『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  150

2013-11-20 07:45:26 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『次は、オキテス、お前の番だ。オキテス、話し方はお前だ』
 『判った。パリヌルスに代わって、私が話を継ぎます』
 オキテスは、そのように言って一同と目を合わせた。彼らはパリヌルスの話を聞いて、目が熱を帯びて輝いていた。オキテスも感情が昂ぶり心が燃えた。
 『私は、パリヌルスのようにうまく話し運びができるか、どうか自信がない』と言って話し始めた。
 彼は話の起点をうまくつかめないらしい。
 『築砦に取り掛かる、手段、諸策は、彼の言った通りです。それに継いで、私が言いたいことは、我々が強くあらねばならないことです。我々がこれから手がけていく、そして、手がけた以上は、いい結果を納めなければならないことです。それにはどうあらねばならないか。軍事、海事、交易は、我々の身内ではなく、他人、他民族、他の集団と渡り合うわけです。ここでの条件として、言えることは、我々が強くあらねば、我々の意志を通すことができないというわけです。これから我々に求められることは、入りを図ることに注力していかねばならないことです。交易でもって生きることを目指していく必要があります。その交易の原点に取引の値段決めがあります。力の弱い集団であれば、対手の言うがままの条件で取引が終わります。強い集団をもって取引に及べば、相手に乗じられることはありません。また、我々が遭遇する事案の平和的解決を望む場合においても強い集団であれば不利な条件で事案の解決に追い込まれることはありません。我々は、強い集団を造らねばならないのです。富める集団、強力な集団を構築していかねばならないのです。パリヌルスの言ってくれた『人こそ砦』これの実現は、何が何でもやらねばなりません。それは一朝一夕にできることではありません。日夜、そのことに尽力していかねばならないのです。そのための調査を行う必要があります。己を知って、相手を知る。そして、策を講じる。如何なる事案に遭遇するも我々が有利に事案を処理する要諦であると考えています』
 オキテスは心の内を滔々と述べた。