魏志倭人伝に基づいて対馬国、壱岐国、末盧国、伊都国、奴国まで定説となっている位置を順に見てきたが、倭人伝にはそれに続いて不弥国、投馬国、邪馬台国への道程が記されている。不弥国については「フミ」という音と奴国の東へ百里と記されていることから、その位置を福岡市宇美町に比定する説が有力であるが、伊都国や奴国ほどに定説として定まっていない。まずこの不弥国に触れたあと、投馬国および邪馬台国について詳しく考えてみたい。
奴国の記述に続いて「東行至不彌國百里(東に百里行けば不彌国に至る)」とある。放射説が成り立たないことは先述の通りなので、ここは素直に「奴国から東に百里で不弥国に至る」と読む。そして方角は「東」を30~90度ずらして奴国を起点に東北東から北方向の範囲と読み替え、距離は百里程度、すなわち伊都国から奴国までと同じくらいの距離に収まる地域となる。不弥国を比定するための要件がもう一つある。それは不弥国の次の投馬国には水行二十日となっていることから不弥国には港があることが想定される。沿岸部もしくは船が航行できるくらいの川沿いということになる。方角、距離ともに合致する遺跡として福岡県飯塚市の立岩遺跡がある。近くを遠賀川が流れていてその下流域は縄文時代には古遠賀潟と呼ばれ、現在の直方あたりまで入り江が入り込んでいたこともあり、船の航行に不都合がなかったと思われる。この地は北と南は遠賀川流域平野として開かれているが、東は関の山、西は三郡山地等に囲まれて盆地を形成しており、江戸時代には長崎街道の要地であり、現在でも北九州市、福岡市、久留米市など四方の都市からの交通の結節点として機能する要衝の地である。
飯塚市には紀元前後の遺跡が多数見つかっており、これらを総称して立岩遺跡あるいは立岩遺跡群と呼んでいる。その中でも中心となるのは飯塚市中心部の小高い丘陵地にある弥生時代中期後半の立岩堀田遺跡で、1963年から1964年に調査が行われ、甕棺墓43基、貯蔵穴26基などが見つかっている。特に10号甕棺からは一度に6面の前漢鏡が見つかるなど全部で10面の前漢鏡、鉄剣や銅矛、琉球でしか採れないというゴホウラ貝の腕輪、さらには絹などが見つかった。この地の王の墓であることは間違いないと考え、ここを不弥国としたい。
これで不弥国までの比定ができた。これまで見てきた対馬・壱岐・末盧・伊都・奴・不弥の6ケ国はすべて九州北部にあり、各国までの道程、官吏の名称、戸数、国内の様子などが倭人伝に詳しく記されるほど魏にとっては重要な国であり、同時に先進的な国であった。この6ケ国があった地域を便宜上、まとめて「北九州倭国」と呼びたい。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 電子出版しました。
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飯塚市には紀元前後の遺跡が多数見つかっており、これらを総称して立岩遺跡あるいは立岩遺跡群と呼んでいる。その中でも中心となるのは飯塚市中心部の小高い丘陵地にある弥生時代中期後半の立岩堀田遺跡で、1963年から1964年に調査が行われ、甕棺墓43基、貯蔵穴26基などが見つかっている。特に10号甕棺からは一度に6面の前漢鏡が見つかるなど全部で10面の前漢鏡、鉄剣や銅矛、琉球でしか採れないというゴホウラ貝の腕輪、さらには絹などが見つかった。この地の王の墓であることは間違いないと考え、ここを不弥国としたい。
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