『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  戦端を開く  11

2007-09-03 08:13:36 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 ヘクトルが比較検討したのは、ポリス連合軍の兵数とであり、表面上の総合兵力とであった。
 軍団が内包している、隠された兵力については、ヘクトルのまな板の上には、載っていなかった。軍団を率いる将帥の戦闘企画力、民族の持っている創造性が生み出す戦闘技術、育った環境による戦闘意欲、民族個有の獣性等については、ポリス連合軍に拮抗していただろうか。しかし、これらはそんなに差のあるものではないと思われるのだが、総合したときに大差がつく。故に、ないがしろにすることが出来ない諸点であると考えられる。
 戦争の大義名分、勝って我が物とする戦利と自発的戦争参加、そして、闘争と人間の根元の性についても比較する必要があったのではなかろうか。ヘクトルの思考は、これらの諸点に波及しなかったのではなかろうか。
 その点、アガメムノンと、その取り巻きの連中は、この諸点に気付いて、軍団を指揮したものと思われるのである。