『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  148

2013-11-18 07:53:47 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オロンテスは、春から夏にかけての主食の原料となる小麦の保有に関する危機感について述べた。
 『その時機の到来には、まだ間があります。しかし、対処する方策を探り、その後に及んで、泥棒を見て縄の状態にならないように心せねばなりません。この場にいる5人が事情を共有して事にあたらなければなりません』と結んだ。
 アヱネアス以下、イリオネスら三人は大きくうなづいた。イリオネスは、この件についての見解を述べた。
 『今、オロンテスからの発言にあった主食原料の小麦の件であるが、このクレタに着いた折にオロンテスとは一度、話し合っている。その時には、オロンテスと解決策について意見の交換をしている。時が来れば会議を開き、手だてを考えて方策の実行を検討しよう』
 イリオネスは、言い終えて、次の議題へと進んだ。
 パリヌルスとオキテスの二人が担当している役務部門へと移っていく。
 『では、次に移ろう。パリヌルス、オキテス、君ら二人が連携して行っている役務は、広い範囲にわたっている。軍事、海事、交易、建設、そして、営繕、ときには生産業務にもあたっている。我々一族の全体の運営に関して広く関わっている。このたびの築砦に関しても深く関わることになる。では、討議に入る』
 イリオネスは言葉を結んで、二人と目を合わせた。アヱネアスもオロンテスも、じぃ~っと二人を見つめた。目線がからんだ。
 オキテスの目は、パリヌルスに『お前から話せ』と告げていた。パリヌルスは、目でうなづき、アヱネアス、イリオネス、オロンテスと目線を交わして口を開いた。
 『先ず、本題に入る前に聞いていただきたいと思っていることを話します』
 彼はここで話を区切り一同と目を合わせた。築砦の志向を何とか伝えたいといった強い目線で皆と目線を合わせた。
 『これから話すことは、オキテスと話し合った二人の志向です。我々民族全員が、考えていることを実現しようとする心構えです。全員がその志を強く持って、この事業と取り組んでいく、取り組んでいかねばならないと考えています。その心構えと志向は、、、、』
 彼は、言葉を切って、訴える目線で一同と目を合わせた。