地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

カミーノにあしあと 26

2010年10月26日 | Weblog
【26日目】7/21(水) Rabanal del Camino → Molinaseca
朝6時を過ぎてもまだ外は暗い。

上のベッドのスペイン人のせいで、あまり良く眠れなかったので、体調悪し。
今度からスペイン人の若者の近くにならないようにベッドを選ばねば。
(というか、若者に限らず、スペイン人にはみんなえらい目に遭っている。)


同じアルベルゲに例のオランダ人、ヤン・ヤップ(JJ)が泊まっていた。
朝、洗面所で彼を見てびっくり。
コンタクトレンズを洗っている。

トラベル用でもなんでもない、大きなサイズの洗浄液を持ち歩いているようだ。
巡礼なんてややこしい時に、しっかりレンズをこすり洗い。
ちなみに私は普段コンタクトレンズを使っているが、別につけてなくても日常生活に支障のないほどの視力があるということもあり、巡礼中はずっと裸眼。
目が悪いなら眼鏡でなんとかならないのかと思うのだが、JJの場合は特殊なレンズらしく(遠近両用なのか、重度の乱視用なのか知らんが)、いかなる状況でもコンタクトレンズは必須らしい。


さて、薄暗い中、コーヒーとビスケットで朝食を済ませ、7:00に出発。
エリザベスもちょうど同じ時刻に出発だった。
あいさつすると、「昨夜のディナー代、一緒に払ってくれたの?」と聞かれた。

「え?私は自分とスィナの分しか払ってないよ」と言うと、「おかしいわねえ。私、自分の食事代払おうと思ったら、バルの女性が『もうもらってる』って言うのよ。でも私は払ってないので払おうとしたら、『韓国人の女の子が一緒に払った』と言って受け取ってくれなかったの」とのこと。

韓国人って、、、たぶん私のことよね。
バルのおばさん、私がエリザベスの分も一緒に払ったと勘違いしたのか。
でも払ってないし。

スペインのバルって、伝票があるわけでもなく、お客さんもいつ払ってもいいシステムになってるから、意外とこういう間違いが発生しているのよね。
お店側も代金取りっぱぐれてることがままあると思うよ~。

結局、「お店側の勘違いだね」ということになったのだけど、エリザベスは店に戻って支払うでもなく、食い逃げを決め込んだらしい。


外は風が強く、寒い。
久しぶりに木々が生い茂る森の道を歩く。

今日はスィナがカミーノで楽しみにしていた場所のひとつを通る。
La Cruz de Ferroと言って、丘の上に十字架が立っている場所だ。
巡礼者はそこに、家から持ってきた石を積み、祈りを捧げる。
私が住吉大社から持ってきた五大力の2番目の石はここに置くことにした。

もうひとつ、La Cruz de Ferroに至る少し前に出てくるFoncebadónと言う場所も、スィナがワクワクしている場所。
そこは野犬がいっぱいいてかなり危険な場所らしい。

でも昨日他の巡礼者から「今年の春、政府が野犬駆除をしたので、今はもうFoncebadónで野犬に襲われる心配はないらしいよ」と聞いていた。
にもかかわらず、スィナは「野犬に襲われたらどうしよう。危ないわね~」と、なぜかワクワクした様子。

だから、もう野犬いないんだってば…。


今日はカミーノで最も標高の高い、1500m地点まで上る。
曇っていて風が強く、霧が出ている。

ほどなくFoncebadónに到着。
寒いので、バルで休憩することにした。






ここでまた色んな人に再会。
キムとはアルベルゲでは何度も会ってるけど、歩いている途中で会うのは初めて。
体調は良さそうで、明るい表情をしていた。

いつか会った韓国人夫妻にも再会。
相変わらず、奥さんの方は膝が心配らしいが、今日は後半に結構急な下りが出てくるよ。

昨日のアルベルゲやミサで一緒だったドイツ人たちとテーブルを囲む。
そう、何をどうやってもドイツ人からは逃れられないのだ。
もうかなりドイツ語で何が話されているか分かるようになってきたし、「ヤァヤァ」と完璧な発音のドイツ語で相槌を打てるようになっていて、スィナにほめられた。


隣のテーブルにいたドイツ人の若い女の子は体調がかなり悪いらしい。
そして別のドイツ人の女の子は、昨夜泊まったアルベルゲに忘れ物をしてきたらしく、泣いていた…。

ほんとに色んな人がいるなあ。
…にしても、ドイツ人多すぎるやろ


スィナはひたすら野犬の話をしている。
だからもういないってば。



休憩を終え、外に出るとJJが追いついてきた。
JJとスィナは対立する支持政党を持っているらしく、半分冗談で、半分本気でお互いを非難し合っている。
で、記念に仲良く写真を撮っていた。
家に帰った時に家族に見せると大ウケするらしい。


バルを出てすぐに、サングラスが落ちているのを見つけた。
私は以前、スィナが巨大な寝袋でさえ拾って持って行ってあげたことを思い出し、今回もそうするのかと思ったが、今回はそのようなそぶりがない。

「バルとかに届けてあげないの?」と聞くと、「このサングラス、安物みたいだし、別にいいわ」と。
…。
あんたの判断基準が分からん。

後日、スィナはとうとう自分のサングラスを失くし、泣く羽目になるのだが、この時の罰が当たったに違いないと私は思っている。


Cruz de Ferroに向かって坂道を上って行く。
3日ほど前のアルベルゲで出会った若いスペイン人夫婦もいる。
後で色々とお世話になる、親切な人たち。


坂道を登りながら、姉にメールしてみた。
返信内容を見ると、やっぱり甥っ子の状況はちっとも改善されてなくて、かなり参っている様子。
う~ん、どうすることもできないなあ。


ついにCruz de Ferroに到着。




住吉大社の石を取り出し、甥っ子の救済を願いつつ、十字架の下に置く。




スィナに「自分のことを祈ったの?それとも家族のこと?」と聞かれ、「家族のこと」と答えてからちょっと涙が出た。
ここに来るとみなエモーショナルになっているので、スィナも涙ぐんでいた。

夫を亡くしたエリザベスは、昨日私たちに夫の名前が書かれたひとかけらの石を見せて、「これをCruz de Ferroに置くの」と言っていた。

そのエリザベス、石を置き、祈りを捧げた後、号泣していた。
みんなそれぞれの思いを抱いて、巡礼している。
それが最も象徴的に現れるのがこの場所じゃないだろうか。


メキシコ人のマリアも加わって、記念写真。







十字架横をアメリカ人のジムが通りかかった。
特に石を置いたりはしないらしい。
最初会った時に比べて元気がないので、大丈夫かと声をかけると、「まあ、ちょっと足を痛めてるからね」と。
そして相変わらずブルーな表情で去って行った。


エリザベスと連れだって、十字架を後に。
まだなんとなくみんな涙目なので、霧が出ているのにサングラスをかけたまま歩く。


牛がたくさん放牧されているところを通り過ぎる。
ちょうどお母さん牛のお乳を飲んでいる子牛に遭遇。
かわいいなあ
お母さん、ちょっと人相(牛相?)悪いですけど。





Irago峠を越え、ほどなくしてManjarinという廃村に到着。
レイキのホセが「不思議なことが起こる場所」のひとつに挙げていたところだ。






アルベルゲ兼お土産物屋さんの近くにはポットン便所が設置されていた。
なるほど、これが噂の、ね。


色んな場所への距離が書かれた標識。
日本までの距離はないね。(今度勝手に書こうかな?)




中ではお土産物が売られ、寄付をしてクッキーやコーヒーを頂く。




店内にある鐘は、霧で巡礼者が迷わないように鳴らすそうだ。


ここから先は急な下りが待ち受けている。





今日は、St. Jean-Pied-de-Port以来の素晴らしい景色の中を歩いたと思う。
標高が変わり、植栽の変化も面白い。
ただ、足元は石がゴロゴロしていて、滑りやすく、傾斜もきついのでかなり膝に負担がかかる。
韓国人の奥さんがつらそうにしている。
足の悪いパタゴニアさんも大変だね、とスィナと2人で心配する。


涼しかったものの、結構体力的には負担がかかった。
やっとAceboという村に到着し、バルで休憩。
スペインのバルでは、同じ柄の食器を良く見たが、ここでは久しぶりにちょっとこじゃれた感じのティーカップとシュガーを見た。





さて、ここからもうひとがんばり、延々とひたすら下って行く。


下りはスィナに疲れが見え始め、遅れがちになる。
先に進んで途中でスィナを待っていると、上から下りて来た若いドイツ人カップルが、「これ、あなたの?」と差し出した物を見ると、私の腕時計!

そうありがとう
ゴロゴロ足場の悪い下り道を歩いているうちに、いつのまにかウエストポーチのポケットからこぼれおちたらしい。

帽子に引き続き、2度目の落し物を拾ってもらった体験。
ありがとう、カミーノ。


次にRiego de Ambrósという村に到着した。
ここにはアルベルゲが1軒のみ。
中を見せてもらったけど、スィナは気に入らず、ここには泊まりたくないと言う。
私は別にどこでもいいので若干うんざりしながらも、まだ歩く体力はあるのでMolinasecaまで進むことにした。

アルベルゲにはスニーカーが1足のみ。
後で聞いたらキムだった。
村にたいして食料品店もなく不便だったけど、普通に泊まるには支障なかったとのこと。


もう1度コーラ休憩を取り、ひたすらMolinasecaを目指して進む。
最後の力を振り絞り、ひたすら歩く、歩く。
今日はSantiagoまで200kmを切ったお祝いに、途中で出て来たバルでアイスキャンディーを買い、スィナと乾杯。

途中、黄色い矢印が見つからない場所があったりして不安がよぎったが、どうにかこうにかMolinasecaに到着!
美しい!











町が美しいのはいいが、アルベルゲは町の出口辺りにある。
疲れた体に鞭打ってひたすら歩かなければならず、巡礼者的にはブーイングものだ。
できるだけアルベルゲは町の入口付近に作ってもらいたいものだ。


最初に出て来た私営のアルベルゲの方に飛び込む。
ヘトヘトに疲れて到着したのが16:00。
長い1日だった。

ここのオスピタレロは、11月に四国にお遍路に行くらしい。
アルベルゲ内にもお遍路関係の手ぬぐいだとか、本だとか置いてあった。
さらに日本人が書いたカミーノ本があり、このアルベルゲのことが書かれてあり、このオスピタレロのおじさんも写真入りで登場していた。
自慢げに見せられ、あれこれ説明されたけど、私のスペイン語力では気のきいた返しもできず、すいませんでした…。


宿泊費は7ユーロ。
一番上の階のロフト状の部屋に行ってみると、そこは1段ベッドが並んでいて快適そうだったけど、全部埋まっていた。
ナターシャやエリザベスがすでにそこに陣取っており、「今頃到着したの?」と驚かれた。
私とスィナの巡礼は休憩が多いのんびりタイプなので、大体こんな時間の到着になるが、他の人はもっと早く到着してくつろいでいる。

仕方ないので階下の2段ベッドを使う。
私営だから結構奇麗だし、シャワーなども快適。
今日も1日を無事終えたことに感謝しつつ、シャワーを浴び、洗濯をする。
そろそろ手洗いの洗濯物も臭って来た気がするが、我慢…。


アルベルゲのテラスで日記を書いたりして過ごすも、本日のスィナはどっぷり疲れている様子。
私も今日はかなり足に負担がかかったので、左のかかとにマメができかけている。
30km以上歩いた日以来のことだ。

あと、前々から気になっていたんだけど、靴のひもが切れそうになっている…。
とりあえず結び目を作ってその場しのぎをしているけど、早くどこかで新しい靴ひもを買わなきゃ、Santiagoまで持たないかもしれない。
これでは織田信成の二の舞になってしまうわ。


テラスの隣のテーブルに東洋人の女の子がひとり。
う~ん、韓国人か日本人か判定が微妙。

話しかけてみると、韓国人だった。
う~ん、やはり日本人にはなかなか会わないなあ。
彼女は7/1にサンジャンを出発したそうだ。
私たちが出発したのは6/26だから、ずいぶんと歩くの早いなあ!


スィナがグダグダに疲れているので、早めの夕食を求めて町の中心部へ。
日本語が書かれた石碑があった。




アルベルゲにも同じものがあったよ。




町を歩いていると、例のパタゴニア在住フランス人が到着した。
あんなに足が悪いのに、あの急な傾斜の道を下ってここまで来たんだ
おめでとう

同じく町を散策していたナターシャやエリザベスも彼に声をかけている。
いつの間にか顔見知りになった巡礼者のことは、みんな気にかけているんだね。


エリザベスはまたBed Bugにやられたので、薬局を探しているそうだ。
以前も体中をかまれ、かゆそうにしていた。
自分の衣類にくっついて、背中のリュックと共に虫が旅してると思われるので、手持ちの衣類を全て洗濯したそうだ。


夕食前にちょっと教会をのぞいてみる。




どこの町や村へ行っても、必ず私たちは教会を訪ねてみる。
閉まっていることも多いけど、開いていれば祈りをささげ、ロウソクに火をともす。
(大抵の場合、電気のロウソクなのでスィナが不機嫌になるんだけど。)

川沿いのレストランのメニューを見てみると、町だからかちょっと高め。
あと、テラス席は料金が高くなっている!

ここぞと思うところでディナーを食べようと思ったが、20:00以降じゃないとダメと言われ、自分たちがスペインにいることを思い知らされる。


これ以上ウロウロする気力も体力もないので、とりあえずコーラを飲んで1時間ほど待つことにした。
川沿いのテラスで一休み。

ふと見ると、またあのレイキ男が女の子と一緒にお茶してるよ。
絶対怪しいし、あいつ。


コーラとポテトチップスで空腹をしのぐも、じっとテラスに座ってること自体がつらい。
「他のレストラン探しに行こうか」とスィナが言うので、立ちあがってまたアルベルゲ方面に向かって歩く。


ようやく20:00より前にディナーを出してくれる店が見つかり、そこで12ユーロのセットメニューを。

一応、そこそこきちんとしたレストランのはずなのに、しわくちゃになった紙ナプキンを出され、スィナと2人で苦笑。
Viva, Spain!





Primero Platoは海鮮リゾットにしてみた。




Segundoは豚肉。




もうお腹いっぱいだけど、デザートはタルト…。




どこの村や町でもそうだけど、やっぱりここでも犬がウロウロしている。
しっぽを振り振り足元にやってきた犬を見ると、、、、ブサイク。
スペインで良く見かける、受け口の犬だ。

顔がブサイクな上に、歩き方までおかしく、スィナと2人で大爆笑。
あとになって、「写真に収めとけばよかったね、あのブサイク犬」と笑い合った。

同じレストランに、パタゴニアのおじさんもやってきた。
どうやら店の主人が元々フランス出身らしく、話に花が咲いていた。
今日はパタゴニアさんもかなり上機嫌だ。


通りに面したテラスで食べているので、色んな顔見知りが通りがかる。
とある巡礼者(たぶんオランダ人だったと思う)から、「ピーターがあなたを探してたわよ」と言われる。

おおっ!ピーター!
13歳のコリアン・カナディアンじゃないか。
昨夜は私たちのひとつ手前の村に泊まっていたらしい。
会いたいよ~。

ピーターには写真を送らないといけないのに、まだメールアドレスを聞いてない。
いつかきっと、また会える。








本日の歩行距離:約26.5km
本日の歩数:40,662歩