イリオネスは集落を一巡した。ところによっては念を入れて観察した。彼は大きめの木板に丹念に書き込んでいった。誰が見ても集落の様子が一目でわかるように詳しく書き入れるべきことを記入していった。それによって集落の状況を正確に把握した。彼はアヱネアスの宿舎を訪ね報告した。
『統領、集落を見て回っている途中でオキテスとオロンテスに会い、簡単に話しました。今日の作業は、大体満足のいく状態で事が終わっています』
『おっ!そうか。彼ら、明日の会議についてどのように言っている?』
『はあ~、そのことですが、会議の開始は昼めしのあとと打ち合わせしています。真剣に考えているようです』
『彼らは、どのように計画を練り上げているかな?気になるところだ』
『それは判りません。統領と私に課せられていることは、彼らの構想をどのようにして築砦の構想に織り込んでいくかが課題です。我々の持っている力、要するに財政力、技術力に照らし合わせて、構想の実現を図る。構想、そして、計画立案の断捨離、作業の巧拙が結果を左右するといっていいと考えています。力量と構想のバランスです。築砦と城市を如何なる状態で仕上げるか、それを出来るか、否か、を検討しつくして、実現の可、不可を決定したい、そのように考えています』
『そうだな、お前の言うとおりだ、判った。そのように討議を進める。軍団長、討議を尽くし、実現可能構想計画をまとめあげる。財政に照らし合わせて、計画の断捨離、取捨選択を行い、第一次はここまで、第二次はこれという具合に構築計画の段取りを決めて事業を進めていく』
アヱネアスは、息を継いだ。
『この事業を行う上で、お前に託しておきたい一事がある。それは我々にとっての大事な一事なのだ。心してお前の胸にしまっておいてもらいたい。それは『築いたこの砦を事の次第によって、いつ捨ててもかまわない』ということを念頭に置いて築砦の事業を進めてほしいということだ。クレタとはどんなところか?まだ、我々の考えが及んでいない領域がある。国家千年の計画を立てることのできる土地なのか、それが判っていないということなのだ』
アヱネアスは、極めて慎重であった。
『統領、集落を見て回っている途中でオキテスとオロンテスに会い、簡単に話しました。今日の作業は、大体満足のいく状態で事が終わっています』
『おっ!そうか。彼ら、明日の会議についてどのように言っている?』
『はあ~、そのことですが、会議の開始は昼めしのあとと打ち合わせしています。真剣に考えているようです』
『彼らは、どのように計画を練り上げているかな?気になるところだ』
『それは判りません。統領と私に課せられていることは、彼らの構想をどのようにして築砦の構想に織り込んでいくかが課題です。我々の持っている力、要するに財政力、技術力に照らし合わせて、構想の実現を図る。構想、そして、計画立案の断捨離、作業の巧拙が結果を左右するといっていいと考えています。力量と構想のバランスです。築砦と城市を如何なる状態で仕上げるか、それを出来るか、否か、を検討しつくして、実現の可、不可を決定したい、そのように考えています』
『そうだな、お前の言うとおりだ、判った。そのように討議を進める。軍団長、討議を尽くし、実現可能構想計画をまとめあげる。財政に照らし合わせて、計画の断捨離、取捨選択を行い、第一次はここまで、第二次はこれという具合に構築計画の段取りを決めて事業を進めていく』
アヱネアスは、息を継いだ。
『この事業を行う上で、お前に託しておきたい一事がある。それは我々にとっての大事な一事なのだ。心してお前の胸にしまっておいてもらいたい。それは『築いたこの砦を事の次第によって、いつ捨ててもかまわない』ということを念頭に置いて築砦の事業を進めてほしいということだ。クレタとはどんなところか?まだ、我々の考えが及んでいない領域がある。国家千年の計画を立てることのできる土地なのか、それが判っていないということなのだ』
アヱネアスは、極めて慎重であった。