『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  143

2013-11-11 07:15:02 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『パリヌルス、オロンテスのところでやらないか』
 『それはいい。あいつの担当は、的がしぼられてていい。俺たちの担当している業務は、軍事に交易、そして、建設、海事と広範囲にわたっている。人事を優先して考えなければならない面もある。お前が責任担当で俺がサブ、俺が責任担当でお前がサブを務めてくれる。オロンテスが責任担当でお前と俺がサブをやる。まあ~、そのような感じだな』
 二人はオロンテスのいるところへと足を向けた。
 『おう、皆、ご苦労。いつもいつも、旨いパンをありがとうな。オロンテスはいるか、呼んできてくれるか』
 用件を受けた者がオロンテスを呼びに行ってくれた。間をおかずオロンテスが姿を見せる。
 『おっ!ご両人』
 『おう、オロンテス、どのような調子だ、計画立案の件、うまくまとまったか』
 『今やっているところだ。計画立案の思考真っ最中というところだ』
 『ご両人は、どんな具合です?』
 『おう、俺たちか、俺たちはだな、そのようなもの、とっくのとうに出来上がっている』
 『本当か?』
 オロンテスは訝った目つきで二人の目と目を合わせた。
 『それは嘘だ。簡単にできるわけがないだろう。高い次元の計画をつくろうと思うが、季節が冬に向かっている。そこは現実的に考えているといったところだ。我々はクレタに来たばかりだ、まだ日が浅い。クレタについてよく知っているかといえば、そうではない。俺はオキテスも同じだと思う。俺は、第一次、第二次、第三次と段階を踏んで、充実を図っていけばいいのではないかと考えている。オロンテスが担当している領域はそのような事の運びではいけない事情がある。俺たち、二人ともそれは充分に理解している』
 『それは、ありがたい。財務の事もある、事を運ぶのに出来るだけ深く考えて、慎重に事を処理している。今、現在は心配の要素が少ないが、春先から夏にかけて小さな齟齬が大事に至ることも考えておかなければならない』
 『そうか、パリヌルス、今日の議題、討議の第一番はオロンテス担当の領域からということでどうだ』
 『お前の言うとおりだ、そのようにしよう』
 『討議の順番をしっかりとしておこう』
 『判った』