古代日本国成立の物語

素人なりの楽しみ方、自由な発想、妄想で古代史を考えています。

第8回実地踏査ツアーの行程(葛城・纒向ツアー No.1)

2019年11月30日 | 実地踏査・古代史旅
 2019年11月8~9日、いつもの古代史研究仲間の岡田さん(行政書士岡田清之事務所代表)、佐々木さん(合同会社ウィンアクション代表)のお二人とともに、1泊2日で奈良県の葛城地域の南部一帯と三輪山麓および纒向のオオヤマト古墳群を訪ねる実地踏査ツアーを実施しました。実地踏査と題した古代史ツアーは今回で8回目になります。ちなみに過去7回はこんなところに行きました。

 2013年 6月 第1回 纒向遺跡(1日間)
 2013年 7月 第2回 高千穂・西都原古墳群(2日間)
 2015年 2月 第3回 熊野(2日間)
 2016年 9月 第4回 さきたま古墳群(1日間)
 2017年 3月 第5回 丹後・出雲(3日間)
 2017年 11月 第6回 北部九州(3日間)
 2019年 5月 第7回 吉備(2日間)

 ご覧の通り、記念すべき第1回目が纒向遺跡だったので3人での纒向訪問は今回で2回目となります。そして、葛城南部一帯は3人では初めての訪問となりますが、私は昨年と3年前にも訪れたことがあるので今回が3回目となります。

 第3回目のツアーからは事前学習資料と行程表を兼ねたガイドブックを作成しているのですが、今回はこんな表紙になりました。



 私にとってはこれを作成する過程で様々な情報を収集し、Googleストリードビューで現地の状況を確認したりするので、ガイドブックが出来上がった時点ですでに現地に行ったような気になってしまいます。今回の2日間の行程は以下のようになります。

<1日目の行程>
 ◇近鉄大阪線大和八木駅集合
  ↓
 ◇葛城市歴史博物館
  ↓
 ◇御所市アザレアホール(條ウル神古墳企画展)
  ↓
 ◇鴨都波神社(鴨都波遺跡)
  ↓
 ◇葛城一言主神社
  ↓
 ◇第2代綏靖天皇葛城高丘宮址
  ↓
 ◇名柄銅鐸出土地
  ↓
 ◇極楽寺ヒビキ遺跡・南郷大東遺跡
  ↓
 ◇高鴨神社(葛城の道歴史文化館) 
  ↓
 ◇鴨神遺跡
  ↓
 ◇室宮山古墳・室ネコ塚古墳
  ↓
 ◇條庚申塚古墳・條池北古墳・條池南古墳・條ウル神古墳
  ↓
 ◇日本武尊琴弾原白鳥陵
  ↓
 ◇掖上鑵子塚古墳
  ↓
 ◇新沢千塚古墳群
  ↓
 ◇大和八木駅到着(駅前のホテルに宿泊)

<2日目の行程>
 ◇近鉄大阪線桜井駅
  ↓
 ◇仏教伝来の地・欽明天皇磯城島金刺宮跡・海石榴市
  ↓
 ◇第10代崇神天皇磯城瑞垣宮址・大神神社
  ↓
 ◇檜原神社
  ↓
 ◇相撲神社・穴師坐兵主神社
  ↓
 ◇第12代景行天皇纒向日代宮址
  ↓
 ◇珠城山古墳群・第11代垂仁天皇纒向珠城宮址
  ↓
 ◇景行天皇山辺道上陵(渋谷向山古墳)
  ↓
 ◇シウロウ塚古墳・立子塚古墳・丸山古墳
  ↓
 ◇櫛山古墳
  ↓
 ◇崇神天皇山辺道勾岡上陵(行燈山古墳)
  ↓
 ◇アンド山古墳・南行燈山古墳
  ↓
 ◇黒塚古墳・古墳展示館  
  ↓
 ◇中山大塚古墳・蟷螂山古墳・火矢塚古墳
  ↓
 ◇西殿塚古墳(衾田陵)・東殿塚古墳
  ↓
 ◇下池山古墳・西山塚古墳
  ↓
 ◇波多子塚古墳・ヒエ塚古墳・ノムギ古墳
  ↓
 ◇マバカ古墳・粟塚古墳
  ↓
 ◇大和神社・星塚古墳・馬口山古墳
  ↓
 ◇フサギ塚古墳・矢矧塚古墳
  ↓
 ◇天神山古墳・上の山古墳
  ↓
 ◇纏向遺跡居館域
  ↓
 ◇東田大塚古墳
  ↓
 ◇近鉄大阪線桜井駅に到着

 1日目がレンタカー、2日目はレンタサイクルを利用しました。私の自宅が大阪の富田林なので当初は2日間ともマイカーを出そうと思っていたのですが、よくよく考えると、葛城山麓の傾斜地に網の目のように張り巡らされた農道を走るにはできるだけ小さい車のほうがいいのと、纒向ではそもそも車の走れない山辺の道を利用しなければならないので、1日目をレンタカー、2日目をレンタサイクルということにしました。
 特に2日目については、アップダウンの激しい山麓に広がるみかん畑や柿畑の中に築造された古墳の数々を効率的に見ていこうと思うと、あらかじめその場所を確認しておくことと、その場所に近寄る方法を調べておく必要があると考え、こんなルートマップも作りました。



 これを作ったおかげで予定していた約40カ所の踏査地をほぼ網羅することができました。しかし一方で、「山辺の道は自転車で行くところではない」ということを思い知らされることにもなったので、このあとのレポートの中で触れてみたいと思います。

 2日目はほぼ古墳巡りとなっていますが、2013年の時と合わせるとオオヤマト古墳群にある主な古墳をほぼ制覇したことになるのではないでしょうか。ちなみに2013年には、箸墓古墳、ホケノ山古墳、茅原大墓古墳、纒向石塚古墳、纒向勝山古墳、纒向矢塚古墳を巡りました。

 では次回より踏査レポートを順に見ていくことにします。



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古代日本国成立の物語 ~邪馬台国vs狗奴国の真実~
小嶋浩毅
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古代オリエント博物館

2019年11月25日 | 博物館
 2019年11月の葛城・纒向への実地踏査の事前学習のため、池袋にある古代オリエント博物館で開催されている秋の特別展「しきしまの大和へ -アジア文華往来-」を観に行きました。この特別展は奈良県立橿原考古学研究所附属博物館による巡回特別展を兼ねており、同博物館が所蔵する貴重な資料が展示されていました。
 実は実地踏査ツアーの行程を検討する中で、橿原考古学研究所附属博物館は絶対に行こうと考えていたのですが、調べてみるとなんと現在は休館中とのことでガッカリ。そして見つけたこの特別展でした。いっしょに実地踏査に行くことになっている古代史仲間の佐々木さんを誘って二人で行ってきました。

 古代オリエント博物館は池袋サンシャインシティ文化会館の7階にあります。エレベーターを7階で降りて通路を左に進むとそのまま入口につきます。(※本記事の写真は全て私が当館で撮影したものです)




 入館料は900円です。貴重な資料が豊富にあるとはいえ900円は少し高く感じました。


 この映像ホールの左手が今回の目的である特別展の展示室で、右手は常設展の展示室になっています。






 この石棒はインパクトがあります。


 葛城の中西遺跡からの出土物です。京奈和自動車道の御所南IC建設に伴って発見された中西遺跡は弥生時代前期における日本最大級の水田跡です。橿原考古学研究所によって2009年度より継続的に調査が行われ、大規模な水田跡が姿を現していましたが、調査も大詰めを迎えたこの時期に再び現地説明会が行われました(都合で行けなかったのが残念です)。


 鐸形土製品は銅鐸との関係でもう少し勉強する必要を感じています。


 纒向遺跡の解説パネルです。纒向遺跡は第1回目の実地踏査で行ったので、今回は山麓の古墳群を中心に踏査しようと考えています。


 西日本の各地から纒向遺跡に持ち込まれたいわゆる外来土器です。纒向遺跡における外来土器の比率は15~30%で、全国各地のどの遺跡よりも高い比率となっています。


 卑弥呼の墓ともいわれている箸墓古墳や西殿塚古墳など、纒向にある初期の前方後円墳からは円筒埴輪の原型とされている吉備の特殊器台が出ています。ここから、古墳の副葬品などの出土物から王権の誕生を辿っていきます。


 





 石釧や車輪石。原型はゴホウラ貝などを加工した腕輪とされており、王家の威信財のひとつです。


 特殊器台が発展して円筒埴輪になりました。


 舟形埴輪によって当時の造船技術を知ることができます。


 古墳時代中期になると鉄製の武器や武具が副葬されるようになります。


 古墳時代中期の5世紀に全盛期を誇ったとされる葛城氏の本拠地の航空写真です。ここも実地踏査で訪ねることにしているまさにど真ん中のところです。


 葛城の南郷遺跡群からは鉄滓や鞴の羽口など、製鉄が行われたことを示す遺物が出ています。


 新沢千塚古墳群からは朝鮮半島や大陸、あるいは遠くペルシャから伝わったとされる豊富な副葬品が出たそうです。この展示を見て、実地踏査の行程にこの古墳群を追加することにしました。


 南郷大東遺跡では水の祭りが行われたと考えられています。ここも行くことにしています。

 この特別展はまさに今回の実地踏査ツアーの事前学習としてはドンピシャの展示内容でした。この展示内容に沿って行程を組んだと思えるほどです。ただ、今になって思えばもう少しじっくり見ておけば良かったと思う資料や解説がたくさんありました。葛城・纒向への実地踏査ツアーの詳細はおいおい記事にして行こうと思っております。

 さて、この特別展を見学したあと、当館の常設展である古代オリエントのコレクション展も見学しました。世界史にもおおいに興味があるものの、この展示を理解するほどではないので、ひとつひとつの展示資料を詳しく見ることはしませんでした。




 これは日本古代史とも大きな関連がある好太王碑文のレプリカです。これはじっくり見ました。




 これはロゼッタストーンのレプリカです。




 午前中の2時間程度の見学となりました。本当はもう少しゆっくりと見たかったのですが、午後から予定が入っていたので致し方なしです。でも、東京ではこのように大和をフィーチャーした展示を見ることができないので、非常に貴重な経験となりました。ここで撮った写真は纒向・葛城踏査ツアーの記事の中でも振り返りで登場させることになると思いますのでお楽しみに。以上です。



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