古代日本国成立の物語

素人なりの楽しみ方、自由な発想、妄想で古代史を考えています。

【博物館展示論レポート③】博物館機能における「展示」と「収集」・「保管」・「調査研究」の関係について

2018年09月30日 | 学芸員
博物館展示論の科目修得レポートです。課題内容は以下の通りです。

 博物館機能における「展示」と「収集」・「保管」・「調査研究」の関係について説明し、自分の考えを述べなさい。字数は2000字程度とします。レポート作成時の注意事項を厳守すること。守られていないものについては、大幅な減点の対象となるので注意してほしい。テキストや参考文献を参照すること。ただし丸写しは不可。参考文献から引用する際は、脚注等で出典の情報(書名(論文名)・著者名・該当箇所のページ等)を明記し、自分の考えと明確に区別すること。具体的に展示資料を取り上げて論述すること。取り上げる資料は、たとえば「西洋絵画」のような分類名称でも、ダ=ヴィンチ作「モナ・リザ」(ルーヴル美術館蔵)のような個別具体的な資料名でも、どちらでも構わない。複数の資料を取り上げてもよい。

レポートの解答、および先生の評価コメントはこちらをご覧ください。

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【博物館展示論】レポート公開③









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2018年09月29日 | 雑感
 日本書紀や古事記は神話の部分も含めて何らかの史実や伝承に基づいて書かれていると考える著者が、その記紀を中心とする日本の歴史資料をベースにして、魏志倭人伝など中国の歴史資料、さらには各地で発掘された遺跡とその遺構や遺物から得られた考古学の知見を組み合わせ、できるだけ合理的な解釈を試みることによって古代日本国、すなわち大和政権が成立するまでの過程を解き明かそうと挑戦した書である。

古代日本国成立の物語 ~邪馬台国vs狗奴国の真実~
小嶋浩毅
日比谷出版社



 本書は当ブログ「古代日本国成立の物語」の第一部を書籍化したものをそのままアマゾンKDPにて電子出版したものです。390円とお手頃価格に設定しましたので是非ご購入いただければと思います。印刷版をご希望の方は当画面の「メッセージ」にてご連絡いただけると個別に対応いたしますので、よろしくお願いします。
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【博物館資料論レポート③】考古資料の取扱いについて

2018年09月28日 | 学芸員
博物館資料論の科目修得レポートです。課題内容は以下の通りです。

資料の取扱について、下記の語群から1つの資料を選択して2000字以上で説明しなさい。
  1,近現代美術品
  2,古文書
  3,写真(デジタルを除く)
  4,考古資料


レポートの内容および先生の評価コメントはこちらをご覧ください。

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【博物館情報メディア論レポート③】歴史博物館の価値を高める「考古資料の3Dデジタル図鑑」

2018年09月27日 | 学芸員
博物館情報・メディア論の科目修得レポートです。課題内容は以下の通りです。

 あなたが今後博物館で働くことを想定して、博物館業務のために作りたい、または使いたいと思うデジタルコンテンツまたはシステムを4000字以内で一つ説明しなさい。レポートには以下①~④のように項目を立てて、デジタルコンテンツまたはシステムの内容そのものや博物館の「調査・研究」「収集・保存」「展示・教育」の3機能にそれぞれどう役立つか、説明すること。項目名は字数には含まない。

 ①デジタルコンテンツの内容
 ②調査・研究に役立つと考えられる点
 ③収集・保存に役立つと考えられる点
 ④展示・教育に役立つと考えられる点

また、②~④の説明の際には
 A.「博物館利用者」(直接博物館を訪れる人・団体、あるいは博物館のコンテンツをインターネット経由で利用する人・団体)
 B.「博物館関係者」(博物館職員や、博物館を設置・運営している地方公共団体・企業等設置者)
 C.「社会全体」(A, B以外の人々・団体への波及効果)
の3点に対して、それぞれ「」内の用語を使ったうえで、どのように役立つかを説明できるとよい。

 いずれの項目も、当てはまる点がどうしても思い当たらない場合はその旨書いて回答してよいが、できる限り各分野への使い道を考えて書けるとよい。予算の観点から実現が難しいと思われる場合は、不完全でもいいので、それを可能とすると思われるアイデアがあれば、盛り込めるとなおよい。


レポートの解答、および先生の評価はこちらをご覧ください。

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【博物館教育論レポート③】私の考える博物館教育 -近つ飛鳥博物館における新しい学習プログラムによる地域再生への挑戦-

2018年09月17日 | 学芸員
博物館教育論の科目修得レポートです。課題内容は以下の通りです。

 メインタイトルは「私の考える博物館教育」。以下1~3の視点からいずれかを選択して2000字以上でレポートを作成して下さい。1~3いずれの視点を選んでも、必ず内容に応じたサブテーマを設定して下さい(必須)。

 1.実践事例に学んだことを参照して「こんな博物館教育をしてみたい」というプランを考察する(「自分だったらこれができる」という身近で現実的な内容を考えて下さい)。
 2.学習指導要領等を検討した「学校と博物館との連携による教育」を構想する(必ずしも実践事例に該当する必要はありません)。
 3.社会の変化やテクノロジーの進歩に対応した博物館教育のあり方を論ずる(生涯学習時代の到来や学校教育の変化を考慮して、理想を追究してみて下さい。)


レポートの解答および先生の評価コメントはこちらをご覧ください。

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大阪市立大阪歴史博物館(No.2)

2018年09月16日 | 博物館
 大阪歴史博物館は隣のNHKとともに大阪市立中央体育館の跡地に建てられ、2001年に開館しました。中央体育館を解体するときに難波宮跡が発掘されると同時に5世紀の遺跡である法円坂遺跡も発掘調査されました。このときの遺構が建物の下に保存され、見学をすることができます。

 チケット購入時に遺構見学ガイドツアーに参加したい旨を告げて開始時間や参加方法を聞いていたので、博物館の展示見学を少し早い目に切り上げて1階ロビーのツアー受付に向かいました。

1階ロビーの様子。


ツアーの参加者は私を含めて15名です。学芸員の方が1名とボランティアガイドの方2名の引率でツアーが始まりました。まず最初はこのロビーの下にある難波宮の倉庫群とされている遺構からです。

ロビーの床がガラス張になっていて、その下に遺構が保存されています。

掘立柱の跡が並んでいます。メジャーで示されているように120㎝四方の穴を深さ1mほどまで掘り下げ、そこに柱を立てて埋めるという、いわゆる掘立柱の方式で建てられたことがわかります。この建物は倉庫群を管理する管理棟と考えられています。

次は館外へ出て隣のNHKビルの地下へ降ります。地下に掘立柱跡が並ぶ倉庫群の遺構が保存されています。





柱に見立てた提灯のようなものがぶら下がっています。東西に4本、南北に5本、計20本の柱で1つの倉庫を構成し、この地下ではふたつの倉庫跡を確認することができました。

遺構の場所や構成を示した図。

この倉庫群は難波宮跡の西北に位置していました。

中央体育館解体時の様子。

床をはがした状態で建屋を解体する前に調査をしたようです。

この遺構は大阪城の西南、外堀の外側に位置します。

黄色のマルで囲われた部分です。このときはまだ陸軍の施設があったようです。

現在の様子を空撮。

難波宮跡の遺構はここまで。このあと、NHKの外へ出て法円坂遺跡の遺構を見学します。

 法円坂遺跡は難波宮造営を遡ること200年、古墳時代中期の大型倉庫群跡で国の史跡になっています。難波宮跡よりも下の地層から検出されました。この地は上町台地の北端にあたり、古代には上町台地の東側には河内湖が広がっていました。仁徳天皇のとき、湖に堆積した土砂によって滞るようになっていた河内湖の水を大阪湾に流すために台地を横切るように掘削して堀が設けられたことによって船の航行が可能になったこともあり、このあたりは古代瀬戸内海航路の拠点、一大物流拠点として機能する場所であったことがわかっています。
 第15代応神天皇の頃から政治の中心が大和から河内に移り、上町台地の南にあたる地に巨大な天皇陵が築かれるようになりました。この法円坂遺跡の大倉庫群は当時の政治情勢や外交の様子をうかがい知ることができる遺跡です。難波宮跡よりもこの法円坂遺跡の方を興味深く見学しました。

法円坂遺跡の説明板。






約90㎡の大型倉庫跡が16棟も検出されました。


倉庫1棟が復元されています。


通常は入ることができない内部に入ることができました。

 ここでガイドツアーは終了となりました。あまりに暑かったので道路を隔てたところにある史跡公園へ行くのはあきらめて、ガイドツアーで聞いた展示資料を確認するために博物館に戻ることにしました。そして最後にロビーをうろついていて見つけたのが「タイムカプセル」の案内表示。私の世代の多くの大阪人はタイムカプセルと聞いてピーンとくるはずです。そうです。大阪万博の時に地中深くに埋められたアレです。




 現代の生活で利用されている様々な物品を未来に伝えるために万博の時に松下館に展示された後、大阪城天守閣前に埋められたものです。カプセルは2つあって、1つは西暦2000年に一度開封されて内容物を確認後に再び埋められ100年ごとに確認することに、もう1つは5000年後に開封されることになっています。万博のときに小学4年生であった私はこのタイムカプセルの話にすごいロマンを感じたことを覚えています。それをここで見ることになるとは。

 タイムカプセルのサプライズもあって、たいへん貴重で感慨深い博物館見学となりました。
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大阪市立大阪歴史博物館(No.1)

2018年09月15日 | 博物館
 いつでも行けると思うとなかなか行く機会を作れない、いや作ろうとしないのが私の悪いクセ。博物館見学にもそれが現れており、自宅から近い大阪や奈良にある有名博物館はほとんど行っていないというのが実状です。そしてこの大阪市立大阪歴史博物館もそのひとつでした。学芸員の勉強のためにホームページは穴が開くほど閲覧したのですが、実際に見学に訪れたのは今回(2018年9月)が初めてです。なかなか感慨深いものがあったので紹介したいと思います。

 大阪歴史博物館は地下鉄の谷町四丁目駅から歩いてすぐのところにあり、難波宮跡のすぐ近く、大阪城の西南角のところにNHKビルと並んで建っています。もともとは大阪市立中央体育館が建っていた場所で、40年前の高校2年の夏、この中央体育館で大阪府の高校剣道国体予選が行われ、団体戦で見事3位に輝いた場所です。では順に紹介していきます。

入り口。正面に見えるのがNHKで左が博物館です。


特別展「西郷どん」が開催中でした。幕末の知識がないのでよくわからないのですが、大阪市の歴史と西郷隆盛は関係があるのでしょうか。大河ドラマが放映中なので隣のNHKの画策に乗ってしまったのでしょうか。今回、この特別展はパスしました。常設展示だけだと入館料は600円で、決して安くはないです。チケットを買ってまずエレベーターで10階の古代フロアへ上がります。

古代フロアの半分のスペースを使って復元された難波宮の大極殿。

すごい迫力なのですが、私にとっては10階から眺める難波宮跡とその背景の景色のほうが印象深かった。

その景色。

真ん中に大極殿、背景には生駒山地から二上山を経て金剛山地へと連なる山並み、その向こうには大和がある。ここは難波から近つ飛鳥と呼ばれる地を経て飛鳥へと続く竹内街道の出発点で、こうして眺めていると大和まではそんなに遠くないことを実感します。「近つ飛鳥」とは奈良県の明日香村の「遠つ飛鳥」に対して、大阪府羽曳野市飛鳥や南河内郡太子町あたり一帯を指す呼称で、聖徳太子、推古天皇、用明天皇などの御陵があります。難波宮からみて遠い飛鳥、近い飛鳥ということです。ここにある近つ飛鳥博物館は博物館教育論の課題レポートの対象として研究しました。

古代フロアに展示される考古資料で最も興味をもった船形埴輪。

手前が 大阪市平野区長原にある高廻り2号墳出土、後ろが1号墳出土です。高廻り2号墳は5世紀前葉に造られた直径21mの円墳です。手前の埴輪をモデルに古代船を復元して韓国まで漕いで渡ろうとした「なみはや号プロジェクト」というのが30年前に行われましたが残念ながらうまくいかなかったようです。20年近く前、私はこの船形埴輪が出土した大阪市平野区長原の近くの八尾南に住んでいました。このあたりに遺跡がたくさんあることは知っていたのですが、4世紀末から6世紀前半に造営されたとされる200基以上の古墳が密集する古墳群があるとは全く知りませんでした。

長原古墳群を示す説明板。 1階のロビーの壁に見つけました。


私の以前の自宅は上の地図の右下のあたりです。この船形埴輪以外にも長原遺跡から出た資料などが展示されていましたが、古代フロアの資料展示スペースの大半は難波宮に関する資料で占められていました。

難波宮発掘時の状況を復元した遺跡模型。

この地には2つの難波宮があります。ひとつは大化の改新後に孝徳天皇が飛鳥から遷都した宮(難波長柄豊崎宮)、もうひとつが奈良時代中頃に聖武天皇が恭仁京から遷都した宮です。前者を前期難波宮、後者を後期難波宮と呼びます。

前期難波宮の復元模型。


後期難波宮の復元模型。


10階から9階に下りるエスカレーターの踊り場から眺める大阪城。


9階は中世近世フロア。


大坂本願寺の時代から天下の台所と呼ばれる時代までの精巧な模型がふんだんに展示されています。残念ながらここまで時代が下るとあまり興味がないのです。

様々な模型が並びます。








8階は歴史を掘るフロア。なにわ考古研究所と命名された学習コーナーです。



考古学を学ぶために実物大の発掘現場が再現されているのですが、リアリティがあるようでない。

7階は近代現代フロア。大正末期から昭和初期の大坂の街並みを再現。







豊富な映像資料とともに見学すると、これはこれで大変興味深い。大阪で生まれ育った私自身の歴史に直結する時代でもあり、強烈にノスタルジーを感じます。

ゆったり見学ができる実物資料の展示スペース。


このあと、1階ロビーからスタートする難波宮遺跡見学ガイドツアーに参加しました。
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【博物館教育論レポート②】博物館教育の実際 ~大阪府立近つ飛鳥博物館における中高生向け学習プログラムの模索~

2018年09月14日 | 学芸員
 博物館教育論の第二回課題レポートです。課題内容は以下の通りです。

 タイトルは「博物館教育の実際」。博物館教育の実践事例を取り上げ、その特徴と課題を検討して下さい。各自が内容に応じたサブタイトルを設定して下さい(必須)。大学での学習にふさわしいレポート構成と形式として、①それぞれの意味段落に見出しのついた、「はじめ・なか・おわり」あるいは「起承転結」の構成が明確なレポートを作成するよう心がけて下さい。②出典(引用・参考文献)を明記して下さい。③文字数は800字以上。

レポートの内容および先生の評価コメントはこちらをご覧ください。

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【博物館教育論レポート①】博物館での学びとは何か ~博物館が生み出す学びの好循環~

2018年09月13日 | 学芸員
 博物館教育論の第一回課題レポートです。課題内容は以下の通りです。

 「自ら学ぶ」をキーワードとして、博物館における学びの意義を考察して下さい。「博物館での学びとは何か」がレポートのメインタイトルですが、各自が内容に応じたサブタイトルを設定して下さい(必須)。大学での学習にふさわしいレポート構成と形式として、①それぞれの意味段落に見出しのついた、「はじめ・なか・おわり」あるいは「起承転結」の構成が明確なレポートを作成するよう心がけて下さい。②出典(引用・参考文献)を明記して下さい。③文字数は800字以上。

レポートの内容および先生の評価コメントはこちらをご覧ください。

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【博物館情報メディア論レポート②】博物館と知的財産について

2018年09月12日 | 学芸員
 博物館情報・メディア論の第二回課題レポートです。課題内容は以下の通りです。

 教科書第11章「博物館と知的財産」について、700~1000字でまとめよ。また、この字数と別に、末尾に150字以内でここまでの本科目の学習について感想を書くこと。

レポートの内容および先生の評価コメントはこちらをご覧ください。

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【博物館情報メディア論レポート①】博物館の機能からみた情報の蓄積と活用について

2018年09月11日 | 学芸員
 博物館情報・メディア論の第一回課題レポートです。課題内容は以下の通りです。

 教科書第3章「博物館の機能からみた情報の蓄積と活用」について、700~800字でまとめよ。またそれと別に、末尾に150字以内でここまでの本科目の学習について感想を書くこと。


レポートの内容および先生の評価コメントはこちらをご覧ください。

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【博物館情報メディア論論】レポート公開①







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「Japanリベラルアーツ入門~神話と芸能~」を受講して

2018年09月10日 | 雑感
 2018年9月5日、セカンドアカデミー(株)と丸善雄松堂(株)が主催する公開講座 「Japanリベラルアーツ入門~神話と芸能~」を受講してきました。講座開催の告知を知ったとき、「リベラルアーツ」と「神話」というふたつの言葉に惹かれてすぐに申し込みました。

 リベラルアーツは最近流行っている言葉で「教養」と訳されることが多いようですが、自己を様々な束縛から解放して生きるための力を身につける学問という理解をすればいいのではないでしょうか。私たち人類は科学技術の進展によって様々な利便性や快適性を手に入れる一方で、自然環境破壊、原発問題など新たな課題を生み出してきました。人類がこれらの現代的課題に立ち向かうためには、分野ごとに高度に専門化された知識や技術を集めただけでは最適な解決につながるとは限りません。部分最適を寄せ集めても全体最適にはならないということです。人文科学、自然科学、社会科学など多方面にわたる分野を横串にした知識や考え方が必要となります。まさに今、リベラルアーツが求められる理由がここにあると思います。
 私は今、 ビジネスマンとして企業で働きながら古代史の勉強に取り組んでいます。またそれと同時に、学芸員資格の取得を目指して通信制大学で学んでいます。私のような学びの取り組みを世の中の人は生涯学習と呼びます。そしてこの生涯学習の考え方はある側面においてリベラルアーツに通じるものがあると思うのです。学芸員資格のための必修科目である「生涯学習論」を学ぶ中でそれを強く感じたこともあって、今回の講座に興味を持ちました。

 そしてもうひとつの「神話」という言葉。古代史の勉強には古事記や日本書紀、いわゆる記紀を読むことが欠かせないのですが、これまで独学で勉強してきた私は実は記紀神話に関する専門家の話を聴いたことがありませんでした。この講座でその専門家の話を聴いてみたいという思いと、リベラルアーツをタイトルに据える講座で語られる古事記は単なる解釈論ではなくて何か面白そうな話が聴けそうだとも思いました。また、神話と神楽のつながりを連想したこともあって「芸能」という言葉にも少し興味が沸きました。

 さて、タイトルに神話と芸能とあるとおり、講座は2部構成になっていて前半が麗澤大学の岩澤先生の「古事記から読み解く日本人の思考法」、後半が清泉女子大学などで講師をされている武藤先生の「歌舞伎の表現-音を見る・動きを聴く-」という構成でした。

 第1部の岩澤先生のお話はユダヤ・キリスト教神話と古事記神話を比較することで、英語文化圏の人々と日本人の間に横たわる民族性の違いや思考法の違いを浮き彫りにして (日本人を単一民族と考えることの是非はともかくとして) 日本人とはどういう民族なのかを解き明かそうとするものでした。その解明プロセスが大変ロジカルでわかりやすく、まさに論理性や言語化を重視する英語文化圏アメリカで学ばれた先生ならではのわかりやすいお話でした。

 ユダヤ・キリスト神話の創世記において神は天地や人間、その他この世の全てを創造しました。翻って古事記神話の始まりをみると、「天地(あめつち)初めて發(ひら)けし時」と天地がどのようにできたのかは記されず、次いで「高天原に成りし神」として天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神の三神がどこからともなく出現します。そしてこの三神を皮切りに次々と神様が生まれ、その神々が日本の国土や山川草木などこの世の様々なものを生み出していきます。しかし人間は神様の子孫として描かれています。
 このように両者を比べると、神話のスタート時点から大きな相違点を見出すことができます。創世記においては神はこの世のすべてのものから超越したものとして初めから存在し、その神が天地を皮切りに人間を含むこの世の全てを造り出しました。この明快な神話に比べて古事記では、天地がどのように出来上がったのかがわからず、神様もいつのまにかそこに存在しています。この曖昧さはまさに日本人特有だと思いました。先生によるとユダヤ・キリストの神様は「創造の神」で、古事記神話の神は「生成の神」であるといいます。なるほど、「造る」と「生む」の違いか。

 この話を聞いていて以前から考えていたことが頭に浮かびました。日本人は神社に行って神様を拝みます。日本にある神社の数は8万とも10万とも言われ、その多くは記紀神話に登場する神様や土地の守り神を祀っています。天照大神を祀る神明神社、素戔嗚尊を祀る八坂神社、住吉三神を祀る住吉神社、建御名方神を祀る諏訪神社などです。一方で全国の神社の約半分を占めるとも言われる八幡神社に祀られる神様は八幡さま、つまり応神天皇です。また天神さんと呼ばれる天満宮では菅原道真が祭神となっています。最近の神社では明治神宮は明治天皇を祀り、乃木神社では日露戦争で活躍(?)した乃木将軍が祀られます。現代人の感覚で言うと神様を祀る神社と人間を祀る神社があるように思いますが、後者も人間を祀っているわけではなく人間が神様になって祀られているということだと思います。そう考えると天照大神や素戔嗚尊も、もともとは人間であったと考えることができないでしょうか。記紀神話に登場する神様はもとは人間だった、つまり記紀神話とは人間の所業を神様の話に置き換えた物語であると言えないでしょうか。記紀神話を神様の話と決めつけてしまえば全てがウソ、創作された話ということになり、逆に人間の話と思えばそこに何らかの事実があったと考えることができます。

 記紀神話というのは、ときの為政者、権力者が自身の権力や地位を正当化するために自身の祖先が神様であったとする系譜、つまり自身は神様の子孫であることを謳うための系譜を作り出そうとしたことから生まれたのです。古事記、日本書紀の原典であったであろう帝紀・旧辞あるいは天皇記・国記、各地の風土記などは各地の豪族や中央の氏族を含む権力者側が作ったものです。
 一方のユダヤ・キリスト神話はどうなのでしょう。詳しくないので間違いかもしれませんが、ユダヤ教成立の経緯と合わせて考えると少なくとも権力者、支配者が生み出したものではなく、支配・被支配を否定する発想から人間を超越したところに神を存在させたと考えられます。権力者、支配層よりも上に神を存在させて、人間は平等であるとの思想のもとに神に祈る。この感覚は日本人である私にも理解できます。しかし日本人は権力者の祖先である神に対して手を合わせて祈ります。よくよく考えると不思議です。日本における権力者は民衆を苦しめる存在ではあったものの、必ずしも民衆の絶対的な敵ではなかったのかもしれません。受講の感想を書きながら発想が広がってしまいましたが、これについてはおいおい考えて行きたいと思います。

 さて、第2部の武藤先生の歌舞伎のお話。想像していた神楽などの芸能の話ではなくて、歌舞伎の楽しみ方のお話でした。私は生まれてこのかた、歌舞伎にわずかでも興味を持ったことが全くなかったので、この第2部への期待は古典芸能であるから少しは古代史に関連する話が聞けるかも知れないということだけでした。しかし、その淡い期待は裏切られ、古代史につながる話は全くありませんでした。その代わり、全く興味のなかった歌舞伎に初めて興味を持つことができました。
 武藤先生によると、歌舞伎の楽しみ方は黒御簾(くろみす)音楽に集約されている、話の筋や内容はどうでもよくて演技に合わせて演奏される黒御簾音楽を聴くことが歌舞伎を楽しむコツだというのです。実際に舞台の映像を見ながら、聴きながら教えてもらい、その意味がよくわかりました。「音を見る・動きを聞く」というタイトルの意味も理解できました。そして、歌舞伎を観てみたいと思うようになりました。単なる食わず嫌いであった自分に気付いたことは大きな収穫でした。

 今回の公開講座は講座ひとつあたり50分、質疑応答も入れて全部で2時間でした。どちらの講座ももう少し聴きたかったなあ。
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【博物館展示論レポート②】大田区立郷土博物館における考古資料展示の考察

2018年09月09日 | 学芸員
博物館展示論の第二回課題レポートです。課題内容は以下の通り、一回目と同じ内容となっています。

テキスト・参考文献を読んで、様々な資料の展示方法を踏まえて博物館の展示を見学し、資料の形状・種類などに注目しながらどのように展示されていたのかを具体的に考察する。制限字数:2000字程度。

レポートの内容および先生の評価コメントはこちらをご覧ください。

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【博物館資料論レポート②】大田区立郷土博物館における考古資料の考察

2018年09月08日 | 学芸員
博物館資料論の第二回課題レポートです。課題内容は以下の通り、一回目と同じ内容となっています。

テキスト・参考文献を読んで、資料の分類・取扱方法を踏まえて博物館の展示を見学し、資料がどのような分類に基づいて取り扱われていたかを具体的に考察する。第1回の見学先とは異なる博物館を見学すること。単なる展示資料の紹介ではなく、一次資料・二次資料の分類や学問領域による分類について把握すること。制限字数:2000字程度。

レポートの内容および先生の評価コメントはこちらをご覧ください。

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【博物館資料論】レポート公開②


博物館資料論 (放送大学教材)
佐々木利和 湯山賢一
放送大学教育振興会


博物館資料論 (新版 博物館学講座)
加藤有次ほか編
雄山閣出版


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【博物館概論レポート②】大田区立郷土博物館における利用者動線の状況・特徴の考察

2018年09月07日 | 学芸員
 博物館概論の第二回課題レポートです。課題内容は以下の通り、一回目と同じ内容となっています。

 居住の都道府県内に所在する博物館(資料館・美術館・科学館・動物園等を含む)のうち1館を選んで見学・調査してレポートするものである。見学・調査のテーマは次の通り。
 名称(正式名称と通称)、所在地、種別(制度別、設置者別、館種別の各分類方法での該当区分。配布教材を参照)、設立目的、活動方針、立地等の基本情報を踏まえたうえで、展示室を中心に館の公開領域を見学し、自分の動線を調べて「動線見取り図」を作成するとともに、利用者動線の状況・特徴を考察する。動線については、配布教材を参照してほしい。字数は1280~1600字の間で収めること。

レポートの内容および先生の評価コメントはこちらをご覧ください。

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