『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  142

2013-11-08 07:47:50 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『各船の船長に伝えることはだな、小隊長の役務をこなすことのできる者を各船あたり6名くらいを選んで広場に集まれと伝えるのだ』
 指示を受けた二人は、手分けして伝達に走った。
 『パリヌルス、どのような具合だ?会議の前に俺たち三人ちょっと話し合っておかないか』
 『そうだな、それがいい。でないと、互いの考えが堂々巡りして前へ進まない。判った』
 『ところで、お前、考えをまとめたのか』
 『方向だけは何とか決めた。担当している役務から逸脱しないようにまとめている。それを木板に書きとめておこうと思っている』
 『そうか、それはいい方法だな。俺もお前に倣ってその要領でまとめようか』
 二人が話し合っている間に40名余りの者たちが集まっていた。
 『諸君!集まってくれたか。今日の作業、予定を言い渡す』
 パリヌルスは、彼らに今日の予定を言い渡した。
 『リナウス、ギアス、リュウクス、アンテウス、以上だ。お前ら四人しっかり監督してやってくれ。判ったな。尚、撃剣の訓練は、闘う相手の打ち込みに対して、どのように対応するかに重点を置いてやるのだ。これからのちも2対1闘法を重視して敵に当たる。いいな』
 『判りました。それからですが、短い槍の使い方についてもやっておこうと思っていますが、、、』
 『それはいい、思いつくままやれ』
 そのあとも、二、三の質問のやり取りがあって指示を終えた。
 『オキテス、行こう。二人きりになって検討項目について考えようではないか』
 『そうだな、お前も俺も考えの行く着く先の結論はよく似ている。二人の考えが重複しないように検討項目を選んで対処しようではないか』
 『判った。我々が前へ一歩踏み出す時が来たな』
 『オロンテスに聞いてみないと判らないが、クレタというところは、エノスに比べて草丈の低いところだな、あれでは牛が草を食べにくそうだ』
 『そうか、お前、なかなかの観察だな。俺はそれには気が付いていない』
 クレタ島は、牧牛ではなく、牧羊の島となったのはテラ島の大爆発による降灰により火山灰の島であり草丈が低く牛の放牧条件に適しているとは言えなくなったからである。現在ではクレタで造られるチーズは羊乳のチーズなのである。
 『それから、クレタは島であるだけに水源地から海に至る川の長さが短い、スカマンドロスやシモエースとはちょっと違う』
 スカマンドロス、シモエースは、トロイ地方に流れている河川の名称である。