平成23年7月6日 早朝
前日の後方羊蹄山登山を終え、今日はトムラウシを目指す。
前夜に登山口のトムラウシ温泉に移動。
しかし、短縮登山道への林道は、一部崩落のため通行止めとなっていた。
それでは、往復3時間少々、余計にかかるがトムラウシ温泉から登りはじめよう。
そう考えた私は、レンタカーの中で車中泊を決行したのでった。
体を十分に伸ばすことができない姿勢・そしてルーフをたたく激しい雨音。
これでは睡眠が充分にとれず前日の疲れも取れていないかもしれない。
しかし、明け方、3時半ごろより駐車場に夜中についた1台の車の連中が出発準備。
雨の中、テントを撤収して手際の良い熟練の作業。
私 「凄いな。雨なぞくそくらえか。」
そして、温泉宿からマイクロバスと乗用車が続いて出発。
私 「くそっ!宿泊者は優遇して通行止めの林道をマイクロバスで送迎してもらえるのかよ。」
私 「しかし、ツアーの連中は凄いな。この天気の中、躊躇せず出発するのは。」
私 「川の水量が多いし、途中の沢の横断箇所は増水していないだろうか。」
独り言ではない。心の中の言葉である。
いろいろと考えたがせっかく北海道まで来たのだから間もなく天気も回復するだろうから
ここは、完全装備でロングコースに向かおう。
雨具を付けていよいよ出発しようとしたところ1台車が降りてきて男性が私にこう尋ねる。
男性「これから山に行くのですか?」
私 「ええ、まあ。」
男性「昨日、遭難者が出てヘリが捜索しましたが見つかりません。
今日も捜索隊が入っています。上は凄く天気が荒れています。
こんな時入山しても捜索している警察の方に見つかれば下山しろと言われますよ。」
私 「ああ、そうなんですか。(シャレではないけど)」
あのマイクロバスは捜索隊の皆さんが出かけて行ったのか。
とんでもなくパワフルなツアー客だと思っていたのだが・・・・・・。
捜索隊の皆さんが、なんとかして遭難者を発見するために天候が悪い中出かけていったんだ。
素直な?私は、即座にトムラウシを諦めた。
本音は、行きたくなかったのだと思う。
トムラウシ温泉。早朝の雨でピントもなにもありゃしない写真。
2009年7月に合計10名の大量遭難死者が出たことのある山だが天気次第で天国から地獄へとなる
美しく恐ろしいところなのであろう。
下に読売新聞のニュースを掲載した。
5日午前1時頃、北海道の大雪山系トムラウシ山(2141メートル)に登山に出かけた
神奈川県横須賀市佐原、無職藤井忠雄さん(66)と連絡が取れないと、家族から道警新得署に
通報があった。
同署員らが捜したが見つからず、遭難した可能性があるとみて、6日早朝から山岳救助隊員など
約20人態勢で捜索を再開する。
発表によると、藤井さんは4日午前5時に単独で麓の東大雪荘を出発、同日午後4時半に下山
する予定だった。同山付近は4日早朝から雨で、登山道の一部は鉄砲水になっていたという。
(2011年7月5日19時52分 読売新聞)
続報 : 未確認ながら遭難者は無事発見されたとのことです。よかった。
そんなことで、6日はトムラウシを諦め、十勝岳に向かうこととした。