『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  153

2013-11-25 07:59:42 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスが手をあげた。
 『おう、パリヌルス、何だ?』
 議事進行役のイリオネスが声をかけた。そのとき、ソリタンが姿を見せた。
 『オキテス、ソリタンが来た。何か用事があるのかな』
 パリヌルスがソリタンに声をかけた。
 『おう、ソリタン、何か用か?』
 『はい、パリヌルス、オキテス両隊長に聞いてもらいたいことがあります』
 彼は、そのように言って空を指さした。
 『このように薄曇りで南からの生暖かい風。冬に向かうこの季節に吹くと嵐になります。この風が強い西の風に変わり、今夜、夜半から嵐になると思われます。対処を考えたほうがいいと思いまして、その旨を伝えに来ました。以上です』
 『おっ!そうか、それはありがとう。判った、対処する』
 パリヌルスとオキテスは顔を見合わせた。
 『よかろう、会議も終わりにちかづいている。すぐ、対処にかかろうではないか』
 二人は言い合わせて、会議の場に戻った。
 『おう、何だった?』
 『ソリタンは、けっこう天候に詳しいのです。小島の攻撃の際にも彼の天候診断が役に立った。彼の伝達事項は、この薄曇り、この風では、今夜半には嵐が来ると言っています。私ら二人は、その対処に向かいます。オロンテスの部署はオロンテスに任せます』
 イリオネスが口を開いた。
 『では、会議は、これにて終了。次回会議は明後日だ。調査隊の編成、区割り、建設計画に関する打ち合わせ会議となる。各自、具体的な計画を立案して、事を決定の方向に向かわせる。いいな、以上だ。あ~あ、パリヌルス、さきほどの手を上げた用件は何だ?』
 『はい、それは、小島で捕縛した女たちの事です。女たちの処遇を考えていただきたいことです。あいまいに放っておくと、後々問題の種になります』
 『判った。明後日の議題に加えて、その場で決定する。それでいいか』
 『それでいいです。私たちは、これから、浜と小島に向かいます、嵐に対する処置作業をやります』
 『判った。会議は終わりだ。嵐の件よろしく頼む』
 パリヌルスら二人は、急ぎ広場に向かった。二人は、予期される嵐の到来を簡単に告げ、作業の指示を発した。