~!


炎天下に飲んだ1杯のサングリアでゴキゲンになったスィナと私は、フラフラと結構時間をかけてようやくCacabelosに到着。
しかし、これまた町に到着してからアルベルゲまでが遠い。
足も痛いし、しんどい。


ここはMolinasecaに並ぶ、美しい川がある町。






橋を渡って少し進むとようやく公営のアルベルゲが出て来た。
すぐ隣は教会。




ずらりと並ぶドア。




どうやらここは個室タイプのアルベルゲらしい。
2段ベッドじゃないだけで、ずいぶんと落ち着ける。



やや遅めの17:30にチェックイン。5ユーロ。
エリザベスやジムなど、見知った顔がすでにチェックインしていた。


エリザベスは相変わらずBed Bug被害から解放されていないらしく、今日もまた持ち物全部を洗濯したらしい。
「服を全部60℃のお湯で洗ったら、ずいぶん縮んじゃったわよ。私、まだそこまで痩せてないのに」と笑ってた。

同じアルベルゲにスペイン語が得意なベルギー人の女の子がいたので、エリザベスは彼女からBed Bug用の薬を買う際のスペイン語表現を必死に聞きだしていた。
私はしきりに、「オスピタレラに聞くのが一番正確じゃない?」と提案したのだけど、誰もそれには耳を貸さず、なぜかベルギー人に必死に聞いていた。

でもさ、Bed Bugという言葉すら、スペイン人に聞いても「さあ…?スペイン語でなんて言うんだろう?」な反応だったのに、ノン・ネイティブに聞いても、さ。
しかもシチュエーション的に分かってるのは絶対オスピタレラなのに。


結局エリザベスは、ベルギー人に書いてもらったメモを頼りに薬局に行ってみたけど、以前入手したのと同じ種類の薬を見つけることはできなかったらしい。


今日は疲れているので、町の中心部までまた歩いて戻るのもしんどいが、ディナーはしっかり食べねば。
橋を渡り、町に入ると一角のバルにキムやジムなどアメリカ人数名を含む巡礼者がビールを引っかけていた。

「ジョインしない?」と誘われたけど、スィナと私は「それよりお腹空いたから、すぐにでもディナー食べたい」ということで、断って晩御飯を探しに行く。


何軒か覗いてみたけど、これと言って決め手になるお店は見つからず、適当なところで手を打つことに。
「今日こそは、いつもの巡礼者メニューではなく、タパスを何種類か食べたい!」という私の主張が認められ、本日は単品オーダーで。


Ensalada Mixta(ミックスサラダ)、Croquetas(コロッケ)、Lacón con Pimientos(豚のショルダーハムとパプリカ)。




パプリカはスペイン名産。
よくオイル漬けになったものが瓶で売っている。


Patatas BravasとPatatas Ali-Oli(辛いソースとニンニクソースの2種類のソースがかかったポテト)。




そして、パプリカの粉がかかったPulpo(タコ)。




どれも普通に注文すると巨大なので、ハーフサイズでオーダー。
ちなみにポテト2種はスィナの希望による。
なんか、ドイツ人と同じでやたらとポテトばかり食べたがるんですけど…。

タコ以外は全部おいしかった。
一番期待していたタコが不発だったので、むなしさが残る。
やはりタコは最後のGalicia州に入ってからでないとダメかな~。

しかもスィナはタコが嫌いなので、食べない。
ただでさえお腹いっぱいで、タコが出て来た頃には「もう、食べたくない」状態だったのに、さらにまずいって…。

お店には申し訳ないけど、タコはほとんど残してしまった。


バルのテーブルでタパスをたくさん頼んで長々と食事しているのは、外国人であるスィナと私のみ。
地元の人たちは、ふらっと入って来て、カウンターで1杯飲んで、何かつまんで、そしてまたふらっと別のバルへ行ってしまうので、滞在時間は短い。


お会計をする時、店員が50ユーロ札を持ってきて、「細かいのに換えてくれ」と言う。
そ、そうなんだ、お客さんが店に両替頼むのは分かるけど、店がお客さんに頼むとかアリなんだ。
さすがスペインやな…。

細かい紙幣を持っていなかったわけではないけど、こっちだって巡礼中にバルばっかり回るので大きなお札は不便。
悪いけど、「細かいの持ってない」と言って断った。
(巡礼者的には、換えてあげるのが正解だったでしょうか…。)

一度、キムにも「私、大きなお札しか持ってないんだけど、誰か両替できる?」と言われて、渋々換えてあげたことがあるけど、「アメリカでだって50ドル札なんて使わないのに、ちゃんと細かいの持ってこいよ!」と、正直思った。
ちなみに私は日本でもお財布の中に細かいお金は常備している。



今日は両替ハッスルがあったけど、なんとか無事に1日が終わりました。
神様、ありがとう。

スィナの家族が会いに来るはずだったけど、突然フライトがキャンセルになってしまったので、明日に延期となった。


夜は、結構寒かった。







本日の歩行距離:約25km
本日の歩数:44,124歩